独り掲示板

ライトスタッフは名作です-2

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3188】

 

その2120~2122

 

その 727

 

the order of flight assignments の変更とは、原作(及び映画)では具体的な名前を出してないものの、現実的に考えるなら、バックアップのスコット・カーペンターに代えるということに他なりません。

 

延期されたシーンは 1962年 1月27日のことで、実際のフレンドシップ7の打ち上げは 2月20日―この期に及んで急遽 プライム・パイロットを降ろすとなれば、当然 バックアップ・パイロットが その任に就くしかなく、それ以外の選択肢はないに決まってる。

 

映画の脚色シーンでは ディーク・スレイトン(←次に飛ぶ予定だった)が Who will you get? と口を挟み、カーペンター(←実際には次に飛んだ)が その尻馬に乗ってくる―

 

むろん、これは深読みしようと思えば(代えられる当人がそれを承知の上で「誰に代えるつもりだ?」と皮肉って詰め寄ってるんだとか)できますけど、シェパードとグリソムの順番は済んでるし、ウォーリー・シラーは最初から殆んど無視されてる存在なんで、自ずと残るスレイトンとカーペンターの役回り(セリフ)になったにすぎないのでしょう、たぶん。 (←バックアップや次のフライトについては一切触れられてないし、その辺の事情を知らなければ分からないことなので)

 

 

従って、Ep.2("Protocol")でウェッブがグレンに―

 

I'm giving your flight to Carpenter.

 

と(事情説明なしに)いきなりカーペンターを名指ししてフライト変更を告げるのは、まあ後付けの(予言めいた)セリフであり、厳密な意味で the order (of flight assignments)の変更ならグレンのバックアップのカーペンターではなく、次の順番だったスレイトンこそを繰り上げると言うべきところだろう。

 

関連レス―

 

その 597~599 (2005/ 3/ 6)

 

1962年 3月15日、NASA は正式にスレイトンの MA-7 (デルタ7)のフライトをカーペンター(オーロラ7)に切り替えます。

 

カーペンターはグレンのバックアップとして(MA-6 の打ち上げが遅れたせいで)既に自身のフライトに必要とされる倍以上の時間の訓練をこなしていた―つまり、その時ベンチにいた他の誰よりもバットの振りが良かったんで(本来のピンチヒッターであるシラーを差し置いて)指名されたということですね。 (もっとも、じゃあシラーの訓練は不十分で、バックアップとして勤まらなかったのかと首を傾げたくはなる ←いったい、何のためのバックアップなのか?)

 

この交代劇の本当の理由が何であれ、シラーを降ろしてカーペンターを抜擢するということには、スレイトンに対する更なる嫌がらせという側面が実はあって、その辺を原作は―

 

カーペンターは七人の宇宙飛行士のなかでは、もっとも飛行経験が少ない。その彼がディーク・スレイトンの代りに選ばれたのだ。実験テスト・パイロット組合に出掛けて行き、経験豊かなテスト・パイロットにしか宇宙飛行士の任務は遂行できない、と主張してきたスレイトンの代りにである。飛行テストの実績のあるウォリー・シラーがディークの予備として訓練を受けていたというのに。[中公文庫]

 

Carpenter had the least flight test experience of any of them, and yet he was replacing Deke Slayton—Deke Slayton, who had stood up before the Society of Experimental Test Pilots and insisted that only an experienced test pilot could do this job correctly. Wally Schirra, a man with real flight test credentials, had been training as Deke's backup.(The Right Stuff)

 

 と述べております。 (←だいたい、明らかにジェット・テストパイロットとしての条件を満たしてなかったカーペンターが、その基本的なフルイにかけられることなくマーキュリーに採用されたこと自体、いくら怪しんでも足りないくらいに甚だ奇妙な話だと思う)

 

 

その 228(2003/12/ 5)に ↓ こう書いてます―

 

と言うのは、この最初のケースを除いては、常にその次に飛ぶ人がバックアップになってるからです。つまり―

 

2 番目のガス・グリソムにはジョン・グレン

 

3 番目のジョン・グレンにはスコット・カーペンター

 

4 番目のカーペンターにはウォリー・シラー

 

5 番目のシラーにはホットドッグ

 

6 番目のホットドッグには、最初に戻ってアラン・シェパード

 

というふうに、バックアップについた人が、必ずその次に飛んでるんですよ―そういう方式だったんでしょう、きっと。

 

 

1 番目のアラン・シェパードに 3 番目のジョン・グレンがバックアップについた特例を除いて、常に次に飛ぶ者がバックアップについているという事実からして、それが(後のジェミニ・アポロにおけるバックアップが次の次の次に飛ぶという、いわゆるスレイトン方式が確立する以前の)マーキュリー方式だと、わたしは考えていたわけですね。

 

ところが、この 3 番目のグレンのバックアップだったカーペンターが 4 番目に飛んだ例に限っては、それがマーキュリー方式だからではなく、結果的にそうなっただけで予定されたものではなかった―

 

まあ、それでも(このトピにおける鉄の掟の如くに)ゆる~い方式なら依然として、かつ歴然としてあると言えましょうけども… (キャンセルされた 7 番目のシェパードのバックアップが 8 番目に飛ぶはずだったグリソムだというのも方式通りで、今度はシェパードが抜けたため、グリソムがジェミニの 1 番目にスライドしている)