独り掲示板

ライトスタッフは名作です-2

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3329】

 

その1102~1105

 

「アポロ 13」におけるスワイガートは冒頭のパーティ・シーンからチャラチャラ(telling a blonde girl)した男に描かれていて、マッティングリーとの交代を知らせる電話がかかるのは in the shower with a girlfriend だったし、中盤で Dick Cavett (TV)が―

 

「港々に女がいるタイプ」(has a girl in every port)

 

「女を口説こうと月にもチョコを持っていった」(taking nylons and Hershey bars to the moon)

 

とジョークにしてるように、まぁ実際そんなふうなチャラチャラした男だったとしても、ちゃんとスワイガートは独身(first bachelor astronaut)だと断ってネタにされている。

 

他の連中と違ってスワイガートは(当時は唯一の)独身宇宙飛行士であるから、いくらチャラチャラしようが誰にもとやかく(例えばジョン・グレンに "keep your pants zipped" なんて説教を)言われる筋合いではなく、間違っても(ずいぶん評判のよろしくない)ドン・アイズリなんぞと一緒くたに(同一視)してはいけません。

 

打ち上げ前夜にラヴェルとヘイズに妻(と子供)が面会に来るシーンで、スワイガートには "Ja~ck!" と黄色い声がかかるだけ(姿は見えない)―むしろロン・ハワードの狙いは(スワイガートのチャラチャラにではなく)家族のあるラヴェル(とヘイズ)に対比させることにあろう。 (←ジム・ラヴェルとマリリンに「ライトスタッフ」のジョン・グレンとアニーを投影させているとも言えようし)

 

 

新入り CMP のスワイガートは月着陸クルー(ユニット)のラヴェルとヘイズからは仲間はずれで(元 CMP のマッティングリーについては we can predict each other's moves、we can read the tone of each other's voices と阿吽の呼吸のチームワークを強調するくせに)一人だけ完全に疎外された厄介者さながらに描かれる。

 

その(わざとらしくもベタな)構図をストレートに示すシーンが LM の CO2 フィルタ問題のヘイズとスワイガートのやりとりで、ヘイズ(LMP)は 3 度も計算してチェックしたので CO2 ゲージの数値のほうがおかしい(That can't be right. I went over those numbers three times.)と言い張るが、すぐに単純な計算間違いをしていたことに気づく―

 

H : Christ, I know why my numbers are wrong. I only figured it for two people.

 

S : Maybe I should just hold my breath.

 

哀れ (CMP の)スワイガートは 2 人乗り仕様の LM では数に入れるべくもない余計な(むだに息さえできない)存在―まさしく「ライトスタッフ」に言う a redundant component(冗長装置)なのだった…

 

参考

 

即席の CO2 フィルタの作成は(「アポロ 13」で描かれてるのとは全く違い)実際はスワイガートと capcom のジョー・カーウィンとの交信によりなされていて(その3001参照)、その間  ヘイズはと言えば一人グウグウ眠りこけていたとか―従って、ヘイズは CO2 フィルタ問題の解決には寄与しておらず、これに関しては(スワイガートではなく)ヘイズこそ a redundant component そのものだった? (結果的には月に着陸しなかったのだから LMP の出る幕はなかったわけで、言ってしまえば事実上むだな存在―対し、CMP のスワイガートがいなけりゃ アポロ13 は無事に戻ってこれなかったかも)

 

 

参考の蛇足

 

ラヴェル船長なら(CMP の)スワイガートがいなくても地球に戻れたと言いかねないが、司令船の操作やら何やらスワイガートの貢献度は(少なくともヘイズよりは)大きく、無事に戻るには不可欠だったはず。

 

と言って、わたしはスワイガートを擁護しているだけで、ヘイズを非難(否定)してるのでは勿論ない―ヘイズは不運にも(少なくともスワイガートよりは)出る幕がなかったと言ってるだけで。

 

ヘイズは同期の 19 人(Group 5)のなかでも優秀だったそうで、アポロ13 が予定通りフラ・マウロに着陸していたら、ヘイズは LMP として(得意のドリルで―その3256参照)いい仕事をこなしたに違いなく、更にはプログラムが縮小・削減されなければアポロ19 の CDR として月ミッションをやり遂げていただろう。 (←ラストのナレーションではヘイズのアポロ18 がキャンセルされたとしてるが、ヘイズのコマンドはアポロ19)

 

そう言えば、マッティングリーが交代させられて地上にいた(司令船のシミュレーションができた)から、アポロ13 は無事に戻れたと感じてる向きもあるようだけれど、あいにく「アポロ 13」で殊更かっこよく(一人だけ目立って)ドラマチックに描かれるマッティングリーは(多くの地上のスタッフを集約した)いわば象徴としての虚構の存在(その証拠に実物は禿のキューピー頭です)にすぎず、現実に一人マッティングリーの働きがアポロ13 を救った(マッティングリーがアポロ13 に乗っていたら戻ってこれなかった)というわけでは全然ない。 (←風疹の元凶のデュークまでもが病床を抜け出し裏方で LM の軌道修正シミュレーションをしていたとも聞く)

 

代わったスワイガートがヘマをしでかし、それを代えられたほうのマッティングリーが救う―よくあるハリウッド式の展開、あくまでも「アポロ 13」は(ロン・ハワードが創作した)映画であって、あまり(ナイーブに)真に受けないようにしましょう。

 

 

スワイガートが(in the shower with a girlfriend のシーンで)バックアップは雑用係を仰せつかっている(The back-up crew has to set up the guest list and book the hotel room.)と説明するが、もとネタは(たぶん)ラヴェルの証言(Johnson Space Center Oral History 25 May 1999)で―

 

normally the backup crew at that stage are the gofers ~ they get the hotel rooms for the guests.

 

などとインタビューで応えている。

 

なので スワイガートが打ち上げ前は(あれこれパシリで忙しく)しばらく 訓練から離れていたのは本当のことのようで、それでも直前の(わずか) 2 日間で―

 

Jack proved out to be a very, very competent pilot ~ he appeared perfectly comfortable with the vehicle.

 

と言わしめるほどの何の不足もないスキルを実際は示しており、映画はウソだ(the movie shows you a little bit different.)とラヴェルは明かす。

 

ただ、やはり 少なくとも当初は―

 

Jack hadn’t really been part of the team.

 

と付け加えておりますね。

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3328】

 

その1099~1100

 

前述したように「アポロ 13」でヘイズはスワイガートより年下のくせして(おまけにLMPはCMPより格下とも言えるのに)、偉そーに「(攪拌する時)目盛りを読んだのか」と(まるでスワイガートが目盛りをチェックせずに攪拌したせいで爆発したとばかりに)なじるが、こんな言い争いは(理屈に合わないし)あるわけない。

 

 

ス : 俺はタンクを攪拌しただけだ (All I did was stir those tanks.)

 

ヘ : スイッチを押す前にゲージを見たか? (What was that gauge reading before you hit the switch?)

 

ス : タンクを攪拌しろと言われたから指示どおり攪拌しただけだ! (They asked me to stir the damn tanks and I stirred the tanks!)

 

ヘ : ゲージを見たかと訊いてるだけだ 見てないんだろ! (I just asked you what the gauge was reading.  And you don't know!)

 

 

スワイガートは(劇中で反論してるように)ヒューストンの依頼(←capcom の交信記録 "13, we've got one more item for you, when you get a chance. We'd like you to stir up your cryo tanks."―その2996参照)に応じて素直に攪拌ファンのスイッチを入れただけで、その際に(スイッチを入れる前に)ゲージの目盛りを一応チェックしたほうが(水素タンクの警報が不調で酸素タンクが異常でも警告灯が点かない可能性があったので)好ましいのかもしれないが、むしろ目盛りを正確に読むために予め攪拌する(地上と違って無重力下なので液体酸素を攪拌して均しておいて正しい状態を確認する)のであって、その逆―攪拌するために目盛りをチェックするのでは全然ない。 (よって、攪拌する前にゲージを見てなければいけないなんてことはなく、見てないからと言って何ら咎められるような問題ではない)

 

なのにヘイズは(年下かつ格下のくせして)筋違いにも「目盛りを読んだのか」などと偉そーにスワイガートを詰問する―なことは実際にあるわけない(話を盛った)脚色なのは(本物のヘイズに "the crew conflict was something Hollywood added to make us seem more human" と教えられるまでもなく)明らかです。

 

 

「アポロ 13」のラストに トム・ハンクスラヴェル)のナレーションがあって、ヘイズは予算削減のためアポロ18 がキャンセルされ二度と飛ばなかった(Fred Haise was going back to the Moon on Apollo 18, but his mission was canceled because of the budget cuts,he never flew in space again.)と語り(←アポロ13 前にアポロ20 が、アポロ13 後にアポロ18、19 がキャンセルされた―ヘイズの予定ミッションは実際はアポロ18 ではなくアポロ19)、続けて―

 

Nor did Jack Swigert. Who left the astronaut corps and was elected to Congress from the state of Colorado,but he died of cancer before he was able to take office.

 

と、スワイガートの死に触れる。

 

これは「ライトスタッフ」のラストのナレーション(リドリーの声)が―

 

The Mercury program was over. Four years later, astronaut Gus Grissom was killed, along with astronauts White and Chaffee, when fire swept through their Apollo capsule.

 

と、ガス・グリソムの死に触れていることと完全にオーバーラップしているように(わたしの目には)映るけれど、「ライトスタッフ」に心酔するロン・ハワード(その3223参照)が「アポロ 13」のスワイガートを「ライトスタッフ」のガス・グリソムに重ね合わせる仕方で(それを 100% 意図してではないとしても、少なくとも明確に意識してに違いない)演出したことの現れ―そして、実はライトスタッフ・ファンであることの(手の込んだ、それでいて遠慮がちな)告白のように(わたしの目には)映る。

 

蛇足

 

言わずもがなではあるけども―

 

>「アポロ 13」のロン・ハワードは「ライトスタッフ」のフィリップ・カウフマンほど嫌味(辛辣)な感じではない

 

その微妙にして決定的な差こそが「ライトスタッフ」をして名作たらしめているという感じもする。

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3327】

 

その1091~1093

 

何事も先走らないはずの NASA と言えば、マッティングリーはスワイガートに交代させられることを何とカーラジオのニュースで初めて知ったという(まるで「人類、月に立つ」のジャック・シュミットみたいなと言うか、ひょっとしたらネタもとかと推測される)話があって(その2987参照)、「アポロ 13」ではラヴェル(とヘイズ)が直接伝えるが、そのシーンでトム・ハンクスラヴェル)は―

 

「俺の決断だ」 (This was my call.)

 

と言って、ぐずるマッティングリーに決定が覆せないことを自身(船長)の責任において示す。

 

医者(flight surgeon)がラヴェルを説得する時―

 

「もしケンが感染していたら、ちょうど君らの着陸船が司令船に戻る頃と発病の時期が重なるんだよ」 (Ken Mattingly will be getting seriously ill precisely when you and Haise will be ascending from the lunar surface to rendezvous with him.)

 

と言うのも、実際はラヴェルは「月面での活動に何ら支障はない」「病気になっても無重力下ほど快適な環境はない」などと反論して、そのままマッティングリーで続行するよう要求したものの、あえなく却下されたのであり、決してスワイガート個人(の資質や訓練不足)をとやかく問題にして交代に反対したのではなく、あくまでスワイガートは(ラヴェルNASA 長官に応えたように)CMP として申し分ないと認められていた。 ("no problem at all with Jack" ―ヘイズ)

 

 

ラヴェルは仮にマッティングリーが風疹に感染してるにしても発病するのは地球への帰路だろうし騒ぐほどのことじゃなく、CMP のマッティングリーがダウンしても(アポロ 8 で CMP を経験してるんだから)自分たちで司令船を地球に戻せる("Measles aren't that bad, and if Ken came down with them, it would be on the way home, which is a quiet part of the mission. From my experience as command module pilot on Apollo 8, I know Fred and I could bring the spacecraft home alone if we had to.")と訴える。

 

だが NASA 長官には聞き入れられず、マッティングリーをスワイガートに代えるか、さもなくば 3 人ともアポロ13 を諦めるかの選択を迫られ、やむなく マッティングリーを外す決断をした―この CMP の交代は(ヘイズが言うように)むしろ想定内のオプションで、ラヴェル(CDR)と ヘイズ(LMP)の月着陸クルーなら二人セットで処理されるところ。

 

つまり、ラヴェルとヘイズは(マッティングリーと違って)単独では交代できないシステムで、代わるのなら二人一緒に(それぞれのバックアップの)ジョン・ヤングとチャーリー・デュークに代わらねばならないが、このデュークこそ(マッティングリーに風疹をうつしたかもしれない)そもそもの元凶なのであるから、アポロ13 は現実にはバックアップ組とも交代できなかったんじゃなかろうか―ちょっとばかり引っかかる点ではあります。 (「アポロ 13」でデュークが風疹にかかったと知らされたラヴェルは "So we need a new back-up." と応えている)

 

 

ちょっと引っかかるというのは、NASA 長官の選択肢に従えば、もしもラヴェルがマッティングリーとスワイガートの交代を拒否したら、アポロ13ラヴェル、ヘイズ、マッティングリー組では飛べない。

 

さりとて、バックアップのヤング、デューク、スワイガート組も(LMP のデュークだけを単独では代えられないはずだし、無理に代えようたって風疹にかかったデュークの更なるバックアップなんていないので)アポロ13 は飛べない。

 

となると、次のアポロ14 のシェパード、ミッチェル、ルーサ組を繰り上げるか―これも、もともと(それこそシェパードの訓練不足のため)アポロ13 からアポロ14 に繰り下げられた経緯からして(それもリフトオフの直前になんて)考えられない。

 

だとするなら、ラヴェルがマッティングリーを外してスワイガートを受け入れない限り、誰(どの組)もアポロ13 を飛べない―即ち、とどのつまりはアポロ13 のミッションそのものを(リフトオフの 2 日前に)キャンセルせざるをえないという理屈になろうが、むろん NASA は(いくら NASA でも)そこまで馬鹿ではない。 (←結果的には途中でキャンセルする羽目になったけど)

 

要するに、NASA 長官に従えば(ミッションそのもののキャンセルが無理筋なら)やはりラヴェルとヘイズが CMP をスワイガートに代えてアポロ13 を飛ぶ以外に選択の余地はなく、ラヴェル組がアポロ13 を見送る選択肢など非現実的な口先だけのオプションだったことになろう。 (よもや NASA 長官とてアポロ計画を潰す肚じゃあるまいから)

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3326】

 

スワイガート関連―

 

その1090

 

それを裏付けるヘイズの証言があり、実際はスワイガートが司令船(CSM)に習熟・精通していたことを明言して(Jack was very versed on the technical aspects of a command and service module and flying one.)、更に一般論として(自身がバックアップをやった時の経験から)プライム・クルーよりバックアップ・クルーのほうが(つまり、マッティングリーよりスワイガートのほうが)むしろ訓練時間は多いとしている。 (So I think if you looked at the records, you would see a backup crew generally might get a few more hours’ training than the prime crew.)

 

従って、「アポロ 13」におけるスワイガートの(リフトオフ 2 日前の付け焼刃的な)シミュレータ訓練のシーンで、まことに覚束ない腕前(司令船操縦技術のなさ)をさらしてしまい、周囲を不安にさせるなんてことは実際にあろうはずのない(スワイガートに甚だ失礼な)脚色で、トム・ハンクス(ジム・ラヴェル役)がマッティングリーの代わりにスワイガートをと言われた時の反応(吹き替え)―

 

「ジャックは何週間も訓練から離れてる」 (Jack Swigert has been out of the loop for weeks.)

 

「優秀なパイロットでもシミュレーション訓練が足らない」 (He's a fine pilot. But when was the last time he was in the simulator?)

 

と、スワイガートのシミュレータ訓練不足を理由に強く反発するのも当然ウソ八百。 (ヘイズによれば、もともと CMP はバックアップと単独の互換性があるように訓練されていたそうだし)

 

 

ラヴェルNASA 長官(Thomas O. Paine)に―

 

"(I said) in that case we'll be happy to accept Jack Swigert, the backup CMP, a good man."

 

と応えたのが本当らしい。

 

参考

 

ただし、訓練不足に関してだけはジム・ラヴェルは確かにセリフと同じように(ヘイズに反して)自分たちがシミュレータを独り占めしてたからと証言しているが、それでもスワイガートは “very, very competent” であり、代わるならスワイガートしかありえないと強調し映画のウソ(just for interest)を指摘している―

 

Apollo 13 chief Lovell talks moon, Mars and his pal Jack Swigert (The Denver Post November 10, 2015)

 

Jack was a very competent astronaut and I think the movie … I guess they showed his personal side just for interest.

 

He didn’t train for about two months before launch, really, because most of the simulators and other things were hogged by the primary crew.

 

So he felt like he had to earn his wings every day, but in reality he was very, very competent and also he was one of the people that developed the malfunction procedures for the command module.

 

Consequently, if I had to replace Ken Mattingly with anybody, it would have been Jack Swigert.

 

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3325】

 

トム・ハンクスの笑えるケヴィン・ベーコン評(謎の BFCUKB 記事)―

 

Tom Hanks recounts what he learned from Kevin Bacon during Apollo 13(Entertainment Weekly  2016/ 4/22)

 

He recounted the story of how director Ron Howard was fretting about how to frame a shot, and Bacon walked up to him and said, “I don’t want to boss you around, Ron, but I really think the shot should be a B.F.C.U.K.B. right here.”  When Howard asked what he meant, Bacon explained that it stood for a “big f—ing close up of Kevin Bacon.”

 

 (Kevin Bacon Can Save Any Scene With A BFCUKB など本人が説明する動画あり)

 

その1110

 

余(冗)談

 

「アポロ 13」はジム・ラヴェルトム・ハンクス、フレッド・ヘイズに ビル・パクストン、ケン・マッティングリーに ゲーリーシニーズ、そして ジャック・スワイガートに ケビン・ベーコンを配している―この顔ぶれを見るだけで、概ねロン・ハワードの思惑(ベタな意図)が察せられる。

 

わたしは トム・ハンクスなくして「アポロ 13」は基本的に成立しえないと思うが、ラヴェルご本人の意向は自分に似ているケビン・コス(ト)ナーだったとか。

 

ケビン・コス(ト)ナーとケビン・ベーコンとくれば、いっそ酔狂に ケビン・クライン(ヘイズ)、ケビン・スペイシー(マッティングリー)と揃え、意味なく ケビンづくしの陣容にしたらどうか。 (←ごく一部へのウケ狙いで マッティングリーに ケビン・ダン、ジーン・クランツにケビン・スペイシーといったマニアック・バージョンも考えられる)

 

或いは、似てるということならラヴェルはケビン・コス(ト)ナーより(老いて益々)メル・ブルックスに(笑えるくらい)そっくりで、この監督・主演の「アポロ 13」(当然 はちゃめちゃパロディ)をシミュレートするだけでオモロそう―スワイガートに ジーン・ワイルダー(吹き替えは広川太一郎)、ヘイズに マーティ・フェルドマン、マッティングリーに ピーター・ボイル、もちろんマリリン役には アン・バンクロフト… (完全にスベる可能性も)

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3324】

 

ライトスタッフ」のガス・グリソム=フレッド・ウォードは基本構造の 3 本柱(その3021参照)の重要キャストゆえと想像するが、カウフマン自らが振り当て変更してくれたようで―

 

Fred Ward (Gus Grissom): I was asked to play another astronaut at first. But then Phil asked me to read for Gus Grissom. That was exciting because I really liked the character. What he had to go through, his so-called blowing a hatch. I’d been in the Air Force when I was young, not as a pilot, but as an airborne radar technician in Goose Bay, Labrador, during the cold war. We were one of the first lines of defense. We’d work on the ground, meet with the aircraft, speak to the pilots, see what was going on with the equipment, pull it into the shop. Then we’d have these alerts; we’d have to go out at night and load missiles. These astronauts were big people at the time. (An Oral History of the Epic Space Film The Right Stuff | WIRED)

 

と(空軍経験者として)思い入れを語る。

 

アルカトラズからの脱出」(1979)(その2938参照)から好印象だったフレッド・ウォードは「レモ/第 1 の挑戦」(1985)なんて拾い物を映画館で見たし、「トレマーズ」(1990)も笑えていいねぇ―相棒がケヴィン・ベーコンですよ。

 

ガス・グリソムとジャック・スワイガート―そう見えてしまうのは、わたしだけかいな。

 

その1089

 

「アポロ 13」における嘘(見ようによっては大きな嘘)の一つにスワイガートの(役回り的にネガティブな)描き方がある。

 

その786で―

 

実際のジャック・スワイガートの人となりがどうだったにせよ、わたしは 「アポロ 13」 におけるスワイガートの描き方に(わずかながら) 「ライトスタッフ」 のガス・グリソムと共通するものを感じる―グリソムと同様に スワイガートも何か文句を言おうにも言えなかったので。 (←1982年12月、下院議員に就任する一週間前にガンで死亡)

 

と書いたが、「アポロ 13」のロン・ハワードは「ライトスタッフ」のフィリップ・カウフマンほど嫌味(辛辣)な感じではない。(その3223参照)

 

にしても、その783―

 

ヘイズがスワイガートに偉そうな口をきいて言い争うシーンは、二人とも同じ Group 5 の新人(初フライト)である上に、実際は ヘイズのほうがスワイガートより 2 才 年下だということを知ると(特に吹き替えで見たなら)かなり違和感のある脚色に思える。

 

と書いてるように、少なくともスワイガートという存在を見くびった印象になっていて、司令船パイロットとしての技能も数段マッティングリーより劣る(シミュレータ訓練が不足している)かのように描かれる。

 

けれど、もしもマッティングリーが優秀な CMP だったとするなら、そのバックアップのスワイガートも同レベル(以上)のスキルを備えた優秀な CMP だったに決まってる―でなければ、バックアップとして務まらないゆえ。 (←それがバックアップなのであって、直前の交代が可能だったという事実はシステムとして当たり前に機能しえたことを示していよう)(その2990参照)

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3323】

 

フライド・グリーン・トマト」で(たぶん)〇べられてしまったニック・サーシー関連―

 

「NCIS」(season 5  "Family")

 

ゲストにニック・サーシー(正しいキャラ―即ち、悪役で)登場、主役のマーク・ハーモンとは「人類、月に立つ」で共演しております。

 

雑感―その 76

 

ライトスタッフ」でスコット・ポーリン、「アポロ 13」でクリス・エリスが扮したディーク・スレイトン役に「人類、月に立つ」では(こちらのトピでは名の知れた)あのニック・サーシー、かなり重要なキャストで(本性を隠して?)不埒なマネは一切いたしません。(でも怪しい)

 

総じて「人類、月に立つ」のキャスティングはクセがあると言うかアク(悪)がありまして、ガス・グリソム役のマーク・ロルストン然り、フランク・ボーマン役のデビッド・アンドリュース然り、そしてディーク・スレイトン役のニック・サーシーと危ない連中が顔を揃えていて、おまけに忘れちゃいけないニール・アームストロング役が何と トニー・ゴールドウィン… (先に書いたようにアームストロングはパトリック・キルパトリックが似てるんですけど、ちょっと危なすぎか)(その2939参照)

 

 雑感―その 97

 

ニューオリンズ・トライアル」

 

わたしには話が甘いと言うか絵空事のように感じるが、ジョン・九作を筆頭にジーン・ハックマンダスティン・ホフマンらメインのキャスティングをどうにかすりゃマシになりそう(←わたしの好みからすればですよ)―で、その例外で嬉しいのはニック・サーシー、近況は知らないけれど「人類、月に立つ」とは違って、本来の悪い(ちょいワル程度ながら)あるべき姿のニック・サーシーやね。

 

「人類、月に立つ」のディーク・スレイトン役ではガス・グリソム(マーク・ロルストン)に「最初にマーキュリー7の誰かに月に行ってもらいたいと思ってる」と情に篤く (←グリソムは「実は俺、マーキュリー7の一人なんだ」と トボケて応える―その2972参照)、アポロ 1 の火災事故の後 グリソムら 3 人のクルーがスレイトンのために密かに作ってやっていた宇宙飛行士のピンをクルーの夫人から形見としてプレゼントされてウルッとする(少々よく描きすぎの)いい人満開のニック・サーシーなのだった。(その2907参照)

 

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3322】

 

シラー役のランス・ヘンリクセン(On playing Wally Schirra in The Right Stuff)は―

 

I was very unhappy with how The Right Stuff turned out. Phil Kaufman did it as a satire, and I thought the Mercury astronauts were heroes, not “spam in a can.” I was very outspoken about it when the film came out, and I don’t think Phil ever forgave me. Gordo Cooper and I became very good friends afterward, and he was my advisor on a screenplay I wrote about space travel. I hope I can get it made some day. (Lance Henriksen: A Survivor’s Tale  by Alex Simon )

 

と、カウフマンの皮肉な描き方(satire)が全く気に入らなかったようで、そのせいか(もともとシラーは本筋には不要だし)殆どカットされてる感じだけど、「ライトスタッフ」で冗長装置 a redundant component(その3030参照)的に扱われるシラーとスレイトンはアポロ月ミッションでも欠くべからず存在ゆえ「人類、月に立つ」では(その尻拭いと言うか、反動みたいに)幅を利かせてますね。(哀れ海底の藻屑となったカーペンターは除く―その3202参照)

 

特に(シラーのマーク・ハーモンにも増して―その3315参照)差配役のディーク・スレイトンにニック・サーシーが扮し、いい味付けのキャスティングになっている。(その3224参照)

 

参考記事

 

TV Tidbits: Nick Searcy looks back on 'From the Earth to the Moon'(Jul 13, 2019)

 

“It was a monumental achievement, and a great experience,” Searcy said of filming the miniseries. “ We shot scenes in the original blockhouse that was the command center. ... I will never forget being there, and walking on the same ground that these American pioneers trod.

 

He described playing Deke Slayton as “a great honor.” He never got to speak with Slayton himself, who died five years before the miniseries aired. “I actually got to speak to his widow, Bobbie, in preparing for the role, and she gave me an autographed patch for the Apollo-Soyuz mission that Deke finally flew on,” he said. “And I had a great wig.”

 

 

その2662(2018/ 4/ 4)

 

「NCIS」(South by Southwest)にランス・ヘンリクセンがゲスト出演(アリゾナの老保安官役)していたが、まぁ… 主役のマーク・ハーモン(ジェスロ・ギブス役)との純正ライトスタッフ・ファン的つながりに気付く人とてなかろうけど―

 

関連レス(「おっさん脇役」トピ)

 

雑感―その 230

 

マーク・ハーモンは 「人類、月に立つ」 で ウォーリー・シラー に扮して目立っとりましたけど、そのシラー役に 「ライトスタッフ」 では ランス・ヘンリクセン、こちらは全然(とりあえず数合わせにいるだけで)目立っとらん。

 

あ、「クリミナル・インテント」 だか 「コールド・ケース」 だか、ジェリコ・イヴァネク が(いつも似たような役柄の)犯人でキューピー頭を晒しとりましたが、もはや安易とさえ感じるキャスティングやね―「人類、月に立つ」 の ケン・マッティングリー 役みたいなのも(あれこれ)やらんと。

 

あれで ビリー・ボブ なんかも宇宙飛行士役とか変に似合うやろ―「アルマゲドン」 じゃ ディーク・スレイトン ふうやったし。

 

スレイトンは 「人類、月に立つ」 で扮する ニック・サーシー が主役の一人くらいの扱いで、「ライトスタッフ」 の スコット・ポーリン はもちろん、「アポロ 13」 の クリス・エリス とも大違い。

 

誰やかれや、おっさん脇役で固めた実録宇宙ものを想像するだけで楽しめるなぁ… (小男だった ガス・グリソム を ガンドルフィーニ が演ったりして―できなくなったけど)

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3321】

 

ライトスタッフ」ではイェーガーが(孤高のライトスタッフとして)不動のセンターに立つ。(その3021参照)

 

この正しい構図(構成)が大前提ではあるが、そのイェーガーにサム・シェパードが(超然とまでスタイリッシュに)扮することで結果「ライトスタッフ」は奇跡的な名作となりえた。

 

神はサイコロを振らない(God doesn’t cast dice.)にしても、このキャスティング(cast)は神の御業かとさえ思わせる役の振り当てで、純正ライトスタッフ・ファンはカウフマン夫人 Rose Kaufman の(カウフマン監督に“Sam’s your man.” と啓示した)霊妙なるセンスと慧眼に感謝しなければなるまい。(その2933、3153、3156参照)

 

カウフマンの証言―

 

Right about then, Rose and I went to the Intersection, when it was over on Union Street, to hear Sam read some of his poetry. There he was, this tall, string-bean kinda guy in a leather jacket reading that… elusive poetry. Afterwards Rose said: “Well, there it is. Sam’s your man.” (Why Sam Shepard Has “The Right Stuff” - Film Comment by Philip Kaufman on August 4, 2017)

 

たとえ完全無欠のジョン・グレンエド・ハリスや 100% はまり役のゴードン・クーパーデニス・クエイドがキャスティングされなかったとしても、チャック・イェーガーサム・シェパードである限り、カウフマンの「ライトスタッフ」は成立するのであって、なぜか助演男優賞にノミネート(Oscar nomination for Best Supporting Actor)されたサム・シェパード(の孤高のライトスタッフ)が「ライトスタッフ」を名作たらしめている。

 

ライトスタッフ」のオスカーは編集賞(film editing)、作曲賞(original score)、音響賞(sound)、音響編集賞(sound effects editing)―なものより、カウフマン夫人へキャスティング賞(best casting―オスカーにはない賞だけれど)を与えるのが正しいのである。(実際の castingは by Lynn Stalmaster)

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3320】

 

わたしがイェーガーを最後のライトスタッフと呼ぶ時、そこに究極のライトスタッフとか至高のライトスタッフとかのニュアンスを感じさせるやもしれない。

 

むろん、それはそれで正しいのだけれど、最後のというのは文字通り時間的に最後であることを単純明快(plain and simple)に意味している。

 

マーキュリー7の(「ライトスタッフ」以前の)ガス・グリソム(1967)はともかく、ディーク・スレイトン(1993)、アラン・シェパード(1998)、ゴードン・クーパ(2004)、ウォーリー・シラー(2007)、スコット・カーペンター(2013)、残っていたジョン・グレン(2016)も既に亡い。

 

テストパイロットではスリック・グッドリン(2005)、スコット・クロスフィールド(2006)、そしてチャック・イェーガーが 2020年 歿―即ち、事実上 イェーガーこそ最後のライトスタッフなのである。

 

これは定義からして当然(論理的に必然)の結果とも言えて、真のライトスタッフは最後まで pushing the envelope し続ける(その3040参照)―要するに、しぶとい(その2922、3288参照)ひたすらに最後までしぶとくあらねばならないということがライトスタッフの(わたしなりの)定義なんですよ。

 

よって、イェーガーは真の最後のライトスタッフであり、究極にして至高のライトスタッフだったと申せましょうね。

 

その1337

 

msg 769 (2003/10/11)

 

そう言や、超音速突破記念日も間近。

 

確か イェーガーは、年間 1ドル(セント?)だかの特別顧問職か何かだったのも、去年ついに お払い箱になって、今や完全にリタイア状態とか―

 

ところがどっこい、次の 2007年10月14日の 60 周年には、またしても超音速フライトをするつもりでしょう、きっと。 (あの将軍のことだから、必ずや飛びますよ―何ちゅう、しぶとい爺さんや)

 

と、わたしは予見していたのであった。(と、例によって自慢するのであった)(その2942参照)