独り掲示板

ライトスタッフは名作です-2

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3263】

 

その1481~1482

 

レッドバロンは若くして 80 機を撃墜した ace of aces ―悠長なスポーツ感覚で(おいそれと)できる芸当とは思えない。

 

"Gentlemen, we are sportsmen.  Not butchers. "

 

という体裁よく脚色されたモットーとは全く裏腹に、実際のレッドバロンは―

 

Ich schieße nie in die Maschine, schieße immer gleich den Führer ab. Wenn noch ein Beobachter dabei ist, natürlich den Beobachter zuerst.(英訳 I never get into an aircraft for fun. I aim first for the head of the pilot, or rather at the head of the observer, if there is one.)

 

決して機体を目がけて撃ちはしない、常にパイロットを狙いすまして撃つ、オブザーバー(機関銃士)がいたなら当然まっ先に撃つ―とシビアに断言して(書き残して)いて、敵機を撃墜する効率的な早道と考えていたらしい。

 

not men どころか、いきなり人を狙い撃ってたんですね、容赦なく―そのほうが手っ取り早いから。 (←どこが紳士的で騎士道精神?)

 

 

だから The Red Baron(2008 ドイツ)予告編の―

 

「歴史の真実を完全映画化」

 

は(冗談のつもりにしても)こっちが赤面させられる宣伝文句で、歴史の真実どころか伝説としてのレッドバロン像すら(従軍看護婦とのラブロマンスなんぞを)捏造したフィクションなのに(それを知ってか知らずか)こう言ってのける神経(無神経)に呆れてしまう。(それとも、歴史の真実を完全に脚色して映画にしましたって意味かいな?)

 

ま、不肖 sohkusa も常々自戒せねばなるまいけれど…

 

 

その 169 (2003/11/ 5)

 

Soon they'll have space platforms to drop nuclear bombs on us, like rocks from a highway overpass.

 

(じきにコミュニストどもは宇宙基地を造って核爆弾を落としてくるだろう、ハイウェイの陸橋から岩を落っこととすみたいに)

 

と、このようにジョンソン上院議員は、ソ連スプートニクに先を越されたことを憤慨しております。(その2927参照)

 

それを受けて「これはハルマゲドンだ」というセリフになるんですから、米ソ冷戦下における宇宙開発競争は、まさに宇宙戦争だったというわけですが、この like rocks from a highway overpass という表現―

 

NHK の字幕は「そのうち宇宙基地を造って核爆弾を落としてくる」としてるだけで、その喩えはあっさり無視。

 

対してレンタルでは「そのうち我々の頭上に核爆弾を雨のように降らす」として(おそらく字数制限から「宇宙基地」を犠牲にして)、一応「雨のように」と解りやすい訳をあててますね。

 

この(いまいちピンとこない)ジョンソンの喩えは、愉快犯的に(もしくは営利目的で)そういった危険極まりないことをするアホ連中のニュースがいくつも検索にヒットするんで、当時もそういった輩がいたということなんでしょう、たぶん。

 

で、この岩を落とすように爆弾を落とすという喩えから、わたしは全然別のことを連想してしまいまして、次回はその話をば―

 

註) ただし、原作の一節―

 

He was genuinely convinced that the Soviets would send up space platforms from which they could drop nuclear bombs at will, like rocks from a highway overpass.(ソ連は宇宙プラットフォームを打ち上げ、まるで高速道路の架橋の上から石ころをおとすように、思いのままに核爆弾を投下するであろう、と彼は本気になって信じた)

 

この He はジョンソンではなく John McCormack(ジョン・マコーマック)の話

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3262】

 

その1478~1480 (2014/ 2/15~20)

 

The Red Baron(2008)の(ドイツ映画 Der Rote Baron のくせに英語で喋る)セリフ―

 

"But always remember-

 

Our task is to bring down aeroplanes, not men.  So stop firing when your opponent's falling.

 

Gentlemen, we are sportsmen.  Not butchers. "

 

[ TV 字幕: 目的は撃墜であり敵を殺すことではない だから墜落する機を撃つな 我々はスポーツマンで虐殺者ではない ]

 

まさに(あくまで伝説としての)レッドバロンの騎士道精神を表しているが、諸兄の着目すべきは―

 

sports (we are sportsmen)

 

The Right Stuff (1983)にも似たセリフがありましたな、スポーツがどうの…って。

 

 

その 676 (2005/ 7/ 7)

 

マージは the sound of a truck starting が聞こえると that's the crash truck だと慄いてしまう―こんな nightmares を見るのは自分ひとりだと思っていた、と(トゥルーディとベティに)打ち明けますね。

 

原作では ジェーン・コンラッドが「急発進するトラック(救難車!)の音  even the sound of trucks starting up (crash trucks!) 」が幻覚の引き金になり、悪夢にうなされると描かれてます。

 

それから マージは、おそらく screw the pooch したパイロットのドジ話にでも興じているらしい 外(庭)のアスホール・トリオを指して―

 

You'd think they were talking about sports.

 

と呆れますが、これは原作の―

 

ピート(コンラッド)とウォリー(シラー)とジム(ラヴェル)はこういう類の話をしては笑い転げた。 驚くべきことだった。 スポーツの手柄話をするのと少しも変わらない。(Pete and Wally and Jim absolutely cracked up over stories like this. It was amazing. Great sports yarns! Nothing more than that.)

 

とされるイメージのままでありましょう。

 

(It sounded once more as if the boys were just talking about sports. というクダリもある―その3044参照)

 

 

>着目すべき と指摘したものの、確かに The Red Baron と The Right Stuff には sports(スポーツ感覚)が共通項としてあると言えようが、だから特にどうだとも実は思っていない。

 

イェーガーが実戦にしろフライトテストにしろスポーツ感覚で臨んでいたという気は別にしないし、大胆であっても(それ以上に)細心かつ慎重だったに違いないので。

 

I was always afraid of dying. Always. It was my fear that made me learn everything I could about my airplane and my emergency equipment, and kept me flying respectful of my machine and always alert in the cockpit. (本人談)

 

と、死への恐怖がそうさせていたと認めているように。

 

レッドバロンにしても sports(sportsman) とは 即ち sport hunting(hunter) を意味する(にすぎない)と普通に(本来的に)解しうるから、いわゆるスポーツ感覚とはイメージがずれてるかもしれない。

 

それにレッドバロンの実像には("Red Knight" の異名どおりの)伝説的な騎士道精神に背く(少なくとも)一面が窺えもするんですよ。

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3261】

 

その1474~1476 (2014/ 2/ 3~8)

 

そこで妄想するのだが(よくタイムスリップ映画にある)もし闘わば―真っ赤な三葉機 フォッカー Dr.Ⅰ のレッドバロン  vs  P51-D グラマラスグレニス のイェーガー、さて如何に?

 

まあ、さて如何に? たって、いかに「腕次第」主義のレッドバロンといえども、P51 ムスタングが相手じゃ(さしもの赤い悪魔も)赤子 同然でしょう―とにかくスピードが違いすぎる。

 

フォッカーにしろアルバトロスにしろ、せいぜい 160~180 km/h 程度―対し、P51 の最高速度は 700 km/h を超えるんだから、撃ち合わずして勝敗は目に見えてます。(装備の機関銃にしても 7.9 mm × 2 と 12.7 mm × 6 で話にならない)

 

とは言うものの、両者が相見えるシーンをイメージするだけで単純にワクワクしてしまうんだなぁ、純正ライトスタッフ・ファンとしては。(ねぇ、諸兄)

 

 

いっそ 思いっ切り(笑える)SF 映画仕立てにして、イェーガーの前に突然タイムスリップして現れたレッドバロンと最強腕次第チームを組むなんてのも愉快(痛快)で、そのタイトルも―

 

The Rot  Stuff 

 

二人の出会うシーン―

 

Y : Who are you?

 

R : Richthofen.

 

Y : Right stuff?

 

R : Nein. Von Richthofen. Wer sind Sie?

 

Y : Yeager.

 

R : Jäger … Warum sprechen Sie kein Deutsch?

 

てな(我ながらウケる)とぼけた感じで。

 

 註)

 

レッドバロンの Warum sprechen Sie kein Deutsch? はイェーガーを名前からドイツ人だと勘違いしているセリフで Jäger には 猟師・戦闘機 の意味もある。

 

 

その 909

 

他に例えば「殊勲十字章」なども手付かずで、もとネタであろうレンタルビデオ字幕の単純な誤りを依然として踏襲している―これじゃ、何のための改訂なのかと訝ってしまうが、まず変更されてるのが分るのはレンタル及び旧(と仮定して)NHK 字幕の「イエガー」という表記が今回は「イエーガー」になってる点で、これは原作訳に従ったものだろう。

 

原作訳の「イエーガー」をレンタル字幕が「イエガー」としてるのは、ひょっとすると単に「ー」の字数を稼ぐためか―旧 NHK 字幕はそれに倣っただけで(?)

 

わたしには Yeager (Charles Elwood "Chuck" Yeager) の発音はカタカナにすると「イェイガー」が近い感じに聞こえるし、それより見た目の好みで(むろん トピ主さんの msg 1 にも倣って)常々「イェーガー」と表記してるので「イエガー」には少し抵抗があると言うか、何だかミミガーを連想していけません。 (←うっかりミミガー式にアクセントを後に置いてイエガー(↑) と気持ちの悪い発音をしてしまうおそれもあるし)

 

もっとも、ミミガーからは逆に沖縄でミグを飛ばしたイェーガーをつい連想させられるけども。 (当然 フライト後はミミガーとスパムをつまみに泡盛を飲んだくれてた―かどうかは定かでない…)

 

参考

 

もともと Yeager はドイツ姓の Jäger と同じであって、Jäger(a ウムラウトの部分)の読みは エー と伸ばしたいので Yeager の表記は「イエガー」ではなく 「イェーガー」 もしくは 「イエーガー」 がよろしいかと。 (ちなみに Jäger のドイツ語の意味は hunter 及び fighter aircraft―その名に違わず、まさにイェーガーは狩猟愛好家の戦闘機乗り)

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3260】

 

その1472~1473 (2014/ 1/23~28)

 

The Red Baron(2008 ドイツ)を YouTube で(一応チェックしとこうと)ざっと見てみたら、音(音楽)や映像なんかも意外に悪くない作り―言うまでもなく、映画ですから(面白おかしく)作ってある(例えば、あのロイ・ブラウン大尉が先にレッドバロンから撃墜され命は救われるという因縁話になっている)のだが、さして作為的な厭らしさは(ざっとしか見てないせいか)感じなかった。

 

ところがですよ、予告編の謳い文句(決め台詞)が―

 

「歴史の真実を完全映画化」

 

などと臆面もなくアピールするので呆れて(こっちが恥ずかしくなって)しまう―そんなウリに効果があるとも思えんし。

 

ただ、1917年7月に頭を負傷してレッドバロンの人(人生観・戦争観)が変わるようにストーリーが展開するのは(それなりに)史実を意識しての作りなんだろうから、そこは得心できますね、わたしとしては。

 

 

レッドバロン(Manfred von Richthofen)は Der Rote Kampfflieger(1917 刊)で―

 

es kommt eben nicht auf die Kiste an, sondern auf den, der drinnen sitzt.

 

と明言していて(The quality of the box matters little. Success depends upon the man who sits in it. と冗長に英訳されている)、いかにもライトスタッフ的な(ツボを心得た)言種でよろしいじゃないですか。

 

あくまで機(die Kiste 箱 飛行機)ではなく、それを操縦する「腕次第」宣言―

 

映画「ライトスタッフ」でパンチョの店でのディーク・スレイトンとマージのやりとり、原作の元ネタでは―

 

after dinner one night they mentioned that the departed had been a good man but was inexperienced, and when the malfunction in the controls put him in that bad corner, he didn't know how to get out of it.

 

Every wife wanted to cry out: "Well, my God! The machine broke! What makes any of you think you would have come out of it any better!"(The Right Stuff)

 

ある晩夕食後彼らは言った。あいつはいいやつだったが、腕が未熟だったよ。だから、操縦装置の作動不備で窮地に追いこまれたとき、そこから抜け出す方法を知らなかったんだ。

 

細君たちは誰しも叫びたかった。「何を言ってるのよ。飛行機、、、がこわれたんでしょ! 自分なら、、、、もっとうまく切り抜けられただろうなんて、どうしたらそんなことが考えられるの!」 [中公文庫]

 

 ライトスタッフたるものは「腕次第」主義を標榜せずにいられないのである。

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3259】

 

つい先日(5/29)、まさに《伝説》的(と、わたしは了解する)パフォーマンス(Thank You フライト)を披露してくれたブルーインパルスアメリカ遠征(at the 1997 Golden Air Tattoo at Nellis AFB, Nevada, for the 50th anniversary of the U.S. Air Force)の際、イェーガーと(たまさかの)接触をしたやに聞く―

 

ブルーインパルスレッドバロン 関連レス

 

その1386

 

わたしはと言えば(その道の)マニアでも何でもないけれど、震災以降 この地(空)に ブルーインパルス が居候(暫しの訓練拠点に)していて、過日 T-4 の 6 機編隊が(ようやく松島基地復帰と相成り)お別れデモフライトをし、それが特に非日常的なことでもないといった(風通しに恵まれた)環境下で生まれ育ってはいる。

 

よって(自慢じゃないが)子供の頃に F-104 が目の前を超低空飛行で(←ありえんけども)空気を切り裂くように超音速で横切る(←やっぱり、ありえん)という圧倒的な体験をした(夢の?)記憶があるくらい、昔から F-104 (とか X-15 とかの存在)を知ってたりするので、たぶん何かしらかの 純正ライトスタッフ・ファンとなるべく(正しい、かどうかはともかく)資質があったと言えるかもしれない。

 

 

その1445~1447

 

新年のご挨拶に代えまして、ちょいと思うところを―

 

こちらの「ライトスタッフは名作です」は(申し訳ないが)とりとめのない独り言の場(はけ口)と堕して久しいけども、先般より textream は過去の投稿が全く表示できなくなって、以前のレスを参照することも当然できません。

 

そこで(既に使いなれた手なのだが)昔のレスを折に触れて積極的に再掲していこうかと―つまり、最新のコメントに(言うなれば)張り替えてやるんですな。(わたしは基本的にレスの下書きをし殆ど保存してるので、ある程度は可能)

 

真の純正ライトスタッフ・ファンはしぶといのである。

 

(んなわけで、その話は聞き飽きたという独り言を見たら、苦情は textream オフィシャルのスレッドへどうぞ)

 

 

> 2020年のオリンピックまで

 

トピ主さんの寛大(にして不用意かつ軽率)な呼びかけに乗じ、不肖 sohkusa の独り言は 2020年 東京の空に(前回同様ぜひ実現させてもらいたいが)ブルーインパルスの描く五輪のマークを見届けるまで(だらだら、くどくど、えんえんと)続けることをモットーにする所存ゆえ、純正ライトスタッフ・ファン諸兄 とくと覚悟めされよ。

 

ま、こんな調子で本年も(とりあえず)しぶとく参りましょう。

 

 

昔のレスの下書き―

 

トピ主さん―

 

しばらく 返事のレスもせず、失礼をしておりました。

 

早いもので、この 《 2001年 ライトスタッフの旅 》 も 来月には もう 4 周年ですか…

 

通りすがりふうに訪れてこられる方を見るにつけ、こういう場がある― それだけでも、とても大切なことなんだと分かりますね。

 

どうか、これからも末永く 続きますよう…

 

 

textream は「ライトスタッフは名作です」msg 1 を掲げてはいるが、肝心の誰がトピ主やら明示してないし、その日付すら消失してしまっていて、なぜか(ここに限らず)作為的に「ひとつの歴史」といった趣を剝ぎ取り、努めて奥行きのない薄っぺらなものにしようとしているフシがあって、全く異様な(イヤ~な)感じがする。

 

トピ主さん(RightStuff104 さん―旧 北欧のニンフさん)最初のレスは―

 

2001年 8 月 10日

 

従って 東京オリンピックで(切りよく) 20 年トピに相成るわけであります。

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3258】

 

その 900~905

 

月面からの TV 映像が思いのままにならず、もっと地質学者が優遇されていたらジャック(シュミット)に専用のカメラを持たせたのに(If it had been a perfect world for us geologists, Jack would've had his own TV camera. Just for the ground science team.)とシルバー教授は悔やむ―地質学チームが詰めて映像をモニターする部屋が「バックルーム」 the geology "back room" at Mission Control (←訳は「管制センター 地質学室」)と呼ばれてることも何となく(日本語的には)裏方めいた雰囲気が漂うし。

 

NASA がファイナル月ミッションとなったアポロ17 で(やっと最初で最後となる)科学者を搭乗させたのは、ただ月に物見遊山に行ってるだけじゃない意義のある科学ミッションなんですよと(無関心なくせに批判的な)世間にアピールして単に体裁を付けてるにすぎない―そんな側面もあって、地質学者はオザナリな扱いというのが実態だったか。

 

シュミットが「NASA は自分を選んだことを後悔したかもしれない(探索地などの持論を頑固に主張したから)」(They might have rued the day that they made the change. I always had strong ideas about where to go on the moon, and forcefully suggested them.)と語るシーンもあるように、NASA と地質学チームとではミッションに対するコンセプトに少なからずズレ(温度差)があったのは確かだと思われる。(その2956参照)

 

 

クリス・クラフトが―

 

「50ドルとドーナツ一箱賭けてもいい 最後に月を歩いた二人の名前は誰も知らないはずだ なぜかと言うと生きて帰ってきたから」(I will bet you fifty dollars and a box of donuts that no one knows the names of the last two men to walk on the moon, and I will tell you why. Because they didn't die up there.)

 

と世間の無関心ぶりを語るシーンがある。

 

この見解はやや極端にしても(わたしは現に少なくとも 25ドルとドーナツ半箱分は知っておりましたし)、そのジーン・サーナンの月面ラストスピーチが(アームストロングの歴史的な第一声とは違い)殆んど知られていないのは確か。

 

むろん「人類、月に立つ」ではちゃんとカバーしていて、サーナンは最後の船外活動を終え LM に戻る際に―

 

「今日のアメリカの挑戦は人類の明日を前進させました そして我々は訪れた時と同じようにタウルス・リトロウを去ります 我々は再びこの地に戻るでしょう 全人類の平和と希望のうちに」 ("America's challenge of today has forged man's destiny of tomorrow.  As we leave the Moon at Taurus-Littrow, we leave as we came, and God willing, as we shall return, with peace and hope for all mankind.")

 

と一席ぶつ。

 

そして今や常套句となった感のある "Godspeed the crew of Apollo Seventeen." で締め括っております。 (←吹き替えは「アポロ17号に神の御加護を」―その3204~3205参照)

 

 

アポロ17 にはサーナン船長の密かなプライベート・ミッションがあって、それは愛娘のトレイシー Teresa("Tracy")Dawn Cernan の名前を月に残してくるという約束―この逸話も描かれている。

 

サーナンは結局(LM に戻りしなに)月の地面の砂に TDC と書き辛うじて任務を全うするけれど、当時を振り返って語るには―「あそこでやるべきだった あのでかい岩にトレイシーのイニシャルを刻めばよかった きっとものすごくカッコいい絵になっただろうにって後悔したよ TDC の文字があそこに永遠に残るなんて凄い でも疲れてたし忙しくて思いつかなかった」(I thought later on, "If I had just put Tracy's initials on a boulder "that would have been an incredible picture." You know? "TDC" in the lunar dust up there for the rest of time but hell, I was so tired and so busy the opportunity got away from me.)

 

サーナンの言ってるのは Station 6 boulder (Split Boulder at Station 6)と称される巨大な岩のことで、それに名前を刻むなんてのは(吹き替えの字面どおりの意味だとすれば)世界遺産に堂々と落書きをする不埒者と同レベルのアホな発想だろうから、むしろ思いつかなくて幸いだったんじゃ… (←そもそもアポロ計画そのものが月の環境破壊だというご意見も当然ありましょうし)

 

サーナンは(原文では)on a boulder と言いつつも、ちゃんと in the lunar dust と表現してますけどね。

 

※ もとは Station 6 boulder と Turning Point Rock を混同していた(今でも一緒くたにしてるページがある)が、両者は別物(地点が別)で Station 6 にはサーナン船長の運転するローバー(LRV)で Turning Point Rock 経由で至っている(en-route to Station 6 via Turning Point Rock)

 

 

で、これには(「人類、月に立つ」では触れられていない)有名な後日談があって―

 

その主人公はアル・ビーン、アポロ12 の LMP だったビーンの説明では―

 

He(Cernan)said he wishes he had thought of writing his daughter's name in the dust, but the idea didn't come until he got back home.

 

となっていて、あくまで writing であり in the dust ですから、岩肌に直に刻み込むというニュアンスでは全然ありません。 (←サーナン自身は "print" と表現してもいるようで、確かに彫る engrave といった意味合いではあるにせよ、それでも真意は「岩に刻む」ではないんじゃなかろうか―そんな悠長なマネをしてる暇などないのは分ってたはずだし)

 

それを地球に帰還してから思い付いたというサーナンの話を聞き、絵心のあった(←Part 7で宇宙飛行士をデッサンしてるとこが映る)ビーンは the left side of this massive boulder 上の(岩肌にではなく)dust に "Tracy" と書き加えた画(Tracy's Boulder)を描く―これでジーンは遥々そこ(Station 6)まで戻らなくて済むし、それに費やされる巨額な税金の節約になるとのコメント付きで。(The sheer romance of Gene's idea was so appealing that I gave him a blank sheet of paper and asked him to write Tracy's name the way he would have wanted it in the dust on the Moon. Then I got to work with my paint brushes. As Gene's friend, I have employed artistic license to save him the long trip back to Station Six, not to mention the monumental savings to all us taxpayers.  - Alan Bean Gallery)

 

かくして、その岩は一般に “Tracy's Rock” と称されるようになったという次第―

 

この Alan Bean Gallery で他にも多くの Astronaut/Artist(a moonwalker-turned-artist) の作品を楽しめます

 

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3257】

 

シルバー教授とジャック・シュミットの師弟コンビが「人類、月に立つ」ラスト・エピソードを締める―

 

その 896~899

 

かくして最終章  Part 12 : Le Voyage Dans La Lune(「月世界旅行 アポロ17号・最後のミッション」)で LMP のジャック・シュミット(と CDR のジーン・サーナン)による月面地質調査ぶりが描かれるからには当然ここにもシルバー教授は登場する。

 

おまけに、25 年後の姿(老けメイクしたデヴィッド・クレノン ←実際のシルバー教授には全然似てない)で―

 

できれば月の上に暮らしたいと、この 25 年間ずっと思ってきた… 歩いてみたいね、ハンマーを持ってリュックを背負って、あとはコーヒーさえあればいい(I wish I had been living up there on the moon these past 25 years wandering around with my hammer and a sack and a Thermos or two of coffee.)

 

と述懐するシーンまである。

 

けれど、いかにも(デヴィッド・クレノンの)シルバー教授らしいセリフのようで、実は完全な捏造―ご本人が "Those weren't my words." とミもフタもない否定証言をされてます。 (もちろん月には行ってみたいが暮らしたいとは思わない―月のサンプルを持ち帰って地球で研究したいそうですので)

 

これも仰るところの "romantic rendition of me" (ロマンチックな演出)の一つなのでした。

 

 

アポロ17 の(アポロ15 における Genesis Rock 的な)ハイライトはオレンジ色の土 orange soil 、これを見つけた時のシュミット(S)とサーナン(C)の実際のやりとり―

 

S : Oh, hey! Wait a minute...

 

C : What?

 

S : Where are the reflections? I've been fooled once. There is orange soil!

 

C : Well, don't move it until I see it.

 

S : It's all over! Orange!

 

C : Don't move it until I see it.

 

S : I stirred it up with my feet.

 

C : Hey, it is! I can see it from here!

 

S : It's orange!

 

C : Wait a minute, let me put my visor up. It's still orange!

 

 

「人類、月に立つ」同シーンの二人のやりとり(吹き替え)―

 

S : あぁ、おい オレンジ色の土が…あるぞ オレンジ色の土があるぞ、ここに

    そこら中にある オレンジ色だ

 

C : ほんとだ ここからでも見える

 

S : オレンジだ

 

C : まて、バイザーを上げてみる… やっぱりオレンジ色だ

 

 

ほぼ正確に再現してあるものの、対照して見ると分るのが―

 

S : Where are the reflections? I've been fooled once.

 

にあたるセリフがない―これを省略するのは(もしや放映でカットされてるのでなければ)脚本としてどうか? (←S : I stirred it up with my feet. はセリフにはないが映像でそうやって見せる)

 

というのも、このシュミットの発言の意味する出来事は(前フリ的に)わざわざ描いてるのだから。

 

シュミットは(orange soil 発見の前に)火山活動の証拠と思しき黄土色の岩(yellow-brown rock)を見つけて一瞬 興奮するが、すぐにローバーの金色のホイルの反射光で鮮やかな色付きに見えただけ(Oh, no. What is that? That's a reflection. That really fooled me. It's a reflection off the Mylar on the rover.)の何の変哲もない欠片だと気付き(モニターしている地質学チームともども)大いに落胆する(シルバー教授は「ヌカ喜びはもうごめんだぞ、ジャック」Don't do that to us again, Jack. と釘を刺す)―その失敗が Where are the reflections? I've been fooled once.  と慎重にさせてるわけで、この辺りを(黄土色の岩の早とちりは Maybe he left the parking lights on. などと笑えるセリフで描いていながら)あえて省いてしまう手はなかろうに、ちと解せません…

 

 

参考 1

 

S : Where are the reflections? I've been fooled once. についてシュミットは―

 

(単なる反射にすぎなかった)それは本当に黄色かオレンジ色かに見えたので、後で orange soil を見つけた時にオレンジ色だと言うのを躊躇したよ、騙されてるからね 

 

―と証言している。

 

参考 2

 

C : Wait a minute, let me put my visor up. It's still orange! についてはサーナン自身が―

 

バイザーは(普通のサングラス同様)光を弱めるが実は色を変えない 赤なら赤、青なら青に―でも、バイザーを上げたほうが(色が)よりよくは見える 物をハッキリ見る時 サングラスを上げるように自然とバイザーを上げて見た

 

―といった旨の説明をしております。

 

※ 実際の orange soil 発見の模様はネットでも見ることができるものの、残念ながらカメラは(「人類、月に立つ」のようには)その瞬間を捉えてはいない―けれど、二人のやりとり(声)は明瞭に聞き取れる。

 

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3256】

 

その1013~1016

 

アポロ13 のミッション・テーマは LMP のフレッド・ヘイズとて(scientific research こそが月に行く理由だと)明確に自覚していて、むしろラヴェル船長以上の気合の入れようで、訓練における得意技は掘削ドリル―"The Drilling Fool" と綽名されたくらいに熱心だったとか。(←月面で本番がやれてたらアポロ15 より先にドリルが抜けなくなって悪戦苦闘してたと推測されよう)

 

その精神(“Ex Luna, Scientia”)は、従ってスコットが得意気に「科学を学ぶなら月の上に限る」("There's nothing like a little science on the moon.")と宣言したように、およそ科学的とは言い難いアポロ14 を飛び越して(←何しろ、ゴルフしに行ったアラン・シェパードと勝手に ESP 実験してたトンデモ系のエド・ミッチェルですから)明らかにアポロ15が引き継いでますね。

 

蛇足

 

こうして見ると、最初の 7 人(Mercury 7)と次の 9 人(New 9)以降の宇宙飛行士は(格差があると表現しうるほど)異質であって、トム・ウルフが「ザ・ライト・スタッフ」を(ピート・コンラッドのことから書き始めておきながら)マーキュリーで話を尻切れトンボに終らせたのも(イェーガーの存在はさておき)アポロはライトスタッフという概念に(何となくイメージ的に)そぐわない面があるからか―という気もする。 (←その意味で、例えばスコット・カーペンターなんぞはタイプ的に少なくともマーキュリーよりアポロ向きだったんだろうなぁ… と、ふと思ったりもする)

 

参考

 

フレッド・ヘイズの証言(Johnson Space Center Oral History Fred W. Haise – 23 March 1999)―

 

Training for Fra Mauro. We were the first crew to start the—kind of the scenario of

training where we enlisted Lee Silver from CalTech [California Institute of Technology], really, through Jack Schmitt who knew Lee very well. And Lee became our tutor on a really an arduous exercise where we spent a week out in the Orocopia Mountains camping out, living on cots, with Lee and the backup crew, John Young and Charlie Duke and myself and Jim.

 

So we would go through two exercises, two or three exercises a day, with cameras, using Polaroids in that timeframe to record the events, and get debriefs from Lee, and discuss geology around a campfire till like 10 or 11 at night.

 

 

シルバー教授はアポロ13ラヴェルとヘイズ(とヤングとデューク)をオロコピア Orocopia Mountains へ連れ出し、一週間のキャンプを張って野外レクチャー、夜更けまで焚き火を囲んで地質学のディスカッションといった概要。

 

これはアポロ15 でも全く一緒で、「人類、月に立つ」ではシルバー教授はスコットとアーウィン(とゴードンとシュミット)を引き連れ、オロコピアでテントなしの野営(もちろん自炊)をして夜は焚き火を囲み「なぜ月はあそこにあるのか?」などと問いかけるシーンに(ヘイズの証言どおり具体的かつロマンティックに)描かれている。

 

 

その地質学者にとって夢のテーマパーク(ディズニーランド)であるオロコピア(The Orocopias, gentlemen. This is Disneyland to a field geologist.)でシルバー教授は―

 

野外地質学という学問は「猫の死体の秘密」を探るようなものだ (Doing field geology is like solving the Mystery of The Dead Cat.)

 

と謎めいた説明をする。

 

猫の死体が道の真ん中にあったら死因は何か("A car?" "A truck?" "Heat prostration?")、レストランの厨房にあったら殺したのは誰か("The chef?")―

 

シルバー  「この話のポイントは何だ、ジャック?」 "What are we talking about here, Jack?"

 

シュミット 「状況」  "Context."

 

スコット  「状況?」 "Context?"

 

シルバー  「状況だ」 "Context. (The difference between road kill and a meal.)"

 

ここでは状況が全て(Up here it's all about context.)であり、そして―

 

君たちは 40 万キロ離れた彼の地から目に映ったものを、できる限り詳しく正確に伝えなくてはならない 君たちが持って帰るのは石だけじゃなくて、その存在する状況だ (From 240,000 miles away, you have to give the most complete possible description of what you're seeing. Not just which rocks you plan to bring back, but their context.)

 

とズバリ核心を突く。

 

 

その1016

 

「状況」と吹き替えられてる context は語義的には「文脈」のことで、むろん「状況」(circumstances  setting  環境 背景)の意味があるが、わたしの単なる嗜好では(あえて本来的な)「文脈」にしてもらいたいような。

 

と言うのも、先述の―

 

シュミット 「状況」  "Context."

 

スコット  「状況?」 "Context?"

 

シルバー  「状況だ」 "Context."

 

のやりとりでスコットが "Context?" と怪訝な反応を示すのは(日常的に使う)「状況」といった語感じゃないからと思われるので。

 

つまり、この context は意味合いとしては「状況」で正しい(かつ分りやすい)にしても、それなら決してスコットは「状況?」などと訊き返さないはずで、わざとらしくもシルバー教授が "What are we talking about here, Jack?" と(教え子ゆえ先刻承知の)シュミットにふって答えさせ、その(ルーティン的)キーワードに対しスコットが「?」となるニュアンスでなければならない―となると(安易にカタカナの「コンテクスト」にして逃げるよりは)むしろ比喩的になるが本来的な意味の「文脈」でいいんじゃないかと。 (ま、「文脈」でも全然すんなりしない文脈なれど)

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3255】

 

その 983

 

さて、地質学者を月に行かせるとなると、当然その地質学者を宇宙飛行士にしなければならない―その(今のところ唯一の)完全な例がジャック・シュミット(アポロ17)だけれど、逆の理屈で宇宙飛行士を地質学者にしてもいいわけで、その(完全ではないが)近似値的な例としてはアポロ15 のデイヴ・スコットが挙げられる。

 

スコットとアーウィンジェネシス・ロックを発見し、モニターで確認する地質学チームが興奮して 「見たかい 見たか、あれ!」(Did you see that ?  Did you see that ?) 「適当なサンプル採集してるだけじゃ絶対に見つかりっこない石だ」(I doubt a random surface sample would have ever pulled that out of the hat.) 「ああ、連中はもう地質学のプロだ あれこそ科学だ」(Really. Give me guys in the field any day. That is science.)と快哉を叫ぶところなどは、まさに宇宙飛行士が地質学者(の代わり)になって月に行ったという(わたしには話の核心を突いてると思われる)シーン。

 

 

その2578~2580

 

「人類、月に立つ」でアポロ15 のデイヴ・スコットとジム・アーウィンが月面で(後に Genesis Rock と名付けられる)お目当ての斜長岩(anorthosite)を見つける―

 

Get the unusual one.

 

Oh, boy.

 

It's a beaut. And it's a white clast. And it's about―

 

Oh, man, look at that. I can almost see twinning in there.

 

Guess what we just found. Guess what we just found.

 

I think we found what we came for.

 

I think we found ourselves some anorthosite.

 

That's it !  It's like being back at the old San Gabriel mountains.

 

と興奮する様を具にモニターしていたバックルームの地質学者チームの面々は見たかとばかりに―

 

Did you see that?  Did you see that?

 

I doubt a random surface sample would have ever pulled that out of the hat.

 

Really. Give me guys in the field any day. Yes, sir. That is science.

 

 

宇宙飛行士の科学的探査能力を疑いシルバー教授らと反目していた学者も―

 

"I stand corrected, Dr Silver. "

 

と自らの短慮を詫びる。

 

 

このシーンの背景はシルバー教授の証言  Interview with Leon T. Silver (Caltech Archives, 2001)から窺えて―

 

Silver : Apollo 15 was a great achievement. There was a group of doubters— Harold Urey, and people who were fundamentally chemists and physicists, including some people I admired very much, like George Wetherill—people who were given important monitoring positions. Finally, these guys got so nervous that they insisted on inserting themselves into the science back room. One of them sent George Wetherill to observe what we did—how we biased them.

 

It was so petty, it was incredible. This is another area where Gerry Wasserburg was a principal negative influence. It was reflecting differences in approach which Gerry could not accept. It got to the point where they set up a parallel science back room because they thought they could do it better than the US Geological Survey. And I was then a member of the lunar surface team, which was the US Geological Survey.

 

They didn’t trust the geologists. But by the time the Apollo 15 mission was through, I got a direct, full-face apology for doubting us from Tony Calio, the guy who had been the head of the science office at Johnson Space Center.

 

And George Wetherill, a very distinguished scientist, the head of the Department of Terrestrial Magnetism, also said we did a great job. Everybody said we did.

 

Those guys [on Apollo 15] up on the lunar surface had learned their techniques and had done their work so well that by far the richest trove of data, samples, observations, and photographs came back with them.

 

 

 

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3254】

 

その1019

 

スコットは ドリルが抜けなくなるという思いもよらぬ トラブルに、おまけに(呆れたことには)工具の万力が後ろ向き(?)仕様になってたとかで使いものにならず(Scott : Oh boy! This vise is on... I swear it's on backwards.  ←当然 アポロ16 では改善された)、もはやコア・サンプル採取を放棄したくなっていた。

 

原文(交信記録)では殆んど切れかかったスコットの苛立ちが如実に表われている感じがするけれど、その辺を「人類、月に立つ」はバックルームの地質学者間の言い争いに代弁させる演出になっていて―

 

「何よりコア・サンプルを取らないと」(We need those core samples.)

 

「ドリルは抜けない 絶対に無理だ 時間がもったいない」(No, they can't get them out. That's obvious. Are you gonna blow the whole EVA on them?)

 

「いや、コア・サンプルが最優先だ」(If that's what it takes.)

 

「もう諦めてハドリー谷に向わせよう」(We're cutting into the drive to Hadley Rille.)

 

「そういうわけにはいかん!」(That is not an option.)

 

その無益な諍いをシルバー教授が手際よく仕切って巧く仲裁(liaison)し、ついに ドリルは抜ける(メデタシ、メデタシ)―という、いわばシルバー教授(=デヴィッド・クレノン)持ち上げネタのダシに(あざとく)使われておりますね。

 

余談

 

アーウィンがスコットに手を貸して ドリルを抜く際の軽口―「今日の朝メシにフリーズドライのほうれん草があったから、いけるかもよ」(I hope that freeze-dried spinach we had for breakfast pays off.)は交信記録に見当たらないようなので作ってるセリフだろうけど、実際にアポロ当時の宇宙食メニューにフリーズドライのほうれん草があったかどうかは(どうでもいいけど)未確認。

 

 

その2089

 

フリーズドライのほうれん草

 

ISS の Astronaut Takuya Onishi レポート(2016年 8月21日)―

 

今日の晩御飯に食べたほうれん草のゴマ和えが絶品でした。お湯を 100 ml 加えるだけで、あそこまで元の味を再現してくれるとは、フリーズドライ恐るべしです。

 

とあるように、現在はフリーズドライのほうれん草(それも絶品のゴマ和え)が存在するのは明確ですが、一般にフリーズドライ宇宙食はスカイラブからで、やはりアポロのメニューにはなかったもようゆえ―

 

I hope that freeze-dried spinach we had for breakfast pays off.

 

は作られたギャグなんでしょう―a can of spinach じゃなく(わざわざ) freeze-dried spinach という(いかにもの)フレーズが。

 

 

その1020

 

蛇足

 

ここしばらく トピずれ(どころか、下手するとカテ違い)ネタばかりと お嘆きの純正ライトスタッフ・ファン諸兄への釈明として、久々に独りよがり妄想こじつけレクチャー、題して「人類、月に立つ Part 10 は名作です」をば―

 

「人類、月に立つ」 Part 10 : Galileo Was Right (「ガリレオは正しかった アポロ15号」)は時系列無視の脚色もそうだけれど、そもそも「ライトスタッフ」の liaison man ことデヴィッド・クレノンを a very special guest として招いていることからして、明らかに「ライトスタッフ」へのオマージュ的構成―と言っても、シルバー教授に扮するデヴィッド・クレノンが地質学者間の対立を仲裁する(仲立ちとなる)シーンなどは「ライトスタッフ」の liaison man を連想させはするものの、むろん「人類、月に立つ」におけるデヴィッド・クレノンは liaison man ではなく(←「人類、月に立つ」と「ライトスタッフ」を liaison してはいるが)、その役回りはシルバー教授の教え子であるジャック・シュミットが担う。

 

ならば「人類、月に立つ」のデヴィッド・クレノンは何者なのかと言うと、「ライトスタッフ」の大筋 >イェーガーからホットドッグへのライトスタッフの系譜、この文脈(ホットドッグとイェーガーの関係)を「人類、月に立つ」に投影して見るなら、デイヴ・スコットがホットドッグで、シルバー教授はイェーガーに相当する―つまり、基本的な構図が重なっていて、「人類、月に立つ」のデヴィッド・クレノンは「ライトスタッフ」のイェーガーと同じ立ち位置にあることが明快かつ容易に了解できる。

 

換言すれば、「人類、月に立つ」においてイェーガーは(>蚊帳の外 のようでありながら、ふと気が付くと)実はデヴィッド・クレノンという存在に姿を変えて(少なくとも、わたしのイマジネーションには)登場していたわけで、かくして「人類、月に立つ」 Part 10 : Galileo Was Right は純正ライトスタッフ・ファンには格別(にして別格)の意味を持つはずの(従って、決してトピずれにはならない)名作エピソードだと立論できるのである―

 

と、わたしは言いたい。