独り掲示板

ライトスタッフは名作です-2

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3515】

 

>ホントは凄かったスワイガート

 

「アポロ 13」のアホ丸出しのスワイガートが一瞬だけ(アホはアホなりに)賢い素振りを覗かせるシーンがあって、船長のラヴェルに “That's good thinking.”(お利口さんでちゅねぇ)と褒められる―

 

《過去レス復元コーナー》

 

その 2755~6 (2018/ 5/31)₂

 

CO₂ フィルターのシーンにしても、スワイガートではなく(実際はタッチしてなかったはずの)ヘイズが capcom の指示を受け、3 人で(やけにスワイガートは朦朧として)作る―明らかにスワイガート一人を疎外した(わざとらしくもベタな)構図を崩さないための脚色(方便)だろう。

 

四角で丸い CO₂ フィルターは実際には(ヘイズを除く)スワイガートとラヴェル二人の共同作業で(essentially Jack and I started to build this thing.)、これは想像するに ヘイズが一人で、スワイガートとラヴェルが二人で、それぞれ交代制で眠る(常に誰かは起きている)ようにしていたためらしい。 (we kept somebody awake. And usually it was Fred by himself and Jack and I trying to get some sleep.) (←あざとくも、このシフトを逆転した構図で「アポロ 13」のストーリーは作られているわけです)

 

その1108―

 

そんな(不当に疎外された)スワイガートを「アポロ 13」で最終的にラヴェルが(曲がりなりにもチームの仲間として)認めるのは、救命ボートにしていた LM(アクエリアス)から CM(オデッセイ)に戻り LM を切り離すシーン、計器パネルのスイッチに貼られた付箋("NO" sign)に気づく―

 

L : What is that?

 

S : Oh... I was getting a little punchy and I... I didn't wanna cut the LM loose with you guys still in it.

 

 

スワイガートは(何だか朦朧としてるので)うっかり二人がまだ LM に残ってる内に切り離してしまわないようにと殊勝にもスイッチに "NO" と貼り付けていたもので、実際にラヴェルは(CM に戻らない内にハッチを閉められやしないかと)一抹の不安を感じていたらしく(交信記録に Lovell:"I'm scared Jack will have it closed before I get up there. " とある)、きっとスワイガートから逆疎外(?)されて宇宙におっぽり出されずに内心ホッとしたんでしょう―

 

L : That's good thinking.

 

と真顔で応え、そこでようやく スワイガートの(ずっと引きつっていた)頬がゆるむのだった。

 

参考

 

LM を切り離すや ヒューストンの(たぶん、その時 capcom やってる)マッティングリーの声(←TV の吹き替えでは、手抜きしてるのか勘違いしてるのか、ヘイズが実際に言った「いい船だった She sure was a good ship.」の後、そのままヘイズが「さよなら アクエリアス 今日までありがとう」と続けてるように捏造している)が言う―

 

Farewell, Aquarius.  And we thank you.

 

は、いかにも作りものめいたセリフのようで、実は(その時の本当の) capcom だったカーウィンの名文句。

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3514】

 

>「アポロ 13」のスワイガートが「ライトスタッフ」のガス・グリソムと重なり合う のは確かにしても、その意味合いは似て非なる全く異質の別もの―

 

さもスキル不足(ポンコツ)のスワイガートが目盛りをチェックせずにタンクを撹拌したヘマのせいで爆発したかのような特に必要性のない嘘の脚色(その3328参照)とリバティベルのグリソムを(パニックでハッチを吹っ飛ばした)Squirming Hatch Blower として描く必然的な構成(その3099参照)とは話が別次元で重なり合いはしない。

 

「アポロ 13」と「ライトスタッフ」を一緒くた(同じカテゴリー)にする向きもあろうけれど、少なくとも「アポロ 13」のスワイガートは純正ライトスタッフ批判の対象からは完全に外れるのであって、ロン・ハワードフィリップ・カウフマンの違い(決定的な差)は明確です。

 

仮に「アポロ 13」をスワイガートを軸(センター)に描くとするなら(タイトルは "Houston, we've had a problem here.")、チャラチャラの遊び人テストパイロットが宇宙飛行士になり、いざ絶体絶命のトラブルを並外れたスキルを発揮して見事に切り抜ける―なんてのが定番(ハリウッド式)だろうに、そのほうが実際にも近い作りだし。

 

「ジャック・スワイガート物語」でホントは凄かったスワイガートをアピールしてやれば、世間の目(偏見)も変わりますかね。

 

North American レジェンド・テストパイロットの系譜―ジョージ・ウェルチ、ボブ・フーバー、スコット・クロスフィールド そしてアポロ13 のジャック・スワイガート… てなオープニングで。

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3513】

 

スワイガート自身は別に独身主義じゃない(“I don’t think I’m a confirmed bachelor”)としながらも生涯(1931~1982)一度も結婚しなかった。

 

アポロ13 帰還後の TV ショー(Apollo 13 Crew - Jim Lovell, Fred Haise, and Jack Swigert on Johnny Carson Tonight Show 8/1/1970)を YouTube などで見ると、スワイガートが意外に生真面目ふうの全~然チャラチャラしてない印象で、メディアが Swigert the bachelor を殊更イジってたのは、通常なら宇宙飛行士の奥さんや子供たちにインタビューしたりして紹介するのに突然にして直前(72 hours prior to launch)の交代で新顔パイロットの(型どおりの)イージーなネタが取れなかったのも一因か。

 

あたふた焦った記者がスワイガートの大家にインタビューして「ここに住んでるよ」なんて訊き出してた(it drove the newsmen crazy because they weren’t quite prepared to report on Jack Swigert and they ran around I saw them interviewing your landlord and the landlord says ‘Yes he lives right here.’)と司会のジョニー・カーソンが笑ってたんで。

 

ちゃんと取材する余裕があったらスワイガートが North American の civilian test pilot だったことを何よりもアピールしてたはず―なぜならスワイガートは司令船パイロット CMP(command module pilot)であり、North American Aviation 製のアポロ司令船  CSM(Apollo command and service module)に誰よりも精通したエキスパートだったと言われてるから。(その3326参照)

 

なので「アポロ 13」でスワイガートがチャラチャラの独身宇宙飛行士に描かれるのは(脚色として)まだしも、司令船パイロットのスキルを未熟で不慣れとする 100% 正しくない作り(印象操作)は致命的で不快にして不要な捏造―だと、わたしは思う。

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3512】

 

スワイガートは唯一の独身(Swigert the bachelor)であること(“a girl in every airport from coast to coast” の遊び人キャラ)を不当にイジられまくっていたが(その3329参照)、厳密に言うと唯一の独身ではなくて唯一の(Swigert ≒ swinger てなシャレめかして)チャラチャラした独身宇宙飛行士(the most swinging of all the bachelor astronauts)で、実は交代させられたマッティングリーもアポロ13 の時点では独身だったけれど 2カ月後(in June 1970, two months after Apollo 13)に a steady girlfriend と結婚してるんで、全~然チャラチャラしてない独身だったゆえ。

 

そんな日頃の行ないの結果か、マッティングリーはアポロ16(April 1972)の司令船パイロットとして月ミッションを(船外活動 EVA を含め)成し遂げる―

 

《過去レス復元コーナー》

 

その 1024―

 

「人類、月に立つ」 Part 11 はアポロ16 についてのセグメントながら("The Original Wives' Club" 「栄光の陰で 妻たちのアポロ計画」というタイトルどおりの内容なので)ミッションそのものには殆んど触れられないが、月に向うアポロ16 (CM 内)のケン・マッティングリーが結婚指輪を紛失するシーンで始まり、その指輪は一週間後(地球への帰還途上で)チャーリー・デュークが奇跡的に(目の前をフワフワ浮遊していくのを)発見する―

 

デ : おい、ケン いいもの見つけたぞ(Hey, Ken, guess what I just found.)

 

マ : 何?(What's that?)

 

デ : 指輪(A ring.)

 

マ : 本当かい?(Is that right?)

 

デ : ああ、お前のじゃないか?(Yeah. I think it's yours.)

 

マ : あぁ…ラッキーだった  (Boy, how's that for luck?)

 

デ : ラッキーなんてもんじゃない 凄い幸運だ(That's luck, boy. That is good luck.)

 

 

これは実際の話で、その時のデューク(D)、ヤング(Y)、マッティングリー(M)の会話が交信記録に―

 

D : Guess what I caught floating out the hatch?

 

Y : What?

 

M : What's that -

 

D : A ring.

 

M : Oh, is that right?

 

D : Yeah. I think it's yours.

 

Y : Yeah, it is.

 

D : In fact, it had already gone out and hit you and was coming back when I saw it.

 

M : Boy, how's that for luck?

 

と残っている。 (最後のデュークのセリフは作ってあるのか見当たらない)

 

 

その 1025―

 

細かくてどうでもいいこと(でもないこと)を指摘しておくと、マッティングリーの「あぁ…ラッキーだった」というセリフはデュークが指輪を見つけてくれたことをラッキーだと受け取れるが、交信記録にあるように厳密にはデュークが指輪を見つけた奇跡的な状況をラッキーだったと言っていて、そのウソみたいな状況が(デュークの証言に基づいてに違いない)具体的に描かれている。

 

折りしもマッティングリーはハッチの外(out over the hatch)で EVA の最中、指輪はデュークの目の前をかすめ(一度つかみそこなう)、あわやハッチめがけて外(つまり宇宙)へ流出せんと思いきや、何も気付いてないマッティングリーのヘルメットに跳ね返され、またフワフワ戻ってきたのを今度こそデュークがつかむ―

 

何が起こったかをデュークが説明し(it had already gone out and hit you and was coming back when I saw it.)、それを聞いたマッティングリーが「ラッキーだった」と応えてるのが実際のやりとり。

 

このマッティングリーの(そうとは知らぬ)ヘディング・パスをデュークが巧くキャッチするという絶妙のコンビネーションは、ここでは一切触れられないアポロ13 における例の風疹にまつわる因縁話のハッピーエンド的なオチになってもいようか。

 

 

その 1026―

 

それと、ヤングの発言が削除されているのは意図的な演出に思える―でなければ、最初のマッティングリーが指輪をなくすシーンでは当然そこにいるヤング船長も一緒にワイワイやっており、それなのに指輪が見つかるシーンで(実際には口を挟んでいる)ヤングを外すのは不自然。

 

これは、ヤングと離婚していたバーバラのこともエピソードに描かれるので(「アポロ16 はバーバラのミッションでもある」I think it's her mission too.)、マッティングリーの結婚指輪が奇跡的に見つかるシーンにはテーマ上(←それを指輪が象徴し糸口にする体裁になってるわけだけれど)そぐわないという理由か。 (←流れ的にもバーバラがアポロ16 の打ち上げをココアビーチから見送るシーンの後にある―両手を胸に当てて祈るように見送る、そのバーバラの指にリングはない…)

 

参考

 

アポロ16 の打ち上げは 1972年 4 月16日―前年(夏)にバーバラと離婚したジョン・ヤングは、この時既に(12才年下の相手 Susy Feldman と)再婚していた。

 

ケン・マッティングリーの「俺は新婚だぞ」というセリフ―実際は 1970年(アポロ13 の年)の結婚で、少なくとも新婚ホヤホヤではないはず。 (←ご多分に漏れず結局は離婚)

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3511】

 

元 North American の civilian test pilot で NASA astronaut になったのは(ご存じ)ジャック・スワイガート―急遽 ケン・マッティングリーと司令船パイロットを交代したアポロ 13("Houston, we've had a problem here.")で月をスイングバックして無事に帰還する。(その3324~3331参照)

 

映画「アポロ 13」のスワイガートが「ライトスタッフ」のガス・グリソムと重なり合うんですよねぇ、これが。(スワイガートはコロラド大の機械工学卒)

 

その意味(グリソム経由)でもウェルチはスワイガートとも(わたしの感覚では)繋がっております。

 

 

その3324  再掲―

 

アルカトラズからの脱出」(1979)(その2938参照)から好印象だったフレッド・ウォードは「レモ/第 1 の挑戦」(1985)なんて拾い物を映画館で見たし、「トレマーズ」(1990)も笑えていいねぇ―相棒がケヴィン・ベーコンですよ。

 

ガス・グリソムとジャック・スワイガート―そう見えてしまうのは、わたしだけかいな。

 

その1089

 

「アポロ 13」における嘘(見ようによっては大きな嘘)の一つにスワイガートの(役回り的にネガティブな)描き方がある。

 

その786で―

 

実際のジャック・スワイガートの人となりがどうだったにせよ、わたしは 「アポロ 13」 におけるスワイガートの描き方に(わずかながら) 「ライトスタッフ」 のガス・グリソムと共通するものを感じる―グリソムと同様に スワイガートも何か文句を言おうにも言えなかったので。 (←1982年12月、下院議員に就任する一週間前にガンで死亡)

 

 

その3328  再掲―

 

「アポロ 13」のラストに トム・ハンクスラヴェル)のナレーションがあって、ヘイズは予算削減のためアポロ18 がキャンセルされ二度と飛ばなかった(Fred Haise was going back to the Moon on Apollo 18, but his mission was canceled because of the budget cuts,he never flew in space again.)と語り(←アポロ 13 前にアポロ 20 が、アポロ 13 後にアポロ 18、19 がキャンセルされた―ヘイズの予定ミッションは実際はアポロ 18 ではなくアポロ 19)、続けて―

 

Nor did Jack Swigert. Who left the astronaut corps and was elected to Congress from the state of Colorado,but he died of cancer before he was able to take office.

 

と、スワイガートの死に触れる。

 

これは「ライトスタッフ」のラストのナレーション(リドリーの声)が―

 

The Mercury program was over. Four years later, astronaut Gus Grissom was killed, along with astronauts White and Chaffee, when fire swept through their Apollo capsule.

 

と、ガス・グリソムの死に触れていることと完全にオーバーラップしているように(わたしの目には)映るけれど、「ライトスタッフ」に心酔するロン・ハワード(その3223参照)が「アポロ 13」のスワイガートを「ライトスタッフ」のガス・グリソムに重ね合わせる仕方で(それを 100% 意図してではないとしても、少なくとも明確に意識してに違いない)演出したことの現れ―そして、実はライトスタッフ・ファンであることの(手の込んだ、それでいて遠慮がちな)告白のように(わたしの目には)映る。

 

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3510】

 

ウェルチが X-15 で飛びたかったであろうことは容易に想像されるが、NASA の宇宙飛行士に興味を持ったかは何とも言えない。

 

アイゼンハワーの鶴の一声でマーキュリー宇宙飛行士は military test pilot 限定になったので(その2931参照)、North American の civilian test pilot のウェルチは Pearl Harbor Hero だろうが the first Mach buster in a dive だろうが(クロスフィールド同様)もとより資格がないけども(やはりクロスフィールド同様)基本的に too independent(その3427~9参照)であるから、性格面の適性も資質を欠いてはいようか。

 

ウェルチは Purdue University で機械工学(mechanical engineering degree)を修めている(junior year に Army Air Corps に入った)―ちなみにパデュー大学は最初のムーンウォーカー(アームストロング-アポロ11―その2897~2901参照)と最後のムーンウォーカージーン・サーナン-アポロ17―その3258参照)の二枚看板を始め宇宙飛行士を(Cradle of Astronauts と称されるほど)多く輩出していて、学歴的には高卒のイェーガーのようにケチをつけられはしなかったはず。(グレンやカーペンターの学歴詐称例もあるし―その2936参照)

 

年齢的に be younger than 40 には引っ掛かってくるにしても(ウェルチは 1918 年生まれ マーキュリー選考は 1958 年~)仮にウェルチが宇宙飛行士に(civilian 特別枠か何かで)採用されてた(むろん F-100A supersonic dive や X-15 hypersonic dive で墜落死してない)として、アラン・シェパード(MR-3 フリーダム 7)ではなく ウェルチがマーキュリーの the first astronaut になっていたという方向より、ガス・グリソム(MR-4 リバティベル 7)的位置付けが似つかわしい―奇遇と言うか、グリソムはウェルチと同じくパデュー大学の機械工学(Bachelor of Science degree)卒だし。(アポロ 1 でグリソムと一緒に死亡したロジャー・チャフィーも航空工学卒の Purdue astronaut)

 

ウェルチは(military のマーキュリー 7)プラス(civilian の)1 だからインディペンデント 1 てなコールサイン(Liberty Bell = Independence)―グリソムのように再突入した後 MR-4 splash dive(splashdown じゃないとこがミソ)して screw the pooch する the first civilian astronaut なんて(とことん好き勝手な)妄想が膨らむ。

 

ライトスタッフ」でのイェーガーのセリフ―

 

Old Gus, he did all right.(その3018、3099参照)

 

散々 civilian を見下していたイェーガーがマーキュリー・カプセルで splash dive したウェルチを―

 

Old Welch, he did all right.

 

と認めるシーンは必須(の妄想)ですね。

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3509】

 

合理的な妄想とでも言うか、もしもウェルチが F-100A で墜落死(1954)してなければ North American’s chief test pilot として North American X-15 の初フライトテスト(1959)で(1955 に NACA から North American に移籍したクロスフィールドではなく)自ら飛んで、やはり慢性 dive 中毒による最期を遂げたかもしれない。

 

実際に X-15 で墜落死したのは 15 November 1967 あの(イェーガーが「いたく感銘を受けた」)F-104 奇跡の脱出事件(1963)で後部座席から射出し(コンマ何秒のタイミングで)難を逃れたマイク・アダムス Michael J. Adams(その2946参照)―

 

X-15A-3 のアダムスは―

 

10:34:19  “I’m in a spin.”

 

という交信を最後に(40 秒後の)10:34:59 空中分解した。(62,000 feet  at Mach 3.93)

 

一旦は spin から抜けて(inverted 逆さまの)in a 45-degree dive(at Mach 4.7)状態に陥ってしまい(地上の管制も X-15 の hypersonic spin なんて全くの想定外で)コントロール不能で墜落―このまま妄想のウェルチ X-15 hypersonic dive にスライド(焼き直し)できるくらいにダブって映る。

 

アダムスはコントロール・システムが不具合(electrical disturbance)の X-15 を何とか立て直して帰還するチャンスもあった―が、おそらく(機械的なトラブルゆえのみならず)パイロット自身が方向感覚を失った(disoriented)可能性を指摘されていて、その時 アダムスは vertigo(回転性めまい)を起こしていたとも推測されている。

 

X-15 の third flight でアダムスは上昇時の vertigo 症状を報告(post-flight debriefing)していて、そんな何か潜在的に危なっかしい体質じゃ(もとから宇宙志向だった)アダムスは NASA Astronaut Selection には(medical screening で)不適格だったろう(アダムスの susceptibility to vertigo は X-15 では不問に付されていた)―このラストフライトで高度 50 miles(80 km)をクリアしてる(266,000 feet = 81,077 meters)ので死後に Astronaut wings(USAF)を授与されてはいるけれど。(その2918参照)

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3508】

 

“First Pilot” のオープニングは凡庸(ベタ)に Pearl Harbor から始まったりしませんで、ウェルチの P-40 が勇猛果敢に Zero を撃墜するなんて(眉唾?)シーンは趣味が悪すぎて使えないし、全然そこじゃないから、ここでのテーマは。

 

Pearl Harbor からではなく、Pearl Harbor Hero のウェルチが(許可なく without proper authorization 勝手に出撃 take off したゆえ)Medal of Honor(the highest military award)の受勲資格なしと(指揮命令系統を無視された石頭に)判断され、結局 Distinguished Service Cross(the second-highest U.S. Army medal)にランクダウンした経緯から始まる。

 

ただし、相方(?)の Kenneth Taylor の P-40 に攻撃せんとする敵機めがけてウェルチが急降下(dive)して救った(らしい場面が ‟Tora! Tora! Tora!” にある)ことを回想的にオーバーラップさせて、あざとくウェルチの dive 中毒(dive しなきゃ気が済まない強迫症)を示してはおく。(後の XP-86 と F-100A で「ライトスタッフ」式 前フリ印象操作~イメージの繰り返し構成ですね)

 

あ、Medal of Honor名誉勲章)と言や、思い浮かぶのが "Black Hawk Down" で鮮烈に描かれる二人の Delta Force snipers―

 

その3046再掲―

 

ブラックホーク・ダウン」を見てる時に、当然サム・シェパードからの連想で、最初から無意識のうちにもライトスタッフという言葉は浮かんでたんでしょうけど、わたしがはっきりと意識したのは、ヘリで待機していた 2 名のデルタフォース(ゲイリー・ゴードン、ランディ・シュガート)が墜落したブラックホーク(スーパー64)の救出を申し出るシーンであります。

 

彼らは「絶対に仲間を見捨てない」という軍規に従ってそうしたわけではなく(←ここ重要)、ましてや馬鹿げた命令をされたわけでもない―むしろ、指揮官のガリソン少将(サム・シェパード)が制止しようとしているのにも拘らず、あのふたりのデルタ隊員は、あの最悪の状況で最善と考えられるミッションを、何のためらいもなく自らに課している…自ら志願して、自らの意志で。(←ここ更に重要)

 

パンチョの店に入る時の凸凹リクルータ・コンビのやりとりを思い出してください―

 

ライトスタッフとは勇気とかヒロイズムのことか?

 

いや、それ以上のものだ…

 

わたしは、ライトスタッフとは何か? という問いに対する答えを、ひょっとして当の「ライトスタッフ」のなかでは明確には見出せなかったかもしれない不幸な人に、「ブラックホーク・ダウン」のあのシーンに、その答えをはっきりと見ることができると訴えたい気がする―そう、単なる勇気とかヒロイズムのことではない。

 

あれこそが、ライトスタッフだと。

 

※ Master Sergeant Gary Gordon と Sergeant First Class Randall Shughart は死後に Medal of Honor を受章(1994)

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3507】

 

イェーガー自身を >サウンドバリア的壁(the sonic wall) に見立てるのは(単純な思い付きだけじゃなく)イェーガーご本人の鉄板ギャグが元ネタ―

 

The sonic wall was mine. The hangar wall was Crossfield's. (その3073参照)

 

イェーガーのオープニング・トーク(つかみ)の口癖ジョークで、8 September 1954 クロスフィールドが(ウェルチの事故以前の)F-100 の初フライトテスト(first NACA test flight)で(my specialty と自負する)完璧な dead-stick landing(無動力着陸)を披露したはいいが(F-100 じゃ dead-stick landing は無理じゃね?とされてたのに、It was one of the best landings I have ever made, in fact.)、まさかのブレーキが(handbook どおりには)利かず、ものの見事にエドワーズの NACA hangar の壁を突き破って停止した―この hangar wall 事件でクロスフィールドはイェーガーに皮肉り倒されてたわけです。

 

参考

 

She[F-100] had a reputation for being mean, if mishandled. She had uncorked and disintegrated, killing North American's top test pilot, George Welch. There was a big debate raging among the pilots at Edwards about whether or not the F-100 could be landed dead-stick. North American had not yet demonstrated it. It fell to me to find out on my first F-100 flight. (Always Another Dawn)

 

かように明瞭に見て取れるが、F-100A のテストパイロットとして North American のウェルチ、USAF のイェーガー、NACA のクロスフィールドは各々エドワーズで(ブルーインパルスコークスクリューさながらの)卍巴のアクロバチック飛行をやらかしてたのであり、クロスフィールドの D-558-Ⅱ rocket-powered research aircraft(20 November 1953 マッハ 2 の the first)、イェーガーの X-1A rocket-powered research aircraft(12 December 1953 マッハ 2.44)へのウェルチの F-100A jet fighter aircraft のファイナルアンサーが 12 October 1954  Mach 1.55 dive test に他ならない。(てな気がしてならない)

 

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3506】

 

さて、“First Pilot”(ジョージ・ウェルチ物語)てな妄想をしとりまして、アームストロングの “First Man” では憎まれ役/ちょい役(誰?って感じ)でパワハラ腹黒おやじのイェーガーに甘んじてたけども(その2892、3437参照)、ここではウェルチに対しての人間サウンドバリア的壁(the sonic wall)みたいな圧倒的存在で当然メインキャスト―ヘタするとウェルチのほうが脇っぽくなるくらいの(純正ライトスタッフ・ファン対応の定位置)センター・ポジションに立つ―だからウェルチはイェーガーという壁を突破しようとしたのかと納得させられるような風格(ライトスタッフのオーラ)を漂わせつつ。

 

で、エピローグのシーンだけはイメージできていて、F-100A のフライトテストに向かうウェルチにイェーガーが真顔で声をかける―

 

“Hey, Wheaties, just watch you don't screw the pooch.”

 

笑って飛び立つウェルチに「ライトスタッフ」式のナレーションをかぶせて―

 

The Century Series started with F-100 Super Sabre. On October 12, 1954, North American test pilot George 'Wheaties' Welch was killed while testing an F-100A disintegrated in midair. But on that glorious day in October 1947, George Welch went faster than the speed of sound in a dive with an XP-86 Sabre. And for a brief moment, George Welch became the greatest pilot anyone had ever seen.

 

かくしてウェルチは for a brief moment(ほんの束の間)にすぎないがイェーガーより先に the greatest pilot になったのであった… てな感じの締めですか。

 

参考:「ライトスタッフ」ラストナレーション(その3023参照)

 

The Mercury program was over. Four years later, astronaut Gus Grissom was killed, along with astronauts White and Chaffee, when fire swept through their Apollo capsule. But on that glorious day in May 1963, Gordo Cooper went higher, farther, and faster than any other American. Twenty-two complete orbits around the world, he was the last American ever to go into space alone. And for a brief moment, Gordo Cooper became the greatest pilot anyone had ever seen.