【誰にともなしに、独り言レス―その2988】
オフィスを出たところでクーパーはジム・ラヴェルに会う―
ク : どうした?
ラ : 今度はアポロ14 が取られそうな雲行きだ
ク : 全く、見境なしだな
ラ : 次がある保証もないし、まいったよ
ク : ディークはアポロ13 に繰り上げる肚だったろ
ラ : ああ、繰り上がるのは歓迎だったが、マクディビットに潰された
ク : こっちだって、おいそれとアポロ13 は譲れない
ラ : 人を差し置いて、いきなり月に行かせろってんだから
ク : 何様のつもりなんだか
ラ : マーキュリー以来の仲間なのに?
ク : あっちは海軍だ
ラ : ディークは空軍だろ、それもエドワーズの
ク : ガス(グリソム)のことで変になったのかもな…
参考
ラヴェルは "he(Al Shepard), being a very aggressive individual,lobbied very hard for a flight of the Apollo Program" と証言しており、シェパードが(スレイトンと結託して)そうとう強引(かつ露骨)に振舞っていたのは明らかで、復帰して直近の(まだ正式クルーの発表がされていなかった)アポロ13 の乗っ取りを(訓練不足を理由に)拒否されるや、狡猾にも次のアポロ14 との交換をラヴェルに持ちかけ(アポロ13 の却下は先刻承知の上で、端からアポロ13 と14 のコンバートこそが狙いだったか?)、まんまと月ミッションを我がものに(横取り)する。
スレイトン(とシェパード)の目論見どおり、この巧妙な取引をラヴェルは喜んで OK したわけだけれど("I was happy about that, they would allow me to go to the moon about 6 months earlier.")、もしも(ありえない仮定だが)ラヴェルが撥ねつけていたなら、アポロ13 のコマンドを嫌でも(アポロ10 のバックアップを務めた)クーパーにせざるをえなかっただろう。(←スレイトンは、そもそも月ミッションに全く起用するつもりのなかったクーパーをアポロ10 のバックアップにしたのは、その時たまたま他に適任者がいなかった―ローテーションのはざまと言うか、折り悪く人手不足のタイミングだったからとか何とか、ふざけた言い訳をしていたらしい)
そして、ラヴェルは本来のアポロ14 で間違い(トラブル)なく月に降り立ち(シェパードのように迷子などならず)きっちり月面探査をしてシルバー教授を喜ばせたに違いない。
そうなるとシェパードが割り込めるのはアポロ15 で(順次 繰り下げて)デイヴ・スコットがアポロ16、ジョン・ヤングがアポロ17 となり、押し出されるジーン・サーナンは ASTP かスカイラブに回されていたことだろう―この流れ(ミッションの展開)を想像してみると(わたしには)このほうが断然よかった気がする。
参考の参考
単純に各ミッションが繰り下げられたとして、最後のアポロ17 には実際のアポロ16 のクルー、ジョン・ヤング(CDR)、ケン・マッティングリー(CMP)、チャーリー・デューク(LMP)のままスライドされるわけではない。
アポロ13 がクーパー、アポロ14 がラヴェルになれば、当然マッティングリーも(風疹疑惑は生じないから)アポロ14 で、もともとのヤング組のジャック・スワイガートがアポロ17 の CMP になる。
スワイガートは実際にはアポロ15 の切手スキャンダルの煽りで予定されていた ASTP から外され(1973年に)NASA を辞めているが、こんなゴタゴタもクーパーがアポロ13 を飛んでりゃ(まるで事態は変わってくるし)起こらなかったかもしれない。
そして最後の月ミッションであるから、LMP は デュークだろうと誰だろうとチームやローテーションに関係なく、実際のアポロ17 のとおり 地質学者 ジャック・シュミットが抜擢されて代えられるはず。
このヤング、スワイガート、シュミット(+ シルバー教授)という布陣の仮想アポロ17 は(個人的に)なかなか味わい深くイメージできるので(いつか機会があれば)じっくり妄想を膨らませてみたいネタではある…