独り掲示板

ライトスタッフは名作です-2

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3428】

 

関連 《過去レス復元コーナー》

 

その 601~603   (2005/ 3/10)

 

2003年の独り言ゼミ 秋季キャンプのテーマは 「スコット・クロスフィールドの security clearance について」 でした。

 

その 151(2003/10/19)に↓こう書いてます―

 

X-15 は、言うまでもなく NACA (及び空軍と海軍)のプログラムで、そのメーカーがノースアメリカン社です。

 

クロスフィールドは、その X-15 のパイロット兼設計コンサルタントとして、NACA からノースアメリカン社に移ります。

 

そして、この X-15 の実験プログラムこそ、マーキュリーはもちろん、ジェミニ、アポロに至る宇宙計画に様々なデータを、まさに陰ながら提供していくことになる― (中略)

 

従って、凸凹リクルータ・コンビが、民間のパイロットであるクロスフィールドの security clearance をとやかく問題にしている、まさにその時既に、当のクロスフィールドは国家機密のど真ん中、トップシークレットのデータにどっぷり漬かってたということになるわけですよ。

 

つまりクロスフィールドこそ、他の誰よりも security clearance などする必要のない(←いわば既に前段階でマーキュリー・プロジェクトに関わってますから)、最高レベルのテスト・パイロットだったんです、実際は。

 

原作には 「NASA が宇宙に行く人間をまもなく選ぶことになろうということは公表されなかった。しかし、スコット・クロスフィールドはそれを知っていた」 とあって、やはり X-15 のプログラムクに関わっていたクロスフィールドが自ずと内部事情に通じていたことを明かしてます。

 

 

>なのに、民間のパイロットだからとひとくくりにされて、イェーガーのついでのようにはねられてる のは、ちゃんちゃらおかしいと言わざるをえなかったわけですが、さすがに原作はそんな筋の通らない話にはなってません。

 

宇宙飛行士を公募すれば、猫も杓子も押しかけてきて収拾がつかなくなって「選考そのものに何ヶ月もかかり、そのうえ国家の安全保障のための身元調査にさらに数ヶ月かかるだろう」、だからアイゼンハワー大統領は混乱を避けるために、現役軍人テストパイロットのなかから選ぶように指示した―というふうに原作では述べられてます。

 

つまり、security clearance が必要と予想されるのは、わけの分からない有象無象の民間人に対してであって、クロスフィールド(やジョー・ウォーカー)に必要などとは一言も書いてない。

 

従って、凹 のリクルータのセリフ―

 

Forget about Walker and Crossfield and the other civilian pilots,too. The security clearance just takes too long with those people.

 

この those people はあくまでも the other civilian pilots のことで、そのなかに Walker and Crossfield は含まれないと(強引にでも)解釈するのが正しい―と言うか、そう斟酌してやらないと実際と(原作とも)辻褄が合わないことになるわけです。

 

 

続けて 凹 のリクルータが―

 

Besides, they seem a little too independent. (字幕は「それに自立心が旺盛すぎるよ」 または「人のいうことを聞かないたちだ」)

 

と言うのも、原作でクロスフィールドが「スコッティ、応募するなんて考えるなよ。はねられるのがおちさ。きみは独立心が強すぎるからな」["Scotty, don't even bother applying, because you'll only be turned down. You're too independent." ] と忠告されるクダリを持ってきてるんですね。

 

ですから、この they の場合は(今度は those people じゃなく)クロスフィールド(とウォーカー)のことで、民間パイロット一般を示してるのではないと考えれば合点がいくじゃないですか―軍人パイロットにも輪を掛けて too independent な連中がいるだろうに、言い方が変でしょ。

 

あのシーンは第 3 章「イエーガー」が元ネタで、「イエーガーはまだやっと三十五で年齢は問題なかったが、大学にいっていない。クロスフィールドとジョー・ウォーカーは軍人ではなかった」[Yeager was young enough—still only thirty-five—but had never attended college. Crossfield and Joe Walker were civilians. ] というクダリとのつぎはぎ細工になっていて、いささか不用意に話をまとめすぎてるがゆえの目立たぬ勇み足とでも申しましょうか―たって、わたしは見逃してなどやらんが。

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3427】

 

クロスフィールドがマーキュリー宇宙飛行士にならなかったホントの理由(経緯)は詳らかにされていて、ご本人の簡潔な証言―

 

Randy Lovelace and General Flickinger were on the selection board. They took me to supper one night and asked me not to put in for astronaut. I asked them, ‘Why not?’ and they said, ‘Well, we’re friends of yours. We don’t want to have to turn you down.’ I asked, ‘Why would you have to turn me down?’ and they said, ‘You’re too independent.’

 

クロスフィールドは選考委員のラブレース(その3161参照)とフリッキンガー(その3142、49参照)に友を落とすのは忍びないゆえ審査に申し込むべからずと釘を刺され、何で落とされてしまうのか訝ると―

 

You’re too independent.

 

と指摘されたことがあり、事前に宇宙飛行士選考の内部情報を(逆インサイダー的に?)得ていたのである。

 

この(凹のセリフの元ネタになった)笑えるエピソードは原作にあるが、トム・ウルフの説明は少し違う―

 

NASA が宇宙に行く人間をまもなく選ぶことになろうということは公表されなかった。しかし、スコット・クロスフィールドはそれを知っていた。スプートニク 1 号打ち上げ後まもなく、クロスフィールド、フリッキンガーほか七名のものが、宇宙飛行のための「人間的要因および訓練」に関する緊急対策委員会の委員に任命されたのだった。クロスフィールドは、フリッキンガーが X-15 計画にそなえてライト・パターソン空軍基地で与圧服のテストをおこなっていたときに、彼に全面的に協力したことがあった。そこでクロスフィールドはフリッキンガーに近づき、宇宙飛行士になることに関心をもっていると話した。フリッキンガーはクロスフィールドが好きであり、敬服もしていた。彼はこう言った、「スコッティ、応募するなんて考えるなよ。はねられるのがおちさ。きみは独立心が強すぎるからな(You're too independent.)」 イエーガーがもはやエドワーズにいなくなった今では、クロスフィールドこそもっとも優秀なロケット機パイロットであり、エドワーズの伝説的パイロットの誰にも劣らぬ自負心の持ち主だった。さらに、機関エンジニアリングのこととなると、あらゆるパイロットのなかで最も優秀な一人だった。[中公文庫]

 

The fact that NASA would soon be choosing men to go into space had not been made public, but Scott Crossfield was aware of it. Shortly after the Sputnik 1 launching, Crossfield, Flickinger, and seven others had been named to an emergency committee on "human factors and training" for space flight. Crossfield had also worked closely with Flickinger when he was testing pressure suits at Wright-Patterson Air Force Base in preparation for the X-15 project. Now Crossfield approached Flickinger and told him he was interested in becoming an astronaut. Flickinger liked Crossfield and admired him. And he told him: "Scotty, don't even bother applying, because you'll only be turned down. You're too independent." Crossfield was the most prominent of the rocket pilots, now that Yeager was no longer at Edwards, and he had as well developed an ego as any of Edwards' fabled jocks, and he was one of the most brilliant of all the pilots when it came to engineering.(The Right Stuff)

 

 

ま、かようにクロスフィールドは内実を先刻承知してたんだから、今更 security clearance なんぞを(とやかく)論わなくたって、こっちからお断り―いったい誰が誰に言うてんねんってな(ちゃんちゃらおかしい)話です。

 

註) 原作の security clearance はアイゼンハワー大統領の鶴の一声によりmilitary test pilots に絞り込む理由付けに持ち出されるが、怪しげな 凸凹リクルータ・コンビのブーメラン(おまゆう)ギャグになっております。(その2923~4参照)

 

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3426】

 

関連 《過去レス復元コーナー》

 

その 153 (2003/10/20)

 

さて、問題のあのシーン―

 

イェーガーが、実験用のウサギになるのはご免だ I don’t hold with it. と言ったことを受けて、クロスフィールドが、俺もご免だ I don’t either. と続けます―

 

You want a pilot to be a ballistic missile. And then splash down,possibly get lost at sea. パイロットを弾道ミサイルにしたいんだろ。スプラッシュダウンして、後は海の藻屑か。

 

(字幕は「弾道ミサイルじゃあるまいし、海に落ちて あの世行きさ」 レンタルでは「おれ達はミサイルじゃないぜ  海に落ちて そのままお陀仏だ」)

 

このセリフは、うっかり聞いてちゃだめですよ―まさしく、X-15 の開発に携わってるクロスフィールドだからこその発言なんですから。

 

つまり、弾道ミサイル式にロケットでカプセルを打ち上げるやり方を否定してるんですね、こう言って―そのやり方は、ご免だと。(一方、X-15 式の延長線上のはるか先には、ぼんやりとながらスペースシャトルの影が見えるじゃないですか…)

 

そして、このセリフから、フィリップ・カウフマンが、あの時のクロスフィールドのスタンスと言うかシチュエーションを、はっきり自覚した上でのシーンだと判ります。

 

その証拠に、そう主張するクロスフィールドの前のカウンターに、さりげなく X-15 の模型が置いてありますから。(その3069参照)

 

だからこそ、おかしいと申し上げているのです、わたしくしは。

 

カウフマンは、クロスフィールドのシチュエーションを、じゅうぶん承知していた―その上で、民間だからとクロスフィールドの security clearance を問題にしてるかのように、凹のハリー・シェアラーに言わせている。

 

これを、ちゃんちゃらおかしいと言わずして、いったい何をちゃんちゃらおかしいと言うのか―

 

それとも、そんなこと言うほうが、ちゃんちゃらおかしいのか…? (←我ながら、それに一票)

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3425】

 

所詮 クロスフィールドはノースアメリカン社(業者)のフライトテストを滞りなくこなして、お客のホワイト(空軍)やウォーカー(NASA)らに(きれいに洗車しときましたぁとばかりに)チューンナップした X-15 を譲り渡すエンジニア兼パイロットの役を(誰にでもできる芸当じゃないし)引き受けてやってただけでしょう―先に(宇宙くんだりまで飛んで)目立ったりするなと言い含められて。

 

それでも純正ライトスタッフ・ファンなら誤解(混同)してはいけないことに、あくまでもクロスフィールドは X-15 を宇宙の高みまで飛ばしたかったのであり、決して(マーキュリーの)宇宙飛行士になりたかったわけではあるまい。

 

ライトスタッフ」でも 凸凹リクルータ(scouting for astronauts)コンビに宇宙飛行士なんぞ誰がなるか(弾道ミサイルじゃあるまいし海に落ちて あの世行きさ  You want a pilot to be a ballistic missile. And then splashdown. Possibly get lost at sea.)とイェーガー(Scouting for lab rabbits―その3065参照)と異口同音に拒否していたように、共にテストパイロットとしての矜持を明確に示す。

 

ところが(連絡官が推薦する our best pilots の一人)クロスフィールド(やウォーカーら civilian pilots)は security clearance に暇がかかる上、too independent だから対象外だと 凹 は(にべもなく)却下。(Forget about Walker and Crossfield and the other civilian pilots, too. The security clearance just takes too long with those people. Besides, they seem a little too independent. ―その2917参照)

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3424】

 

イェーガー(X-1)がマッハ 1(1947)でコリアー・トロフィーなら、クロスフィールド(D558-Ⅱ) のマッハ 2(1953)も―てことには簡単には参りませんで(すぐイェーガーの X-1A に抜かれるし―その3025参照)、クロスフィールドは本領の X-15 で(計算上 15-1 年 アップデートして?)1961 Collier Trophy をケネディ大統領から受賞する。(ボブ・ホワイト、ジョー・ウォーカー、フォレスト・ピーターセンの X-15 パイロット 4人―ちょっと前にケネディはクロスフィールド、ホワイト、ウォーカーの三人衆に 1961 Harmon Trophy を授与していて “It is a great pleasure to welcome back to the White House these distinguished airmen who won another trophy some months ago, and who I am sure will be back with us on many other occasions.” と上手に持ち上げてくれております)

 

次年度 1962 Collier Trophy でケネディが称えるのは他ならぬマーキュリー7(astronaut)であることからも明快なように、もはや X-15 は(X-1 や D558 などとは)全く別のステージ(spaceflight)に位置付けられていたと言えましょうか。

 

その X-15(spaceplane)の(設計デザイン段階から)中枢にいたクロスフィールド(North American Aviation’s chief engineering test pilot)の存在なくして、ウォーカーの高度 100 km もホワイトのマッハ 6 もない―クロスフィールドが他の X-メンの(いわば)お膳立てしてやったようなもので。(その2917~18参照)

 

おかげで自身のフライト(14 回)に特筆すべき記録は残せず、宇宙(into space)にまでは飛べなかった―いや、あえて飛ばなかったと嘆く。

 

クロスフィールドが甘んじて慣らし運転レベルにパフォーマンスを抑えていたのは(ぶいぶい鳴ってた腕に)手枷足枷をかけられていたからで、基本的に宇宙には進入禁止(“to stay in the sky, stay out of space”)って厳命されてたんですよ、野暮(で狭量)な空軍に。

 

仮にイェーガーがクロスフィールドの立場だったらと想像すれば事情は分かりやすいが、クロスフィールドは一人ノースアメリカン所属のパイロットで、ボブ・ホワイトら 5 名が空軍、ジョー・ウォーカーら 5 名が NASA、フォレスト・ピーターセンだけ海軍という構成だった。

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3423】

 

空軍が頑なに秘匿していたイェーガーの超音速フライトは(2ヶ月過ぎた)1947年12月22日に専門誌 Aviation Week(またの名を "Aviation Leak ")にリークされ、Los Angeles Times 紙が “U.S. Mystery Plane Tops Speed of Sound” なる見出しの号外(extra edition)を出して曝してしまう。

 

それでも(依怙地になって?)しらばくれていた空軍は 1948年 6 月やっと観念して(つい出来心で大それた真似をやらかしてしまいましたと)ありていに白状し、晴れて 12 月にはトルーマン大統領がイェーガー(ベル社の Larry Bell と NACA ラングレー研究所の John Stack の 3 人)にコリアー・トロフィー(1947 Collier Trophy)を授与する。

 

これは前年の(確たる成果が実証された)業績を称えるものなので、ぐずぐず公表を先延ばししていれば栄えある受賞はなかった―と考えられるとしたら、空軍は(月 283ドルの薄給で音速突破してみせた―その2921参照)イェーガーを(せめて)コリアー・トロフィーの最有力候補にノミネートしてやろうと慮った…てな部分もあったりして?

 

その名誉のトロフィーをイェーガーは(ぞんざいと言うか、なおざりにも)車庫なんぞに置いて中にボルトやナットをしまって有効利用してたらしい。

 

※ 空軍自前(Air Force 限定)では(なぜか 1940~1946  No award だったのに)1947 MacKay Trophy をイェーガーに(in 1948  事後承認的に?)贈ってはいる。

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3422】

 

だとするなら、パンチョが "Song of the Air Force" を作曲(楽譜を印刷)したのは 1948年 6月より後(誰に憚りなくイェーガーの音速突破をアピールできるようになって)のことなんだろうか?

 

でも、それじゃ遅すぎでしょ、タイミングが。

 

どころか、1950年の印刷(←空軍に送られた当のものかは不明にせよ)と思わせる記事すらあって、いくら何でもパンチョが 1947年の空軍独立デビューの機に新たなテーマソングを作って空軍の公式の歌にしようとしたと伝えられる経緯と(時系列的に)辻褄が合わない。

 

むしろ、パンチョはイェーガーの音速突破に触発されて(ステーキのゴチでは物足りずに)その讃歌を(折よく、と言うか)タイムリーな空軍のテーマソングとして仕立て上げた―てな気さえするくらいで、まあ何にしても X-1 の表紙(とイェーガーのブロマイド?)の楽譜じゃ 1948年 6月までは間違っても採用されるべくもないゆえ、当然かつ安易(にして持続可能)な流れで Off We Go into the Wild Blue Yonder(歌詞を Army Air Corps → U.S. Air Force にチェンジしただけの単純リサイクル・バージョン)が残念ながら歌われ続けることになったという顛末です。

 

ただし、パンチョの店でイェーガーやリドリーらが実際に歌い興じていたのは間違いなくパンチョのオリジナル "Song of the Air Force" のほうなのでありました―とさ。

 

註) ちなみに、スクリプトには―

 

“And nothing can stop the Army Air Force...”  (1953)

 

とパンチョの店で Air Force Song を歌うシーンがあり、エンディングでも使われる。(その3027参照)

 

この Army Air Force なんて歌詞はカウフマンらしい時系列無視中毒的な勘違い―「ライトスタッフ」は(もはや Army の付かない)純正 Air Force が舞台なので。(厳密には Army Air Forces が正式だけれど Army Air Force と単数表記される場合もあって、カウフマンはトム・ウルフに倣ったか―その3167参照)

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3421】

 

パンチョは "Song of the Air Force" の楽譜(sheet music)を印刷(Oro Verde Publishing Co.  Muroc, California)してプレゼンしている―その表紙は(何と驚くなかれ)青空を飛翔する赤の X-1 が(バ~ンと)センターに描かれていて(裏面にイェーガーやリドリーらの写真付き)、歌詞は faster-than-sound pilot を称えたりする内容だったそう。

 

イェーガーの X-1 音速突破は 1947年10月14日―9 月に陸軍航空隊が空軍になったばかりで、それを(目玉に)パンチョが空軍の歌に書き込んで印刷したとするなら、使えるわけないでしょ、なもの。

 

なぜなら、「ライトスタッフ」でも少佐が連絡官に口止めしてたように(その3058参照)、しばらくは門外不出(No word of this goes beyond the flight line. ―その3361参照)の機密事項だったんですから、X-1 による超音速フライトは。

 

なもの、大っぴらに歌えるわけがありません。

 

やっと空軍が公表(情報開示)したのは翌年(6 月)になってから―

 

原作―

 

その後五ヵ月間にわたって、イエーガーは X 1 に乗って十二回以上も超音速で飛んだ。しかし、それでも空軍はこのことを秘密にしておく方針をつらぬいた。『航空アヴィエーションウィーク』誌は十二月もおしせまって、これら一連の飛行についての報告記事をのせ―イエーガーの名にはふれなかったが―そのため『航空ウィーク』は国家の安全を侵害したのしないので、言論界ではちょっとした論争が起った。にもかかわらず依然として空軍は、一九四八年の六月まで、この件に関する発表を拒否しつづけた。[中公文庫]

 

Over the next five months Yeager flew supersonic in the X-1 more than a dozen times, but still the Air Force insisted on keeping the story secret. Aviation Week published a report of the nights late in December (without mentioning Yeager's name) provoking a minor debate in the press over whether or not Aviation Week had violated national security—and still the Air Force refused to publicize the achievement until June of 1948.(The Right Stuff)

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3420】

 

パンチョのおじいちゃん(the grandfather of Florence Lowe "Pancho" Barnes)はサディアス・ロウ Thaddeus S. C. Lowe―空軍の祖父 the grandfather of the United States Air Force なんて称されもする。

 

空軍 Air Force と言っても(もちろんライト兄弟以前の)南北戦争時、気球乗り(aeronaut、 balloonist)だったパンチョのおじいちゃんは空から偵察(情報収集)する Union Army Balloon Corps を(その有用性をリンカーン大統領に直接デモンストレーションし chief aeronaut に選任されて)編成したんですよ。(1861)

 

で、(話はライト兄弟以降の 20世紀に飛んで)U.S. Army Air Corps が U.S. Army Air Forces に名を変え、1947年 正式に(Army から分離した)空軍 U.S. Air Force が設立されるわけだけれど、この絶好の機を狙ってパンチョは(わたしゃ the granddaughter of Thaddeus Lowe だぁと?)空軍のテーマソング "Song of the Air Force" (words and music by Pancho Barnes)を新たに書き下ろし、空軍に(プッシュしまくって)売り込む。

 

結果は、「ライトスタッフ」でも空軍のテーマとして使われてる既存(1939~)の "Army Air Corps Song"(その3028参照)の Off We Go into the Wild Blue Yonder~♬(The Air Force Song)に取って代わる野望は(おじいちゃんの威光も届かず?)叶わなかった。

 

そりゃ、当然そうでしょうよ―と、わたしゃ思います。

 

パンチョの曲の出来がどうこう以前に、これじゃ使えねぇと即 ボツにされるに決まってる―と、わたしゃパッと見で思ったんです。

 

なぜか?

 

これは(かつて好評だった「謎シリーズ」の如く)ちょっと腑に落ちない(どうにも得心できない)話にはなるんですけど。

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3419】

 

スクリプトでパンチョが Fred と一緒にメキシコの Yaqui Indian の友達を訪ねるとグレニスに言うのは、たぶんカウフマンはイェーガーがパンチョから鹿狩りに誘われヤキ族の地(Yaqui Indian villages)に同行した話をネタ元にしてるんじゃなかろうか。

 

イェーガーはパンチョがヤキ語を当り前に喋れることに舌を巻いている―

 

Pancho said, “Do you like to hunt deer?” and I said, “Yeah.”  And she said, “Let’s go down and go to one of the Yaqui Indian villages and bring your rifle." ~

 

Out there in the Yaqui Indian villages, Pancho could speak Yaqui Indian language like a native. She was really a very talented gal. And I shot a buck. We gave it to the Indians. The thing that amazed me was how talented Pancho was in the languages... (Chuck Yeager Weighs In - Pancho Barnes)

 

パンチョお得意の colorful language(dirty joke)を皮肉ってるようにも聞こえるが、イェーガーの認めるとおり(She was really a very talented gal.)パンチョは多才で、例えば songwriter の才があった。

 

当時 パンチョの店で歌っていたミュージシャンらに(体裁よく言えば)何曲か提供してレコードになっている―その内 1 枚だけビッグヒット(million-selling single)があり、まあ正確には(体裁づけずに言えば)超ラッキーにも、たまたまミリオンセラーの B 面に使われてただけですけど。

 

"By Your Side" (A面 "Primrose Lane") 

 

歌手は(パンチョの友達でもあった) Jerry Wallace―ブロンソンの CM「マンダム〜男の世界」の、あのジェリー・ウォレスですよ、諸兄。(って、ご存じない?)