【誰にともなしに、独り言レス―その3321】
「ライトスタッフ」ではイェーガーが(孤高のライトスタッフとして)不動のセンターに立つ。(その3021参照)
この正しい構図(構成)が大前提ではあるが、そのイェーガーにサム・シェパードが(超然とまでスタイリッシュに)扮することで結果「ライトスタッフ」は奇跡的な名作となりえた。
神はサイコロを振らない(God doesn’t cast dice.)にしても、このキャスティング(cast)は神の御業かとさえ思わせる役の振り当てで、純正ライトスタッフ・ファンはカウフマン夫人 Rose Kaufman の(カウフマン監督に“Sam’s your man.” と啓示した)霊妙なるセンスと慧眼に感謝しなければなるまい。(その2933、3153、3156参照)
カウフマンの証言―
Right about then, Rose and I went to the Intersection, when it was over on Union Street, to hear Sam read some of his poetry. There he was, this tall, string-bean kinda guy in a leather jacket reading that… elusive poetry. Afterwards Rose said: “Well, there it is. Sam’s your man.” (Why Sam Shepard Has “The Right Stuff” - Film Comment by Philip Kaufman on August 4, 2017)
たとえ完全無欠のジョン・グレン=エド・ハリスや 100% はまり役のゴードン・クーパー=デニス・クエイドがキャスティングされなかったとしても、チャック・イェーガー=サム・シェパードである限り、カウフマンの「ライトスタッフ」は成立するのであって、なぜか助演男優賞にノミネート(Oscar nomination for Best Supporting Actor)されたサム・シェパード(の孤高のライトスタッフ)が「ライトスタッフ」を名作たらしめている。
「ライトスタッフ」のオスカーは編集賞(film editing)、作曲賞(original score)、音響賞(sound)、音響編集賞(sound effects editing)―なものより、カウフマン夫人へキャスティング賞(best casting―オスカーにはない賞だけれど)を与えるのが正しいのである。(実際の castingは by Lynn Stalmaster)