独り掲示板

ライトスタッフは名作です-2

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3328】

 

その1099~1100

 

前述したように「アポロ 13」でヘイズはスワイガートより年下のくせして(おまけにLMPはCMPより格下とも言えるのに)、偉そーに「(攪拌する時)目盛りを読んだのか」と(まるでスワイガートが目盛りをチェックせずに攪拌したせいで爆発したとばかりに)なじるが、こんな言い争いは(理屈に合わないし)あるわけない。

 

 

ス : 俺はタンクを攪拌しただけだ (All I did was stir those tanks.)

 

ヘ : スイッチを押す前にゲージを見たか? (What was that gauge reading before you hit the switch?)

 

ス : タンクを攪拌しろと言われたから指示どおり攪拌しただけだ! (They asked me to stir the damn tanks and I stirred the tanks!)

 

ヘ : ゲージを見たかと訊いてるだけだ 見てないんだろ! (I just asked you what the gauge was reading.  And you don't know!)

 

 

スワイガートは(劇中で反論してるように)ヒューストンの依頼(←capcom の交信記録 "13, we've got one more item for you, when you get a chance. We'd like you to stir up your cryo tanks."―その2996参照)に応じて素直に攪拌ファンのスイッチを入れただけで、その際に(スイッチを入れる前に)ゲージの目盛りを一応チェックしたほうが(水素タンクの警報が不調で酸素タンクが異常でも警告灯が点かない可能性があったので)好ましいのかもしれないが、むしろ目盛りを正確に読むために予め攪拌する(地上と違って無重力下なので液体酸素を攪拌して均しておいて正しい状態を確認する)のであって、その逆―攪拌するために目盛りをチェックするのでは全然ない。 (よって、攪拌する前にゲージを見てなければいけないなんてことはなく、見てないからと言って何ら咎められるような問題ではない)

 

なのにヘイズは(年下かつ格下のくせして)筋違いにも「目盛りを読んだのか」などと偉そーにスワイガートを詰問する―なことは実際にあるわけない(話を盛った)脚色なのは(本物のヘイズに "the crew conflict was something Hollywood added to make us seem more human" と教えられるまでもなく)明らかです。

 

 

「アポロ 13」のラストに トム・ハンクスラヴェル)のナレーションがあって、ヘイズは予算削減のためアポロ18 がキャンセルされ二度と飛ばなかった(Fred Haise was going back to the Moon on Apollo 18, but his mission was canceled because of the budget cuts,he never flew in space again.)と語り(←アポロ13 前にアポロ20 が、アポロ13 後にアポロ18、19 がキャンセルされた―ヘイズの予定ミッションは実際はアポロ18 ではなくアポロ19)、続けて―

 

Nor did Jack Swigert. Who left the astronaut corps and was elected to Congress from the state of Colorado,but he died of cancer before he was able to take office.

 

と、スワイガートの死に触れる。

 

これは「ライトスタッフ」のラストのナレーション(リドリーの声)が―

 

The Mercury program was over. Four years later, astronaut Gus Grissom was killed, along with astronauts White and Chaffee, when fire swept through their Apollo capsule.

 

と、ガス・グリソムの死に触れていることと完全にオーバーラップしているように(わたしの目には)映るけれど、「ライトスタッフ」に心酔するロン・ハワード(その3223参照)が「アポロ 13」のスワイガートを「ライトスタッフ」のガス・グリソムに重ね合わせる仕方で(それを 100% 意図してではないとしても、少なくとも明確に意識してに違いない)演出したことの現れ―そして、実はライトスタッフ・ファンであることの(手の込んだ、それでいて遠慮がちな)告白のように(わたしの目には)映る。

 

蛇足

 

言わずもがなではあるけども―

 

>「アポロ 13」のロン・ハワードは「ライトスタッフ」のフィリップ・カウフマンほど嫌味(辛辣)な感じではない

 

その微妙にして決定的な差こそが「ライトスタッフ」をして名作たらしめているという感じもする。