独り掲示板

ライトスタッフは名作です-2

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その2911
 
オルドリンの Clearly, the error was the approach. は実際には公式の見解(“Pilot Error”)であって、ただ都合よく嫌われキャラに使われてる感じがするが(脚本のジョシュ・シンガー"I think it's fair to say that Buzz was not well-liked" と言い訳してますし)、もとネタは(シーを全く芳しくなく評価していた)ディーク・スレイトンらしく、Deke!U.S. Manned Space: From Mercury To the Shuttle)の辛辣な一節―
 
The investigation concluded that the crash was pilot error, but I didn't need a board to tell me that. Of all the guys in the second group of astronauts,Elliot was the only one I had any doubts about. I had flown with him—so had other guys—and the conclusion was just that he wasn't aggressive enough. Too old-womanish. I mean, he flew too slow—a fatal problem in a plane like theT-38, which will stall easily if you get below about 270 knots.
 
アームストロングがシーを庇って判断を下すのに消極的だったのはジェームス・ハンセンの原作(First Manどおり―
 
It's difficult to try and blame him for his own death, and I certainly wouldn't do that. When you're doing a low go-around underneath low clouds it's hard to be sure ... It's easy to say,well, what he should have done was gone back up through the clouds and made another approach. There might have been other considerations that we're not even aware of. I would not begin to say that his death proves the first thing about his qualifications as an astronaut.”
 
 
関連レス―
 
その347348 (2004/3/31
 
死亡したジェミニ 9 のもともとの primary pilot はエリオット・シー Elliot See とチャールズ・バセット Charles Bassett(シーはジェミニ 5 のバックアップで、その時の相棒のアームストロングは本来の順番どおりジェミニ 8 を飛んでます―こうやって見ると、ややこしいながらも案外 解りやすい柔軟性のある差配と言えましょうね、スレイトン方式は)―
 
リフトオフの 3ヶ月前、シーとバセット、そのバックアップのスタフォードとユージン・サーナン Eugene Cernan は、それぞれ 2 機の(二人乗りの)T-38 セントルイスのマクダネル社のプラントを(シミュレータ訓練のため)訪れます―その際に、そのうちの 1 機が皮肉な墜落事故を起こしてしまいます。
 
飛行場は、折りしも雪まじりの雨と霧で視界が悪く、計器飛行を強いられました。
 
まず、シーの操縦する機が、一面に覆われた雲の中を降下しますが、着陸するにはアプローチを低く取りすぎ、そのまま雲の下を(滑走路が視界に入る高さで)左に旋回して仕切りなおそうとしたようです。
 
ところが、その左に旋回した方角、滑走路から 1000フィートの位置にこそ、マクダネル社のプラントがあったのでした―
 
もはや、それに気づいた時は手遅れで、シーとバセットの T-38 は、プラントの101 ビルをかわす間もなく激突して中庭に墜落しました―ふたりは(シャレにもならないことに)プラントに農場を買ってしまったわけです。
 
すぐ後に続いて着陸を試みたスタフォード機も、同じように最初はアプローチに失敗するものの、(シーとは違って)まっすぐ再び雲の中へ上昇して仕切りなおしていて、2 回目のトライアルで無事着陸を成功させておりますね。
 
アラン・シェパードらによる徹底的な事故調査報告によれば、T-38 機械的 malfunction などはなく、優秀なテストパイロットとの定評があったエリオット・シーにして、やはり悪天候がもたらした操縦ミスとの裁定だったようです。
 
事故の 2 日後、半旗を掲げるマクダネル社のプラントから、完成したばかりの宇宙船がケープ・ケネディに運ばれます。
 
101 ビルで組み立てられていた、この宇宙船は 9   3ヶ月後に、まさにシーとバセットを乗せて打ち上げられるはずだった、他ならぬジェミニ 9 でありました。