独り掲示板

ライトスタッフは名作です-2

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3060
 
その12501253
 
原作のマーキュリー7お披露目の場(the press conference)の描写に、カメラマンの群れ(these swarming photographers)が這いずり回っていて(crawled over them)―
 
like a swarm of root weevils which, no matter how much energy they might expend in all directions trying to muscle one another out of the way, keep their craving beaks homed in on the juicy stuff that the whole swarm has sensed―until they were all over them, within inches of their faces in some cases, poking their mechanical beaks into everything but their belly buttons.The Right Stuff
 
あたかも植物の根につくゾウムシの群れが、邪魔ものを力ずくで押しのけるために四方八方に向けてどれだけのエネルギーを消費しようとも、飢えた口ばしは、群れがかぎつけた樹液たっぷりの物質に狙いたがわずぴたっと向けているかのようだ。そしてしまいには彼らは宇宙飛行士の上に覆いかぶさり、場合によっては彼らの顔の数インチ足らずまで接近し、機械仕掛けの口ばしをところきらわず突っこんだ。それを免れたのはヘソくらいのものだった。 [中公文庫]

 

 
というクダリがあって、ゾウムシ(root weevils)のもとネタはこれ―あくまでもカメラマンをゾウムシになぞらえていることに注意しましょう。
 
 
しかるに「ライトスタッフ」のイェーガーと連絡官のやりとりでゾウムシ呼ばわりされるのはマスコミ(coverage)です。
 
原作の photographers coverage に言い換えてるわけで、これで合点がいくじゃないですか―
 
Those root weevils write history. 「彼らが歴史を書く」
 
「フラッシュをたく連中が歴史を書く」なんて…
 
この疑念が(あっさり)晴れますでしょ―そのまま原作の喩えに倣えば Those root weevils write history. はカメラマン(photographers)が歴史を書くという意味になってしまう、それでマスコミ(coverage)と言い換え(て、つぎはぎ細工し)た、と。
 
 
その76
 
そうであるならば、ここにきて わたしは自説を撤回せざるをえないことになります。
 
イェーガーのあのセリフは(わたしが素直にして愚かにも解釈した)―
 
popping cameras のまわり(around)を crawl する root weevils
 
ではなく、字幕の解釈どおり―
 
popping cameras しながら crawl around する root weevils
 
と取るほうが(少なくとも、そういう意味合いで訳すほうが)あのシーンの流れから見れば(よっぽど)自然で無理がない。
 
と言うのも、あのニュース映像のシーンのゾウムシどもは(そろいもそろって)全員カメラのフラッシュをたいて、写真を撮ってるんですから。
 
写真を撮ってる連中のまわりを這いずってるんじゃなくて、写真を撮りながら這いずりまわってるんですよ、明らかに。
 
従って、わたしの(ひねり出した)逐語訳的意訳―
 
「ジャーナリストだって? パシャパシャ写真を撮ってる奴のまわりに這いずってる、あの害虫どものことか?」
 
は、謹んでここに(脳内字幕にはボツだったし)撤回させて頂きます。
 
ん?  ちょっと待てよ―
 
と、ここで首をかしげた、あなた―あなたは、正しい。
 
わたしが言わんとした、肝心要のポイントを正しく理解してくれてますね。
 
そう、フラッシュをたく連中が歴史を書くのはおかしいということこそが、わたしの解釈の根幹でありました。
 
それこそ全員カメラのフラッシュをたいて写真を撮ってるんだったら、誰が歴史を書くのか?
 
実は、その観点から見る者だけが初めて気付かされるであろう、この謎の究極の証拠というべきものが、あのニュース映像のシーンにあるんですよ。
 
それは、カメラで両手のふさがったゾウムシどもが口にくわえているものを、よ~く見てください―
 
あれは…  鉛筆?
 
そう、鉛筆です―それで歴史を書いていたというわけですね、あのゾウムシどもは。(こしゃくにも、パシャパシャ写真を撮りながら)