独り掲示板

ライトスタッフは名作です-2

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3319】

 

スコット・ケリー Scott Kelly はトム・ウルフの「ザ・ライト・スタッフ」に触発されてテストパイロット(海軍)~ NASA 宇宙飛行士になった。

 

The Tim Ferriss Show Transcripts: Scott Kelly(2020/11/07)

 

But I remember seeing this book on the end of the aisle, where they highlight the stuff that they’re trying to sell. I think it’s called the end cap or something of a bookshelf. And there was this book that had this very patriotic, red, white, and blue cover, a cool title. Caught my eye, made me pick it up. Wasn’t a big reader at the time, so it was kind of unusual for me to actually buy a book like that then, and read the back, found it interesting, looked through the first three pages, took my gum money or my beer money or whatever it was and bought the book, walked back to my dorm room and then opened it up. And basically didn’t get out of my bed for the next few days, just reading the stories of the fighter pilots, military fighter pilots, and test pilots that became the original Mercury, Gemini, and Apollo astronauts.

 

And the book was The Right Stuff by Tom Wolfe. And something in that book just really sparked my imagination.

 

 

12 月 8 日 (Dec 8, 2020) スコット・ケリーのツイート(@StationCDRKelly)―

 

Iconic Test Pilot General Chuck Yeager has slipped the surly bonds of earth. A WWII fighter ace and the first human to break the sound barrier.

 

He was a true legend with the right stuff.  Fair winds and following seas, General Yeager.  #RIPChuckYeager

 

 

最後のライトスタッフ、チャック・イエーガー  ついに墜ちる… (Dec. 7  at age 97)

 

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3318】

 

その2773~2782(2018/ 6/ 7)

 

関連レス―

 

その 927~928

 

アポロ 7 はシラーが宇宙で初めて風邪を引き、更にドン・アイズリとウォルター・カニンガムにうつしたミッションですが、シラー船長を苛々させ反抗的にさせた原因(きっかけ)は実は風邪ならぬ風だった。

 

シラーは打ち上げの際に海からの強風が吹いている場合は中止する("We don’t launch if the wind’s going to blow us back over the beach.")という a new Mission Rule を事前に提案し、その旨 ちゃんと取り決めていたにも拘らず、いざそうなっても風のルールが無視されたことで打ち上げ前から十分すぎるほど苛ついていた。

 

「人類、月に立つ」 Part 3 で「この風は嫌だ」(We're not happy about the wind situation here.)とごねるシラーをスレイトンが「気象学的には打ち上げに何の支障もないそうだ」(We have been assured by Meteorological that we have an acceptable launch condition.)と説得し、ようやく「ディーク、お前が大丈夫ってんなら大丈夫なんだろう」(Deke, if you say we're in the ballpark, then I guess we're a go.)とシラーが聞き入れ、ついに初のアポロ有人ミッション めでたく リフト・オフ! てな調子で描かれてるのは(例によってハリウッド式の)体裁付けで、話はそれ以上(肝心の風邪にも反乱にも)及ばず Everything is A-OK といった感じでエンディングとなる。

 

けれど、実際は「人類、月に立つ」みたいに冗談事じゃなく、マジ 頭にきてたとシラーは証言しております。 ("I was furious. It was not as jocular as it looked as on 'From the Earth to the Moon'.")

 

 

シラーが風の状態を気にしていたのは(「人類、月に立つ」で説明されるように)打ち上げ時に何か危険な トラブルが発生すると、非常脱出ロケットでカプセルを飛ばしパラシュートで海に着水して避難する手筈になってるが、もし海から強風が吹いてればカプセルが陸に吹き戻されてしまい、着地のショックで(着水とは違って転がったりするから)中のクルーは酷いダメージを受ける可能性がある。

 

シート couch がしっかり持ちこたえられるなら問題はないけども、アポロ 7 (BlockⅡ仕様)はアポロ 1 (Block I 仕様)と同じ旧いシートを間に合わせに使っており(←当然 BlockⅡcouch にすべきところを時間的に間に合わなかったので、ちょっと手直しした Block I couch を装備したらしい)、これだと着地 land landing に耐えられそうにない―その点をシラーは不安視して風向きが悪ければ打ち上げを中止すると取り決めていたわけです。

 

ところが、それを合意していたはずのミッション・コントロールが破り(someone broke that rule.)、やむなく シラーは妥協した(I was compromised.)―こういった状況をシラーは "go" fever ("go" fever meaning that we've got to keep going, got to keep going, got to keep going! ←イケイケ熱とでも訳しますか)と表現しており、あのアポロ 1 の火災事故においても、ガス・グリソム自身が "go" fever にかかっていたという(シラーならではの興味深い)見方をしている。 (Gus, I can recall saying, "If I can't talk to the blockhouse, how the hell are we going to go to the Moon with this damn thing?"  That's how bad the communications were.  He should have scrubbed.  He didn't.  He was himself involved in "go" fever.)

 

 

その 943~949

 

“Jolly Wally” ことウォーリー・シラーは(ジェミニ 7 とのランデブー・フライトを終え)ジェミニ 6 を大気圏に再突入させんとした際(1965年12月16日)、具体的な UFO 目撃報告をしている―

 

"We have an object, looks like a satellite going from north to south, probably in polar orbit....  I see a command module and eight smaller modules in front.  The pilot of the command module is wearing a red suit."

 

つまり、その物体は前部に 8 個の小型のモジュールがあって司令船のパイロットの服は赤―ま、ふざけたことに UFO の正体は 8 頭のトナカイ(eight smaller modules)とソリ(command module)で、むろんパイロットはサンタクロースというわけですが、そうやって前フリをしておいて、やおら(密かに持ち込んでいた)ハーモニカで「ジングル・ベル」を吹奏! (ベル伴奏を担当したスタフォードによると、この企みをシラーが打ち上げ数週間前に発案し、何度かリハーサルして準備していた)

 

こんな調子だったんですね、アポロ以前のシラーは…

 

参考 1

 

完全に一杯喰ったヒューストンでは capcom のエリオット・シーが (ミッション・コントロールを代表して)"You're too much." と呆れたそうな。

 

参考 2

 

一説によると、最初に UFO の暗号コード(即ち Santa Claus)を使ったのは他ならぬシラーだとかで、その事をギャグにしたイタズラだったか。

 

参考 3

 

シラーが吹いたミニチュア・サイズのハーモニカは a tiny, four-hole, eight-note Little Lady model manufactured by Hohner で、スミソニアン博物館に(スタフォードの小さなベル・セットと一緒に)展示されてるらしい。

 

 

“Jolly Wally”(light-hearted, joking)Schirra がアポロ 1 の事故~アポロ 7 の間(自らも周囲も認めてるように)すっかり人が変わったのは(それ以前のように)そうそうフザケてばかりもいられないシビアな状況になった(グリソムらの事故死を経てアポロ最初の有人ミッションを船長として担わなければならなくなった)ということで、気難しく頑固で神経質にして短気(←むしろ「ライトスタッフ」におけるランス・ヘンリクセンに似合ってそう)なキャラが例えば前述した風のルール問題に窺える。

 

それにノース・アメリカン社のジョン・ヒーリーが「シラー大佐とは折り合いよく やってきてるんですか?」(So you and Captain Schirra have always gotten along?)との架空のインタビューに「いや、初めはウォーリーも他の二人も扱いにくかったね」(No, Wally and his crew were quite a pain in the butt.)(シラーの表現では「囲いに入れられた二羽のチャボみたいなものさ」John Healey and I were like two roosters in a pit.) 「(マンハッタンの電話線並にケーブルがあって余りにシステムが複雑なので There's more cable than AT&T laid out in Manhattan.)宇宙飛行士のワガママばかり聞いてられないんだよ」(We did not need spacemen running roughshod over the plant.)

 

 

「デッドラインが迫ってるのに、あらゆる決定に参加させろと言ってきた」(There were critical deadlines. Wally was demanding to be in every decision.)などと応える(「でも、アポロ 1号の事故の後だと当然のことじゃないですか?」Did that surprise you, though, considering the Apollo 1 situation? と架空のインタビューアは反論する)シーンがあり、その頃のシラーが実際に(カプセルの製作段階から)あれこれ細々と執拗に口を挟む一筋縄ではいかない a hard-nosed commander who demanded attention to every detail だった様が(シラーは人が変わったんだと知ってないと見てるだけでは分らないにしても)全体的に描かれている。

 

(端的には、ディー・オハラ 「今日はイタズラはなし?」No gags today? ウォーリー・シラー 「下着の中に入れ歯のオモチャを仕込むつもりだったけど、やっぱり止めた」I considered putting chattering teeth in my underwear but decided against it. というやりとりの短いシーンが以前の “Jolly Wally” ではないことを示してくれてはいる―が、それでも事情を知ってないと意図されたものは分るまい)

 

 

このシラーが主人公である回(Part 3 : We Have Cleared The Tower)にギュンター・ウェントが登場するのは、そんなシーンがあるわけではないが実はシラーが全幅の信頼を寄せるウェントをアポロにおいても pad leader に引き入れるよう強く要請したからで、NASA はマクダネル社(←マーキュリー、ジェミニ担当)のウェントをノース・アメリカン社に異動して発射台に復帰させた―もしもマーキュリー、ジェミニ同様ウェントがアポロ 1 の時も傍に付いていたなら事故はなかったろうと、シラーのみならず旧知の飛行士は感じていたらしい。

 

そのウェントが人が変わったはずのシラーに「変わらないな」と笑うシーンがあって、打ち上げ前夜に発射台で独りカプセルをチェックするウェントのところへシラーがやって来る―

 

W 「やっぱりな 顔を見せると思ってた」(I was wondering when you'd stop by.)

 

S 「ああ、昔からの癖でね 船出前の最終確認だ」(It's an old habit.Checking out the boat the night before we ship out.)

 

W 「変わらないなぁ…どうぞ、我がオフィスへ」(I remember well. Please step into my office.)

 

この「変わらないなぁ…」は I remember well… と聞こえる―むろん間違いでも何でもない(こなれた)訳ではあるけれど、わたしの解釈(シラーは人が変わったという隠しテーマ)からすれば「そうだったな」くらいにしてもらいたいセリフですね。 (実際にはウェントもそう証言してることだし―"After the fire, he changed quite a bit.")

 

 

カプセルの最終確認をするシラーのところへ今度はジョン・ヒーリーがやって来て―

 

H 「寝る前に見ておきたくて」(I came to check on her before I hit the sack.)

 

S 「俺たち、似てるな」(Great minds, you know?)

 

H 「確かに」「頑張れよ…ボン・ボヤージュ、いい旅を…何て言えばいいんだ?」(You bet. Well Well Good luck tomorrow.  You know, bon voyage. Have a nice trip. What do they say before a launch?)

 

S 「リフト・オフだよ、リフト・オフ!」(Liftoff!  So it's the night before the launch.)

 

と、それまでのワダカマリもどこへやら、すっかり意気投合した「二羽のチャボ」は肩を組んで笑い合う。

 

このシーンが仮に(ある程度は)本当の話だとしても(シラーが " It was not as jocular as it looked as on 'From the Earth to the Moon'." と言うように)そう簡単に事態は納まらない―打ち上げ時にジョン・ヒーリーと取り決めていたはずの風のルールが破られ、ついには "シラーのアポロ 7 " は反乱を起こすのだから。

 

(註:「俺はテストパイロットで航空工学を学び宇宙に行ってる、しかも船長だ」"I'm a test pilot, I've got a degree in engineering. I've been in space, and I'm in command of this mission." というシラーのセリフがあるが、アポロ 7 は単にシラーが船長 CDR という以上の意味合いで "Wally's mission" 或いは "Wally's flight" と呼ばれる)

 

 

アポロ 7 のクルーは " Wally, Walt, and Donn Show " と銘打った宇宙初の TV生中継をして(その年のエミー賞 a special Emmy award を取るほど)好評だったけれど、ここでシラーは一悶着やらかし完全に地上と決裂している。

 

予定では日曜のオン・エア(と言うと大気圏外なので語弊があろうが)なのに、地上から金曜(打ち上げ当日)の夜に、早速 明日(つまり土曜)の朝に生中継を始めるよう言ってきたのを、シラー船長は(まだシステムのチェックが済んでないと)すげなく蹴って、「俺のやりたいようにやる」的な態度(“Don’t mess with me, guys! This is my command.”) に出た。

 

シラーの「俺のやりたいようにやる」は(好き勝手とは全く逆に)きっちりスケジュールに従って間違いなくやるということで、偏に(アポロ 1 の事故の後の、まさにアポロ計画そのものとクルー自身の命運がかかった)ミッションを 100% 完遂させんがための信念(頑固さ・気難しさ)であり、アポロ 7 が "Wally's mission" と呼ばれる所以だと思われますね。

 

参考

 

シラーは TV中継を日曜まで始めない理由を “I don’t want to interrupt Howdy Doody.” と言うべきだったと後に語っていて、“Howdy Doody” は土曜の朝に放映されていた人気子供番組―もっとも、とっくに(1960年)に終了していたようなので、そんな(やってもない TV番組を中断させるには忍びないという)とぼけたジョークで地上からの寝言を(角を立てずに)かわせばよかったという意味でしょう、たぶん。 (←いつもの “Jolly Wally” ではなかったわけです)

 

 

カニンガムの証言では(後で " Wally, Walt, and Donn Show " とタイトルを付される)TV生中継は予定の 24 時間前でも(問題があったにしろ)始めようと思えばやれた―が、「俺が船長だ」(“Who is in charge?”)モードのシラーには(風邪でご機嫌斜めでもあるし)二人の新米クルーは黙って従うしかなく(We were rookies and it was "Wally's flight")、ミッション・コントロールと(何だかんだ言い争い)いがみ合っていたのは専らシラー船長(とアイズリが少し)でカニンガム個人は地上とは何もなかったとか。

 

しかしながら、アポロ 7 は他にも予定の変更や新たなテストの要求に対し "We're not ready for this." と応えたけれど、結局は(いくつかの追加テストをこなし)100% 以上の目標を達成して(101% successful と評されて)おり、"Wally's mission" そのものに対しては誰も文句を付けられない見事な成功を収めて帰還している。 (一方で、噂では地上の管制官の間でアポロ 7 をハリケーンの海域に降ろすというシャレにならない計画が囁かれてさえいたらしい ←あくまでも噂)

 

ただしカニンガムによると、シラーは(慎重にして周到にも)当初案のもともとの目標を控えめ(60~75%)に削減・縮小させていたので、本来なら余裕でもっとやれた―ミッション(11日間)の最後の数日は暇を持て余したというのが実態だったそうな。

 

参考

 

クリス・クラフトは That son of a bitch will never fly for me again! と激怒してスコット・カーペンターを海に沈めたけれど、アポロ 7 でも "These guys will never fly again." と言ったとされている―この guys とは、もちろん(アポロ 7 を最後に NASA を辞めると公言していたシラーを除く)カニンガムとアイズリを指す。

 

が、その噂を聞いたカニンガムがクラフトに面と向って "Is this true?" と問い質すとクラフトは "I never said anything like that." と全否定したらしい。

 

それにカニンガム自身(少なくとも公式には)誰からもそんなことは言われなかったとか。

 

しかし、厳然たる結果としてカニンガムは(アイズリ共々)二度と飛ぶことなく NASA を去った―スカイラブの最初の船長に内定していたにも拘らずである。 (←クラフトはカニンガムにはチャンスをやるつもりだったのに実現する前に辞めてしまったという何だか釈然としない言い方をしているようですけど)

 

もしもアポロ 7 でシラーが(相も変わらず “Jolly Wally” のままで)地上といがみ合わなければ、最初のスカイラブ 2 はピート・コンラッドに任されてはいなかった…

 

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3317】

 

<アポロ7>

 

その2765~2774 (2018/ 6/ 6~7)

 

むろん(シュワイカートが >blamed it on Seconal and all kinds of stuff, which is pure B.S. と切り捨てるように、どう言い繕っても)ボーマンが宇宙酔いだったのは間違いないが、実は(シュワイカートすら on Apollo 7 no one reported any problem. But on Apollo 8, Frank had gotten sick, と言ってるけれど)その前のアポロ7 のウォーリー・シラーらクルーの「風邪」(と信じられていた症状)からして今では宇宙酔いの嫌疑が強くあるとか。(NASA の Millard Reschke は“Apollo 7, it was space sickness,” “No doubt about it. The excuses just don’t hold up.” とさえ)

 

シラーの「風邪」関連レス―

 

その341 ~345(2004/ 3/25~29)

 

さて、わたしはウォリー・シラーはアポロ7のフライト後、NASA勇退したという言い方をした―でも、その表現は微妙に的確ではないのかもしれない。

 

マーキュリー、ジェミニと飛んできたベテランのシラーは(事前に)このフライトを最後に引退すると表明してたそうだから、立派な勇退には違いないけども…

 

実は、一緒に飛んだドン・アイズリ(アイゼル)Donn Eisesle とウォルター・カニングハム(カニンガム)Walter Cunningham の二人も、アポロ7のフライト後(数年の内に)相次いで NASA を辞めてます。(ルーキーだったのに)

 

いったい、なぜか?

 

思えば、マーキュリーのフライト・ディレクターだったクリス・クラフトの一喝で、オーロラ7のパイロット(スコット・カーペンター)は二度と飛ぶことはなかった…

 

ま、あんな感じだと申しましょうか― NASA の管制センターは、アポロ7のクルーを二度と飛ばさない肚だったらしい。

 

だから、辞めたんですよ―彼らは。

 

 

アポロ7の打ち上げの数日前と言うから、たぶん 10 月の上旬、シラーはカモ狩りに出かけている―そんなことが許されてたのか、こっそりなのか、いずれにしても気分転換のつもりでしょう、ベテランの余裕(気の弛み?)ってやつですか。

 

これが、いけなかった… どうやらシラーは、そこで風邪のウィルスに侵されたらしい。

 

その時期のフロリダとは言え、カモ狩りですから、或いは夜明け前のスワンプの寒気が障ったのか―不用意と言う他ありません。

 

密かにシラーの体内に潜伏してたウィルスは、打ち上げ前のドクター・チェックをすり抜けて、ついにフライトの 15 時間後、地球軌道を周回する宇宙船の中で宿主に発病したんですね。

 

ゼロG における風邪ほど悲惨なものはない。(粘液が溜まって通常のようには流れないゆえ―鼻づまりが酷く、それを強くかんでは耳を痛めるし)

 

完全密閉された船内では瞬く間に大流行、二人のルーキーにも感染して翌日には発症してしまう。

 

 

シラーは鼻をかむのにクリネックスを 8、9 箱使ったと証言しており、実のところ、体調不良からくる苛々は極限まで達してたようであります。

 

そんな時に限って、度重なるフライトプランの変更だの、予定されてなかったテストや実験だのを次から次に要求されちゃ、さしものシラーも「いい加減にしてくれ」ってなりますわな―「聞かされてもない、いかれたテストなんぞ、誰が知るか!」ってなもんで。

 

それがために、アポロ7と地上の管制センターとの間に、少なからぬ軋轢が生じてしまったんですね。

 

そして、決定的なヘルメット事件が起こる…

 

参考

 

そもそもアポロ7は、アポロで最初の有人ミッションの予定だったアポロ 1(←これは後から付けられた名称)を、ガス・グリソムらのバックアップだったシラーたち 3 名がそのまま引き継いだ形だから、言うまでもなくアポロでは最初の(しかも事故後初めての)ミッションであり、そのプレッシャーもあって、クルーには訓練もしてない予定外の事柄を右から左に処理するだけの余裕はなかったというのが実情だったのでありましょう―カモ狩りなんぞにはホイホイ行く余裕はあっても。

 

 

アポロ7は月に到達するための基礎固めといったミッションで、ほぼ 11日(260時間)のフライトで地球軌道を 163 周しております。

 

一説によると、アポロ7の反乱は、地上から capcom の(アポロ13でお馴染みの)ジャック・スワイガートが「さて、お次の任務だが―」と、何やらごちゃごちゃ伝えてきたのに対し、ドン・アイズリが「そないムチャ言うてんのは、どこぞのアホや―ちょいと話しまひょか」と(つまり「責任者、出てこい」と)やんわり?上層部を批判したのがきっかけのよう。

 

で、鼻づまりで完全に切れてたシラー船長は、地上の管制センターに「これからは、わてが現場のフライト・ディレクター(an onboard flight director)になったる!」と宣言しちゃったんですね、きっぱりと。 (←「ライトスタッフ」におけるランス・ヘンリクセンとは思えないでしょ、全然)

 

そうやって一触即発の険悪なムードのなか、いよいよフライトの最終段階に及ぶや、実にやっかいな(傍目には何とも馬鹿げた?)問題が生じたのであります― ヘルメット事件…

 

再突入の際、当然かぶってなきゃいけないヘルメット、ではありますが―哀しいかな、鼻かめないじゃん、それじゃ…ってんで、地上からのディーク・スレイトンの説得にも聞く耳を持たず、シラー船長は断固ヘルメットをかぶらない決意をするのでした。

 

 

シラーは、これを最後に引退するつもりでしたから、地上の連中の思惑など一切かまわず、自分のやりたいようにやったということもあるでしょう。

 

ルーキーの二人は、むろんベテランの船長さんに従ったわけですが、まあ管制センターの意向に逆らってヘルメットをかぶらなかった―そして、たとえ(鼻をかめない[鼓膜を破る怖れがある]からという)合理的にして止むを得ない理由があるにしても、とにもかくにも何かにつけて管制センターに反抗的だったという事実の前に、その後二度と飛ぶ機会は与えられなかった…

 

 

それでも、そこはクールな冗談屋 Jolly Wally シラーのことですから、内容的には(初の生 TV 中継を含む)ミッションの首尾は上々で、何も文句のつけようはなかったようです。

 

例によって、スプラッシュダウンも正確で、予定着水ポイントの至近距離(2 キロ以内)。

 

ちなみに、アポロ7の上出来のフライトを祝して葉巻をふかすジーン・クランツ以下 3 人の(交代制だった)フライト・ディレクターの(揃いも揃って人相の悪い)写真があるが、その表情には(そう思って見ると)シラーの「俺が onboard flight director だ」宣言に、さぞや神経を逆なでされてハラワタ煮えくり返ったであろうことが窺えるような趣であります―その後の暗黙裡の処分を見るまでもなく。

 

 

その 930

 

その 342 に >アポロ7の打ち上げの数日前、シラーはカモ狩りに出かけ と書いて、そのソース―

 

Wally Schirra caught a cold a few days before the launch while duck hunting in a Florida swamp. (From The Earth To The Moon and Back Again)

 

も示してますが、ウォルター・カニンガムによれば、正しくはカモ狩り(duck hunting)じゃなくてハト狩り(dove hunting)で、一緒に同行したそうですよ。

 

打ち上げの 4 日前(10月 7日か)そろそろフロリダも寒くなってきて、その日は雨だったというから、やっぱり >不用意と言う他 ありますまい。(Cunningham: Well, the cold—4 days before the launch, we went dove hunting. This was October, and it was kind of an early—dove were pretty good down there in Florida, and so we had some cold weather come in. So, we went dove hunting. It rained. And I think what’s happened is that’s where the cold came from. ―24 May 1999)

 

ちなみにシラーに言わせるとカニンガムは(アイズリと違って)扱いにくい男で(Walt was very difficult to work with.)、ジョーがアドバイスするには「小犬みたいに耳の後をかいてやったら何でもいうことをきくわよ」(“He’s like a puppy dog. Scratch him behind the ears, and he’ll do anything you want.”)―

 

 

その 950

 

アポロ 7 の反乱のトドメとなるヘルメット事件について、ちょっと補足説明しておくと―

 

シラーは(おそらく打ち上げ数日前の狩りで冷たい雨に当たったせいで)風邪を引いていて、アイズリとカニンガムにもうつしてしまう

 

宇宙(無重力)では粘液が流れにくいので鼻づまりが酷く、シラーらはアクティフェド(Actifed 鼻づまり薬)をしこたま服用し、本当にクリネックスを殆んど使い果たした(9/10箱)

 

再突入の際にヘルメットを被っていると、当然鼻がかめない悲惨な状態に―そのままでは(気圧の変化で)鼓膜を破る怖れもあり、3人ともヘルメットを被らないという合理的な判断を下す

 

かくしてシラーは(ジェミニ 6 のスプラッシュダウンの際、ジェミニ 3 のグリソム・ヤングと全く同様に、開いたパラシュートの衝撃でヘルメットを割った経験がありながら)頑として地上からの指示に叛き(スレイトンの説得にも耳を貸さず)、アポロ 7 のクルーはヘルメットなしで再突入、それでも無事に帰還した

 

という事件の顛末ですね。

 

註) マーキュリー、ジェミニのヘルメットは faceplate が開けられたが、アポロのは金魚鉢 fishbowl スタイルなので被ると鼻を掻くことすらできない。

 

 

余談(後日談)

 

シラーは後に Actifed の TV コマーシャルをやるワ、Kimberly Clark 社(クリネックス)の役員になるワ、ちゃっかり宇宙風邪の(禍転じて福となし?)けっこうな余禄をフトコロにしたとか(しないとか…)

 

シラーとアイズリの二人が Only Actifed! とアピールするCM スポットが You Tube で見れる。 (他にシラーとアポロ 12 のアル・ビーン、ディック・ゴードンの 3 人バージョンなども)

 

※ シラーが宇宙風邪ではなく本当は宇宙酔いだったとすれば、当然 カニンガムとアイズリもシラーから風邪をうつされたんじゃなく宇宙酔いだったということになる。

 

シラーは風邪の元凶と謗られてるけれど、全くの濡れ衣なのかもしれず、アポロ 7 の反乱も(クルーの宇宙酔いに起因する部分がありそうゆえ)その問題点については再考の余地があるやもしれない。

 

 

ただし、カニンガムの説明によると基本的に真相は違っていて、一般に流布されてるようにクルー全員が風邪(に似た症状)になったりはしてなくて、アイズリは兆候を示したものの、カニンガム自身は何の気配もなかった(“We did not all have colds. Wally only had a cold by day two, Donn had a couple of indications, and I never had any sense of a cold.”) そうなので、反乱の要因は全員が風邪(或いは、宇宙酔い)とはならない―と言うより、むしろ正しくはクルー全員による反乱ではなかったのか。

 

いみじくもカニンガムは “Wally was such a personality that if he had a cold, everybody had a cold.” と指摘していて、要するにアポロ 7 を仕切っていたシラー船長一人の問題(問題はシラー)だとばかりに―

 

“it was always a case of who was in charge. He was a Navy guy, he was a Navy captain. Captain’s in charge of the ship, so Wally was always insisting that it was what he had to say.”

 

と主張している。(←こんなとこなんでしょう、シラーに Walt was very difficult to work with. と思われるのは)

 

 

まあ、その辺に関してはシラー本人の解説(“Don’t mess with me, guys!  This is my command.”)で(純正ライトスタッフ・ファンとしては)納得できますね―

 

But by then, everybody was saying, “These guys are getting testy up there.  They’re not mutinied, but they’re not going along with the flight controllers.”  I have yet to meet a flight controller that ever died falling out of a chair like this.  That was my whole attitude from then on.  “Don’t mess with me, guys! This is my command,” and I wasn’t kidding.  And, “I’ll take all the advice, all the information you can give me, but don’t push us around.  We’re still worried about whether this is a safe spacecraft or not.”  (Oral History Transcript Walter M. Schirra, Jr.  1 December 1998)

 

 

We’re still worried about whether this is a safe spacecraft or not.

 

アポロ7は(アポロ1の事故後の)最初の有人ミッション、ただでさえナーバスになってるところに打ち上げ前からゴチャゴチャあって、すんなりいく(それこそ)「風向き」じゃ全然なかったのだから。

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3316】

 

「人類、月に立つ」 シラー 関連―

 

その1636~1638(2014/ 8/21~29)

 

その855(2006/ 8/14)

 

ひょっとして勘違いされてる向きもあるやもしれないが、「人類、月に立つ」は ドキュメンタリーではなしに(「アポロ 13」と同様に)あくまでも ドキュメンタリー・タッチの ドラマであって、フィクション部分も多い―と言うより、堂々と架空のニュース・キャスターを狂言回し的に据えていたり、それこそ架空の ドキュメンタリー・フィルムの撮影クルーを使ってギュンター・ウェントやディー・オハラやシラーやスレイトンらを追わせるという巧妙な手法で、史実(原作は Andrew Chaikin の "A Man on the Moon" )をベースにした ドラマ仕立てになっていることが分る。

 

なので(悪名高き「ライトスタッフ」ほどではないにしろ)迂闊に真に受けないようにしてるけども、わたしが以前 > NASA は事故の原因を「想像力の欠如」などと体裁つけて申しておりますが、それは即ち「無能」であることの謂いに他なりません とアポロ 1 の火災原因について書いてることは、厳密には NASA 当局が主張したのではなく、聴聞会でフランク・ボーマンが(NASA を代弁して?) "It was a failure of imagination." と証言したもよう。 (←もひとつ得心できない…)

 

参考

 

ボーマンは事故原因は何かと問われ "It was a failure of imagination. We were preparing to deal with a capsule fire 180 miles above the earth. We never imagined that one would happen in a simulated test on the launching pad." と(我々の誰も地上での事故を想定していなかった―つまり、NASA 或いはノースアメリカン社だけが悪いのではなく、宇宙飛行士を含む全員の想像力の欠如という)却って責任の所在を曖昧にした(NASA には都合のいい)言い訳をしている。

 

 

その850~852(2006/ 7/15~27)

 

ライトスタッフ」でスレイトン以上に影の薄かったウォーリー・シラーにも「人類、月に立つ」では(アポロ 7 のミッションで)スポットライトが当てられており、その人となりを示すのに例の尿検イタズラ事件が使われてまして、もちろん看護婦のディー・オハラも登場する。

 

これは原作「ザ・ライト・スタッフ」でも紹介されてるから、よく知られた爆笑エピソードなんでしょう。

 

ここでのディー・オハラは(短いシーンながら)シラーのキャラを説明する >狂言回し的な役回りになってますね。(←ま、誰でもそう考えるということか)(その3197参照)

 

 

スレイトンと浜辺で釣り(サーフ)をしながら、シラーが NASA を辞める話をするシーンで「グレンもカーペンターもゴードも NASA を去った」(They look at Glenn and Carpenter and Gordo.)というセリフがあるけれど(IMDb でも指摘されてるように)ゴードン・クーパーはこの時点ではまだ NASA を辞めてはいない―これは単純な間違いと言うより、話をややこしくしないための意図的なもの(臭いものに蓋?)のような気がする。

 

クーパーをアポロ(月ミッション)から外したのがスレイトン(とシェパード)の企みかどうかはともかく、シラーも「もう月に行くチャンスはない、そうだろうディーク?」(It's not as if I'm going to the moon. Right? Deke?)という冗談めかしたセリフがあって、やはり NASA を辞める理由としているが、それを決めるのは(宇宙飛行士の運命を握っているのは)自分ではない(Everyone thinks that I got this big master plan for all the crews, but I don't.)とスレイトンは否定していた―この描き方が微妙に曖昧と言うか、何やら含みがありそうな感じなので。

 

今のところ(part 1 ~ part 4)「人類、月に立つ」は(かねてより考えていたことですけど―その3225参照)スレイトンを軸に展開していて、わたしにとっては(このトピで鍛えられたおかげで)一々が微に入り細を穿って実に解りやすい話になっております。

 

 

前レスの >「グレンもカーペンターもゴードも NASA を去った」 と書いてるのは、見直してみると正確には「アポロを離れた」(I know why they bailed out.)と言ってますね―なら間違いではないのかというと(結局は「NASA を去った」と同じ意味合いゆえ)やはり間違いでありまして、クーパーは(アポロ10 のバックアップを務めてるくらいで)アポロ7 の時点では当然まだプログラムから外れてはいません。

 

それにグレンはケネディが(万が一を心配して)フレンドシップ7以降のフライトを控えさせたのであり、またカーペンターはクリス・クラフトの逆鱗に触れて海の底(シーラブ計画)に沈められたんだから(その3202参照)、クーパーとは違って自らの意志でプログラムを(アポロどころか既にジェミニの段階で)外れたわけでは全然ない。

 

この三者三様、それぞれ事情も経緯も全く異なるクーパーとグレンとカーペンターを一括りにして「アポロを離れた」としてるところが、まさに意図的な臭いものに蓋かと…

 

 

その925~927

 

ウォーリー・シラーは "My wife says our marriage has lasted so long because I was away half the time!" と語っており、それが「人類、月に立つ」 Part 3 : We Have Cleared The Tower (「試練を乗り越えて」)でも そのままセリフに使われていて、架空のインタビューで「家庭円満の秘訣は?」(How have you two kept your marriage together for so long?)と訊かれたジョーが「こんなに永い間別れずにいられたのは、きっと彼があまり家にいないからね」(Well, I think the reason we've been married for so long is because Wally's been away half the time.)と屈託なく応える。 (続けて「この間この人が帰ってきた時、泥棒だと思って警察を呼びそうになった、ホントに」He walked into the house the other day. I thought we were being robbed.I almost called the cops.と笑わせる―こういったジョーの面白さについては 3196参照)

 

かれこれ 60 年いい関係で連れ添った二人だが(←シラーがジョーに電話で「よう、相棒」Hey,buddyと呼びかけるシーンがある)、ついに Final flight May 3, 2007 をもって永遠の別れとなった…

 

余談

 

YURIE さんの訃報連絡からも窺えるように、シラーの記事は >米国初の有人宇宙飛行計画「マーキュリー計画」で選抜されたライトスタッフ(正しい資質)と呼ばれる7人の宇宙飛行士候補生の1人 などと紹介していて、相変わらずライトスタッフという言葉の(我が国に特有の)間違った使い方(訳し方)をしている―「ライトスタッフ」における凸凹リクルータ・コンビの説明も要領を得ませんが(その3042参照)、少なくとも現地(?)ではマーキュリー7(なりイェーガーなり)をライトスタッフと呼んだりしませんので注意しましょう。 (わたしは例えば「イェーガーはライトスタッフだ」とは言っても「イェーガーはライトスタッフと呼ばれる」とは決して言わない―厳密には「イェーガーはライトスタッフだ」も間違った使い方ではあるけども、これは単に便宜的な修辞上の言い回し)

 

 

ウォーリー・シラー、人呼んで(或いは自ら名乗っていた)キャプテン・スカイレイ Captain Skyray ―ニックネームの由来は Douglas F4D Skyray (←the tailless delta のシルエットは確かに空飛ぶエイを思わせる)で、この海軍機はシラーのお気に入りだった。

 

その理由が(いかにもシラーらしく)シャレていて、シラー Schirra の間違った発音(mispronunciation)がスカイレイ Skyray だからだとか。 (←まあ、そう読めないこともないけど無理くりの駄ジャレですね)

 

発音と言えば、あるインタビューでシラーが(あやふやそうに) Gemini はジェミニ(Gemini [short i])かジェミナイ(Gemini [long i])かを今更ながらに質していて(1998年)、わたしも以前は(現地じゃ一般的なはずの)ジェミナイと発音してるものと思っていたところ、どうもジェミニ計画については(ジェミナイと発音してるのを聞いたことがなく)普通に日本語どおりのジェミニが正しいと追々知ったけれど、インタビューアの Roy Neal (NBC-TV)が解説するには NASA のスタッフ(Walter C. Williams)に Gemini の発音を確認したことがあり、その時の(しばし考えてからの)返答以来 TVメディアでは普通にジェミニと言ってるらしい。 (よって、あちらでジェミニと発音されれば、それは宇宙計画の話だと思ってまず間違いなさそう)

 

とすると、NASA は公式には Gemini の発音まで決めてるわけじゃないってことかいな? (← NASA stands for "Never Absolutely Sure of Anything." ―その2956参照)

 

 

訂正 : ってこともないけど、前レスで >どうもジェミニ計画については(ジェミナイと発音してるのを聞いたことがなく) と書いたとたんに 「人類、月に立つ」でノース・アメリカン社の Harrison Storms (に扮するジェームズ・レブホーン)が、あるシーンで(ハッキリと)ジェミナイと言ってるのに気がついた―ストームズだけがそう発音する何か意味があるのかもしれませんが。

 

その1269

 

どうでもいいことだ(ろう)けど、"Moon Shot(1994)" のナレーションのディーク・スレイトン(という設定―本人は前年没)は Gemini を明確(かつ、しきり)に ジェミナイ と発音している。

 

一方で、ジェミニ 3(記録フィルム)のガス・グリソムは ジェミニ と発音してるし、当時を語るシラーも ジェミニ と言っている。

 

ネット上で―

 

Gemini is latin and therefore must be pronounced phonetically gem-i-nee.

 

all through From the Earth to the Moon they pronounced it geminee.

 

Gemini -- the astronauts all pronounced it "jeh-MEE-nee" -- was so named because two astronauts would go up (gemini is Latin for twins).

 

といった感じの断定的注釈を見受けるが、実際は the astronauts all なんてことは全然なくて(例えば)フランク・ボーマンは ジェミナイ 派のよう。

 

あれこれ NASA の動画をチェックしてみた印象では 「結局、どっちやねん?」 やはり―

 

NASA stands for "Never Absolutely Sure of Anything."

 

のようであります。

 

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3315】

 

「人類、月に立つ」は「ライトスタッフ」の(射程から外れた)不足・不備を補って余りあるエピソードで大いに愉しませてくれるけれど、ここではシラーも実に印象的に描かれていて、何しろ扮するは(ブレイク前とは言え)あの NCIS 特別捜査官ジェスロ・ギブスことマーク・ハーモンであるからにして、「ライトスタッフ」のランス・ヘンリクセンとは違い(これでもかと)目立ちまくってます。

 

シラーご本人の very well done 評―

 

Johnson Space Center Oral History―Walter M. Schirra, Jr.(1 December 1998)

 

Q: I just said, what was the most difficult aspect of your involvement in the space program?

 

Schirra: The most difficult part? Probably the funerals. When I think about it, we lost some—obviously, we lost three from Apollo 1. I thought, by the way, the television series From the Earth to the Moon was very well done. And they showed me there, or Mark Harmon who portrayed me, in my Navy Captain uniform with Betty Grissom, the widow; and it hit me hard, just seeing that all over again. We very rarely wore our uniforms, other than to visit the Chief of Naval Operations or a funeral. Eisenhower was the President—everybody gives Kennedy the nod, but Eisenhower was what started the manned space program—[who] said this would be an open program to the world.

 

 

re : 7人の侍の 1人

 

のウォーリー・シラーに扮したランス・ヘンリクセン、またはランス・ヘンリクセン扮するウォーリー・シラーについちゃ、独り言レス-その  79(2003/ 7/29)を一部編集して全文再掲―

 

前回のレスで、わたしが不当にもウォリー・シラーのことを槍玉に挙げ、いたずらに彼を侮辱してると感じられたならば、はっきり申し上げておきますが、それは誤解です。

 

ライトスタッフ」において、ランス・ヘンリクセン演じるシラーは妙に暗く、どこかマイナーな存在に描かれている―これこそ不当な扱いであって、もっと正当な評価をしてもらいたいと、むしろ憤っているのですよ、わたしは。 (せめて、もう少し耳に馴染んでいてもらいたいと)

 

Walter Marty Schirra, Jr.―彼については、どうしてもこれだけは言っておきたい、絶対この話はしとかなきゃいけないと考えてたことがあって、その話とは―

 

シラーの父親(シニア)は第一次大戦のエース・パイロットで、戦争が終わってからは(いわゆる)barn-stormers ―スタント飛行を見世物にしてた人ですね、夫婦でそれをやってました。 (ロバート・レッドフォードの「華麗なるヒコーキ野郎」ってありましたよね、あのまんまの雰囲気ですよ、たぶん)

 

実際シラーの母親は、あの映画のように wing walker ―つまり複葉機の翼の上を歩いてたんですと。 彼女がその文字どおりの空中散歩をやめたのは、ジュニアを身ごもったことに気付いたからだって、笑いながら当のジュニアが言っております―俺は、生まれる前から本当に空を飛んでたんだって。(この生まれながらのパイロットの血を、シラーは冗談めかしながらも誇りにしてるわけです)

 

もうこれだけで、ランス・ヘンリクセンとは、全然イメージが違うでしょ?

 

第一、「ライトスタッフ」じゃシグマ7は全く無視されてましたからね―ジョン・グレンのフレンドシップ7から、あっさりホットドッグのフェイス7に飛び越されちゃって。

 

スコット・カーペンターのオーロラ7は(こう言っちゃ何ですが)もともと問題ありすぎの問題外で無視されても仕方ないけど、シラーのシグマ7は普通は外せないでしょう、フライトの完成度からして。

 

何しろ、シラーは地上からの指示なしにシグマ7を本当の意味で自分で操縦して、燃料を無駄にすることなく軌道を 6 周回り、しかもその着水地点はリカバリー艦船からわずか 4.5 マイルしか離れてなくて、スプラッシュダウンする様子が見えてたくらいにドンピシャだったんだから。

 

それもシラーに言わせると、リカバリーするほうが位置を間違えなけりゃ、その真上に降りられたのにってくらいの正確さ―

 

自ら「いつもの教科書どおりのフライト」 a routine textbook flight と言ってのけ、後々まで模範的な宇宙飛行の真髄として引合いに出される、この見事な textbook flight ―まさしくウォリー・シラー、ここにありって感じじゃないですか。

 

後に唯一人、ジェミニ(6 号)、そしてアポロ(7 号)までも飛び続けることになるのも何の不思議もない、お手本の腕利きパイロットなんです、彼は―全然イメージちゃうやん、あのランス・ヘンリクセンとは。 (←「エイリアン」じゃ口から牛乳吐いてたし)

 

そう言や、シラーは朝鮮でミグを 2 機撃墜して、帰国してからサイドワインダーの開発に参加してた際の笑えるエピソードがあって―

 

テスト飛行で無人のターゲットにサイドワインダーをぶっ放してみたところ、どうしたことかそのミサイルはきれいに Uターンしてシラーめがけてまっすぐ向かってきたんで(マジ?)、その時ウォーリー微塵も動ぜず、赤外線センサーをかわすため(父親直伝の?)華麗な宙返りをしてミサイルの後ろに回り込み、危うく難を逃れたという(それこそネタじゃないの? みたいな)俄かには信じがたいホントの話が残ってますから、笑えます。

 

あ、この話じゃないんですよ、わたしが絶対しとかなきゃいけないと思ってるのは… (と、とりあえず手抜きレスをしとこう)

 

 

その1214

 

フィリップ・カウフマンは、そんなシラーを目立たせたくないために、敢えてイメージの暗いランス・ヘンリクセンを起用したのかもしれませんね―おまえは前に出てくるんじゃないよ、話がややこしくなるから、とでも言わんばかりに。

 

今にして思えば、もっとシラーを前面に出した演出だったらランス・ヘンリクセンとて上手くハマッた感じにできていた気もする―いや、そうに違いない。

 

「人類、月に立つ」のシラー(マーク・ハーモン)はアポロ 1 の後(即ちグリソム亡き後)の以前とは人が変わったシラーで、こちらにもキャラ的に合っていようし。

 

もう少しランス・ヘンリクセンが若けりゃ(ロン・ハワードトム・ハンクスは)「人類、月に立つ」のシラー役にも招いて(デヴィッド・クレノンのようにゲスト出演して)いたんじゃなかろうかと思い当たると、何だか惜しい…

 

※ ちなみに Satellite Award for Best Supporting Actor の1998年受賞者は David Clennon(From the Earth to the Moon)で、Lance Henriksen(The Day Lincoln Was Shot)もノミネートされている。

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3314】

 

わずかに(お情け程度に)シラーが「ライトスタッフ」で使われてるラブレース・クリニックの Schirra’s “gotcha” シーン(その3220参照)―

 

I'll open the box a little so you can see.(少し開けるから のぞけ)

 

Don't put your fingers in there.(ダメだ 指は引っ込めろ)

 

This thing will bite them off. It's vicious.(ガブッと かみ切られちまう)

 

スクリプト

 

NEAR THE WINDOW, SCHIRRA is leading forward showing two other guys a box. They very cautiously peer inside.

 

          SCHIRRA

Careful…Careful…I caught this mongoose out there in the desert. I’ll open the top a little so you can see him. But don’t put your hand in or he’ll take it off for you. This baby is vicious.

 

They lean in : then, suddenly, a long, gray snakelike coil comes popping out right into their faces, scaring the other guys.

 

          SCHIRRA

Gotcha !

 

 

原作(もとネタ)―

 

彼は愛すべきいたずらも楽しんだ。わざわざ電話をかけて、こんなことを言う、「是非とも遊びに来てくれたまえ!森ですごいやつをつかまえてたんだ!きみには想像もつかないだろうな…マングースをつかまえたんだ!冗談じゃない―マングース、、、、、だよ!是非みに来てくれたまえ!」とても信じられないことだ、と思って見にでかける。するとテーブルのうえに箱が一つおいてある。わざわざ檻につくり変えたような箱だ。ウォリーは言う、「さあ、きみが見られるように、少しふたをあげよう。だが、手をつっこんではいけない。かみきられてしまうからな。こいつはひどい、、、やつなんだ」そこで客はちょっと見てやろうと、体を箱の上にかがめる。すると―バン!―と音がしてふたが勢いよくひらき、大きな灰色の縞のようなものが顔めがけて飛びだしてくる―ふぇー、これにはヴェテランのパイロットも驚いてとびのき、体をふるわせる―そのときになってはじめて灰色のものが実はきつねの尻尾みたいな玩具であり、箱がシラー式びっくり箱であったことに気づくという次第だ。[中公文庫]

 

He was a practical joker of the amiable sort. He would call up and say, "Hey, you gotta come over here! You'll never guess what I caught in the woods… A mongoose! I'm not kidding—a mon-goose! You gotta see this thing!" And it would sound so incredible, you'd go over and take a look. Up on a table Wally would have a box that looked as if it had been converted into a cage, and he'd say: "Here, I'll open the top a little, so you can see him. But don't put your hand in, because he'll take it off for you. This baby is vicious." You'd lean down to take a look and—bango!—the lid flies open and this huge gray streak springs toward your face—and, well, my God, veteran aviators would recoil in terror, dive for the deck—and only then realize that the gray streak was some sort of fox-tail rig and the whole thing was a jack-in-the-box, Schirra-style.(The Right Stuff)

 

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3313】

 

この場面は(スクリプト)―

 

CUT TO:  INT-  THRONE ROOM  -  DAY

 

となっていて、原作で Throne Room とは  8 -The Thrones(「八 玉座」)の一節―

 

Up above the centrifuge arm there was a balcony, and this balcony was known as the Throne Room, because arrayed upon it was a lineup of green plastic seats with high backs. Each had been custom-made, molded to the contours of the torsos and legs of a rocket pilot.(The Right Stuff)

 

遠心装置のアームの上にバルコニーがついており、このバルコニーは「謁見室」と呼ばれていた。というのは、そこには背もたれの高い緑色のプラスチック製座席が一列に並んでいたからだ。それぞれが誂えオーダー・メイドであって、ロケット機パイロットの胴と脚の形に合わせて作られている。[中公文庫]

 

 と説明されてるように、各人の訓練用シートと思しきものが置いてある共用ルームみたいなとこでのシーンだけれど、これは例によって(カウフマンお得意の)つぎはぎ細工でして、原作(もとネタ)が特定する本当の場所はコナカイ・ホテル(in this room at the Konakai Hotel)―

 

翌日七人が、彼らのために取ってある続き部屋スイートの居間に集まっていたとき、グレンがつぎのような意味のお説教を始めた。女の子とのお遊びがここのところ目に余る。(The next day the seven of them were in the living room of a suite that had been set aside for their use, when Glenn launched into a lecture, along the following lines: the playing around with the girls, the cookies, had gotten out of hand.)

 

このコナカイ・ホテルでの集会(the session at the Konakai)は―

 

コナカイ交霊会セイアンス(the Konakai Seance)

 

と称される。

 

交霊会とは―

 

ときおり七人のパイロットはラングレーの彼らのオフィスのドアを閉め切って、秘書でさえ入れないことがある。何ごとが始まったのかと誰か訊くと、宇宙飛行士が交霊会セイアンスを開いているのだ、と教えられる。交霊会セイアンスだって? いや、それは彼らが何かの問題について全員の合意をえようとする会議に勝手につけた名前にすぎない。その問題というのはたいていは専門的技術的なものだという含みがその名称にはこめられていた。彼らは、専門技師のところに行ってマーキュリー・カプセルの計器盤のデザイン変更を申し出る前に交霊会セイアンスを開いた、とウォリー・シラーは語っている。[中公文庫]

 

Every now and then the seven pilots would shut the door of their office at Langley, and not even the secretary could come in. If anybody wanted to know what was going on in there, they were told that the astronauts were having a seance. A seance? Oh, it's just a name they thought up for a meeting in which they try to come up with a common position, a consensus, concerning certain problems. The implication was that the problems were mostly technical in nature. Wally Schirra would mention that they had had a seance before going to the engineers and insisting on changes in the design of the instrument panel of the Mercury capsule. (The Right Stuff)

 

 とされるが、シラー本人はインタビュー(collectSPACE: 'I worked with NASA, not for NASA' February 22, 2002)で―

 

"Walt Williams, our Mercury Operations Director, used the term 'seance' to refer to what we did. When we came out of there, we would have a unanimous opinion, a couple of black eyes, and a few bruised shoulders! But we did it very rarely, we didn't overuse it. It wasn't like in 'The Right Stuff' movie — that was just for entertainment."

 

と「ライトスタッフ」で(あくまでエンタメ的に)描かれる 'seance' とは違った実態を述べてます。

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3312】

 

原作のクダリでは―

 

他の六人のなかに一人強力な味方がいた。それはスコット・カーペンターで、カーペンターはグレンには一目置き、議論では彼の肩をもった。(Glenn had one great ally among the other six, and that was Scott Carpenter. Carpenter looked up to him and backed him in the debate.)

 

 

グループのあいだに基本的な分割線ができあがりつつあった。それは信心深い金髪の若者グレンと相棒のカーペンターの二人対残りの五人という構成だった。(A basic division was building up in the group. It was the other five against the pious fair-haired boy and his sidekick, Carpenter.)

 

 

などとあるだけで、カーペンターの具体的な発言内容は記されてない。

 

カウフマンは目付け役たるグレンの講釈をカーペンターの口を借りて(お得意の)つぎはぎ細工することで、パシリ(ally にして sidekick)のカーペンターを描いてくれてるわけです。

 

おかげでカーペンターは少しは目立ってるものの、哀れシラーの大いに目立っていたはずのグレンに面と向かった(スクリプト)―

 

And now it begins to heat up:

 

           SHIRRA (to Glenn)

Yeah, who the hell do you think you are ?

 

は全く使われてない―原作に律儀な(よりストレートな)セリフなのに。

 

ウォリー・シラーとゴードン・クーパーはともするとシェパードのほうの肩をもち、勤務中は品行方正の鏡となるべきであるにしても、勤務外の私生活では、それぞれが気をつければそれでいいのではないかと主張した。シラーにとってグレンはますます癪の種だった。いったいやつは自分のことを何様だと思っていやがるのだ? そのうち二人は仕事で止むをえないとき以外はほとんど口を利かなくなった。[中公文庫]

 

Wally Schirra and Gordon Cooper tended to back Shepard, arguing that when you were on duty you should be a model of correctness, but that when you were off duty your personal life was your own lookout. Schirra was finding Glenn more and more irritating. Who the hell did he think he was? After a while, they barely spoke to each other unless the job forced them to.(The Right Stuff)

 

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3311】

 

パシリ・カーペンターはグレンがシェパードに “Mr.Glenn, you're way out of line.” (その3122参照)と反撃されると(Just a minute と)間に割って入り―

 

John's right! Now, whether we like it or not, we're public figures. Whether we deserve it or not, people are going to look up to us. We have got a tremendous responsibility here.(字幕:ジョンの言うとおりだ 国中の注目を浴びてる以上― もっと責任を自覚すべきだ)

 

と肩を持つ。

 

スクリプトは―

 

Carpenter rises to Glenn’s defense:

 

          CARPENTER

Just a minute, John’s right. Whether we like it or not we’re public figures. Whether we deserve it or not, people look up to us.

 

And then ALL TALKING AT ONCE:

 

CARPENTER AND GLENN         SHEPARD AND THE REST

 

We’ve got a terrific responsibility…                    You can’t tell us what a pilot

It’s not enough not to get caught…                    does when he’s not flying…

It’s not enough to know to your own                  Just get the damn thing up

satisfaction that you’ve done nothing                 there, then move over, pal…

wrong… We’ve got to be like Caesar’s                I don’t believe it… You

wife… We’ve got to be above even the                tellin us to keep our hands

appearance of doing wrong !!!                             clean and our peckers stowed!!

 

と、明確にグレン+カーペンター vs シェパード+その他 の(原作に律儀な)タッグマッチ構図で描いていて、それが最終形態はカーペンター一人のセリフになる。

 

ただし、これは原作(もとネタ)ではカーペンターの主張では全然なく、もとよりグレンのミスター・クリーンマリーン的スタンス―

 

the Glenn position became: Look, whether we like it or not, we're public figures. Whether we deserve it or not, people look up to us. So we have a terrific responsibility. It's not enough not to get caught. It's not even enough to know to your own satisfaction that you've done nothing wrong. We've got to be like Caesar's wife. We've got to be above even the appearance of doing wrong.(The Right Stuff)

 

やがてグレン的立場が姿を現してくる。いいかい、好むと好まざるとにかかわらず、おれたちは注視の的なんだ。それだけの値打ちがあるなしに関係なく、人々はおれたちを尊敬している。だからおれたちにはものすごく責任があるんだ。人目につかなければそれでいいってもんじゃない。何も悪いことはしてないと自分だけでそう思って満足しているのでは本当は充分じゃない。おれたちはシーザーの妻みたいにならなくちゃいけない。悪いことをしていると疑われないように心掛けなくちゃいけないのだ。李下に冠を正さずだ。[中公文庫]

 

 

註) Caesar’s wife must be above suspicion.  カエサル(シーザー)の妻は疑われただけでもアウトという言い回しに擬えて説教を垂れる

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3310】

 

そこを察してか、邦題は「マーキュリー・セブン」に変えて(ごまかして?)いて、その通りに次シーズンにでもグリソム、カーペンター、シラー、スレイトンの 7 人全員をカバーして掘り下げる方向に巡航してもらえるんなら、それはそれでいいけど。

 

まぁ、何にせよ当面は見ようとは思わないので、ちゃんと語るべきネタとてないなんてのもアイソないので、一つだけ目に付いたことを―

 

配信紹介の写真にマーキュリー7 お披露目の会見(press conference)シーンがあり、それが「ライトスタッフ」とは違って実際の席順や各人のポーズ(両手を挙げるグレンとシラー、人差し指で一番のクーパー、Ⅴサインのカーペンターなど)を忠実に再現してるのだけれど、何故か左端のスレイトンが普通のネクタイ(regular tie)をしている―ホントはグレンと同様の蝶ネクタイ(bow tie)なのに。(その3139~3147参照)

 

グレン一人がフォーマルで生まじめキャラとのイメージ操作?

 

これについては右隣のシェパードがスレイトンの蝶ネクタイを弄りからかう悪ふざけ話が伝えられていて―

 

シ:また蝶ネクタイが流行ってんのか?

 

ス:この蝶ネクタイが何だって?

 

シ:いや、ケチャップか何か付いてんのが写りゃしないかなぁ

 

ス:(え、どこ…?  とソワソワ、モゾモゾ)

 

シ:ウソぴょ~ん(Gotcha!)

 

Vintage Space Fun Fact: Slayton’s Bow Tie(April 9, 2012)

 

Shepard looked at Slayton, specifically at his tie. “Those, uh, bow ties coming back in style?” he asked.

 

“What’s wrong with my damn tie?” Slayton shot back.

 

“Well, nothing really,” replied Shepard. “I doubt the cameras will pick up that smeared egg or catsup or whatever that guck it on it.”

 

Slayton tried in vain to bring his bow tie into his line of sight. He was still fussing with it as NASA officials sat the astronauts in their seats at the long table and placed a model Mercury capsule and Atlas rocket on the floor in front of them. The bright lights came on, followed by camera flashes as everyone in the room vied for a prime shot of the nation’s heros who had yet to do anything as astronauts.

 

On the left end of the table, Shepard noticed Slayton was still fidgeting with his tie. “There’s nothing on your tie,” he finally admitted. Slayton looked up to see Shepard smiling at him. “Gotcha.”