【誰にともなしに、独り言レス―その3204】
その508 ～509 （2004/11/16～17）
「ライトスタッフ」では "Godspeed, John Glenn" と言うのはアラン・シェパード、正確にはリフトオフする MA-6 （フレンドシップ７）の映像にかぶせて（つまり、顔は映さずに）コントロール・センター（capcom）のシェパードが―
" Good Lord, ride all the way. Godspeed, John Glenn. "
と見送ってるかのように描く。
確かに、その時 シェパードが capcom だったのは本当のこと―
ケープのマーキュリー管制センターで通信連絡係を担当しているアラン・シェパードの声が聞えた。きわめて明瞭だ。彼は言っていた、「さあ、お望みなら、最低七週は行けるぞ」 「了解」グレンは言った。[中公文庫]
He could hear Alan Shepard, who was serving as capcom in the Mercury Control Center at the Cape. His voice came in very clearly. He was saying, "You have a go, at least seven orbits." "Roger," said Glenn. （The Right Stuff）
でも、あの有名なフレーズを実際に発したのは、本当は（シェパードではなく）カーペンターなんですよ。
グレンのバックアップだったカーペンターは、その時（ロケットの打ち上げをコントロールする）ブロックハウスにいて（アトラスの発射ボタンを押したトム・オマリー Thomas J. O'Malley の “May the good Lord ride all the way.” という言葉に続けて）"Godspeed, John Glenn" と言ったんです。
それを承知の上であるからこそ、あのシーンは（あえて顔を出さずに）シェパードの声だけの（二つ続けた）一人のセリフに脚色してあるのかもしれない―たぶん、そんなとこでしょう、あれは。（カーペンターの出る幕でもないし）
もっとも、その "Godspeed, John Glenn" はグレン本人の耳には届いてません―カーペンターとはライン（たって、もちろん無線）がつながってなかったから。 （そう思って見ると、描き方もそんな感じでしょ―グレンにと言うより、漠然と MA-6 に呼びかけてるような）
参考
Glenn heard none of the prayerful transmissions — only Shepard continuing the steady countdown: "... eight, seven, six, five, four, three, two, one, zero ! "
“Ignition ! ”
“Liftoff ! ” （Into That Silent Sea: Trailblazers of the Space Era, 1961-1965）
ただ、ちゃんと交信記録には残ってたんで、グレンは後日そのテープを聞いていたく感激したらしい。
で、STS-95 では再び “…once again, Godspeed, John Glenn” とシャトルに流したそうですね―
Shortly before lift-off, NASA had played for the crew a taped greeting from Mercury astronaut Scott Carpenter that was to be radioed to them after launch. His voice quivering slightly, Carpenter intoned, “Good luck, have a safe flight, and…once again, Godspeed, John Glenn,” repeating his famous benediction for Glenn's first flight in 1962.（Friendship 7: The Epic Orbital Flight of John H. Glenn, Jr.）
これにはグレン（とディスカバリーの乗員一同）はいたく感激したらしい。
