独り掲示板

ライトスタッフは名作です-2

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3161】

 

何か、前レスで巧い具合にオチがついっちゃったみたいな感じだけれど、もうしばらくマーキュリー13(裏ライトスタッフ)ネタを―

 

コクランは、第 2 次大戦中に Women Air Force Service Pilots (WASP) を立ち上げた一人です。

 

WASP は、名称に Air Force (当時はまだ陸軍航空隊)とは付いてても、正式な軍の部隊ではなく、あくまで民間の支援組織という位置付け。

 

主として軍用機とかの空輸(フェリー)が彼女たちの任務で、要するに実戦以外の仕事を引き受けて(←某自衛隊みたいに)、なるべく(不足すると予想されたパイロットの)男どもには実際の戦闘任務に専念してもらいましょうという、けっこうシビアな狙いですね。

 

コクランが鍛え上げた WASP のレディースは(想像に難くないけど)そりゃもうタフでして、ありとあらゆる軍用機(小型練習機から B-29 まで)を(国内限定ながら)あちこち飛び回ってフェリーしたんですよ。

 

仕事そのものも(想像以上に)タフで、例えば―男どもが(軟弱にも)びびって敬遠してた、いわゆる Widowmaker と綽名されるヤバいやつ(代表格は B-26)なんかでもヘッチャラで操縦してたらしい。(←確かに、レディースに widow-maker なんてシャラクサイわな)

 

考えてみたら、この WASP というのが、状況的に実によく似てるんですねぇ… マーキュリー13 に。

 

 

ごく大雑把に言うと、WASP は(ユマ・サーマン似の)美人パイロット、ナンシー・ラブ Nancy Love 一派と、そこに危うく出し抜かれそうになったジャッキー・コクラン一派とが(すったもんだして)統合されてできた(1000人を超える)レディースの組織で、コクランの強い militarization の要求にも拘らず、ついに正式な軍の部隊とは認められないまま、つまり軍人としての恩恵を何ひとつ受けることなく、散々こき使われた(←総計 12,650 機の輸送、飛行距離 6000万マイル以上)挙句に、発足した翌年に早くも解散させられる。 (彼女たちが、退役軍人として認められるまでには、その後 40 年も待たねばならない)

 

結局、ヨーロッパ戦線が終結して男どもが引き揚げてくると、レディースはもう必要じゃなくなって(と言うより、あぶれた男どもからすれば邪魔者でしかなくなって)、軍の都合、男の都合で、あっさり都合のいい女(WASP)はお払い箱になった―

 

WASP は、表立ったフェリー以外にも、実は裏の(けっこう危ない)仕事もあって、そのせいかどうかは定かではないが、最終的に 38 名のレディースが民間人として(もちろん戦闘中でなく、非戦闘任務中の事故で)お国のために(何の見返りもなく)命を捧げています。

 

 

コクランがイェーガーに初めて会ったときに、大胆にも―

 

If I were a man, I would've been a war ace like you.

 

と言ってのけたのは、むろん自分のパイロットとしての腕に(そんじょそこらの男には負けない)絶対の自信があったからだろうけど、その数年前に WASP を(militarization できないまま)潰された悔しさも(じわ~っと)滲んでいよう。

 

これを >歴史の必然 と大げさな表現をしたのも、WASP(の挫折)があってこそのマーキュリー13 の立ち上げなんだろうなぁ、と思われるからなんですよ、わたしには。 (そして、その歴史は繰り返される)

 

コクランが、そのマーキュリー13 を選考するにあたって(自ら資金提供して)ラブレース・クリニックでのフィジカルテストを受けさせたレディースは、Ninety-Nines (99s) からリストアップされたと言います。

 

この 99s というのは、あのアメリア・エアハートが創設した女性パイロット団体で(←当初の登録メンバーが 99 人だったからとか)、コクランも(WASP を立ち上げる頃)その代表だったことがあった。

 

レディースの先駆者 Lady Lindy (←リンドバーグの Lucky Lindy をシャレて)こと、アメリア・エアハートとも、コクランは浅からぬ因縁があったようで、パームスプリングスにあるコクラン-オドラム牧場(現 Indian Palms CC)の多くの著名な常連ゲスト(含む、後年のイェーガー夫妻)のうち、エアハートだけには(ゲストハウスではなく)コクランの寝室を使わせてたらしい。 (つまり、コクランにとってはゲストじゃなく身内みたいなもので、彼女のためにランチハウスを建てる予定だったとも)

 

エアハートが運命の世界一周飛行に発つ前も、ここに滞在して準備してたりしたそうです―それが最後のフライトになるとも知らずに。

 

 

マーキュリー13 が Lovelace Women と呼ばれた理由は(厳密に言うと)ラブレース・クリニックでテストを受けたからではなくて(まあ、殆んど同じことだけど)コクランの片棒を担いだ(←むしろ、コクランのほうが片棒を担いだと言うべきか)のが、クリニック(ラブレース財団)の責任者で、マーキュリー7をテストした張本人のラブレース博士 Dr. Randolph(Randy) LovelaceⅡ だったから。 (財団の創設者 Randolph Lovelace の甥か何かの、つまりラブレース一族やね)

 

ひょっとしたら、ラブレース・クリニックの最初のシーンで、アラン・シェパードの手(合谷と呼ばれるツボの部分)に何やら太い注射器型の電極針?を突き刺してオシロスコープで(一言じゃ説明できんらしい)怪しげな検査をしてる(ちょっと危なさそうな)医者が、そのランディ・ラブレース博士? 

 

[ ではなくて、スクリプト

 

INT - HAND REFLEX ROOM - DAY

 

A HUGE UGLY NEEDLE…a monster needle…is being lowered slowly down toward Shepard’s arm by a SMOCK who stands in a GROUP OF SMOCKS. He drives the needle into the big muscle at the base of Shepard’s thumb.

 

とあり、「簡単に説明できることではない 心配は無用だ」 I’m afraid there’s no simple way to explain it to you… There’s nothing to worry about. Noting. と応える医者は REFLECTOR HEAD になっている。

 

この検査をされるのは初期スクリプトではシェパードではなくグリソム(GUS)。

 

もとネタの原作は― 

 

だが、コンラッドがここで常軌を逸したことが行なわれているという実感を持ったのは、親指の筋肉に電極を突き刺された時だった。What really made Conrad feel that something eccentric was going on here, however, was the business of the electrode in the thumb muscle. ~  白いスモックを着て、頭に反射鏡をつけたラブレスの医師たちは…彼の手を使って…心ゆくまで楽しんでいた。The Lovelace doctors in their white smocks, with their reflectors on their heads, were having a hell of a time for themselves… with his hand…

 

と、シェパードでもグリソムでもなく、ピート・コンラッドについてのクダリ ]