【誰にともなしに、独り言レス―その3082】
カウフマンはトム・ウルフ(原作)自らが言葉で表現し難い "ineffable"(その3042 参照)とするライトスタッフという曖昧で漠然とした概念を具体的にビジュアル化(映像表現)した―要するに、それが映画「ライトスタッフ」である。
言い換えるなら「ライトスタッフ」はライトスタッフとは何かという問いへの明快な答―即ち、ライトスタッフの具現者たるイェーガーを(より正しくはイェーガーに扮するサム・シェパードを―その3040 参照)何ら言葉で説明することなく一目瞭然に(はい、これがライトスタッフですよと―その3046 参照)提示する。
従って、イェーガーという存在は「ライトスタッフ」に絶対不可欠の真髄(必須アイテム)なのであって、いやしくもタイトルを「ライトスタッフ」と銘打つ限り、ライトスタッフのピラミッドの頂点に立つイェーガーその人(Yeager was at the top of the pyramid―その3022 参照 everyone knew the name of the individual who ranked foremost in the Olympus, the ace of all the aces, as it were, among the true brothers of the right stuff―その3044 参照)(せめても、テストパイロットとしてのイェーガー的な何かコアな部分)を無視してしまっては看板に偽りありのフェイク映画にしかならない。
まさに当初のウィリアム・ゴールドマン脚本(その3029 参照)がそれで、単なる(どれだけ原作を下敷きにしていたところで、イェーガー抜きの)マーキュリー宇宙飛行士のドラマをもって「ライトスタッフ」(でござい)と名乗るのは全く意味不明―それはまた別の話ってやつで(「明日に向って撃て!」「大統領の陰謀」をものにしたビッグネームであっても、その内容の良し悪しに係わらず)お門違いにして見当外れ、おこがましくも不埒でさえあろう。
当然、カウフマンは(こんなの、「ライトスタッフ」じゃないやいと)ゴールドマン脚本を蹴る―
How did you get involved with “The RightStuff” ?
Chartoff and Winkler, Hollywood producers who had just produced Raging Bull, they sent me William Goldman’s script and Tom Wolfe’s book. I read Wolfe’s book and I loved it and I read Goldman’s script and I didn’t love it. I said I don’t want to do this, its not about The Right Stuff that he wrote something else. I knew Goldman we had worked together on something else that had not been made but anyway we got into some conversations about it and I said you have left out The Right Stuff, you have left out Chuck Yeager’s character, the very core about what Tom Wolfe’s book is all about. One thing lead to another and he quit the movie, I was almost fired as he was the most important screenwriter in Hollywood.
所詮、ゴールドマンは純正ライトスタッフ・ファンではなかったということでありますよ。