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独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3257】

 

シルバー教授とジャック・シュミットの師弟コンビが「人類、月に立つ」ラスト・エピソードを締める―

 

その 896~899

 

かくして最終章  Part 12 : Le Voyage Dans La Lune(「月世界旅行 アポロ17号・最後のミッション」)で LMP のジャック・シュミット(と CDR のジーン・サーナン)による月面地質調査ぶりが描かれるからには当然ここにもシルバー教授は登場する。

 

おまけに、25 年後の姿(老けメイクしたデヴィッド・クレノン ←実際のシルバー教授には全然似てない)で―

 

できれば月の上に暮らしたいと、この 25 年間ずっと思ってきた… 歩いてみたいね、ハンマーを持ってリュックを背負って、あとはコーヒーさえあればいい(I wish I had been living up there on the moon these past 25 years wandering around with my hammer and a sack and a Thermos or two of coffee.)

 

と述懐するシーンまである。

 

けれど、いかにも(デヴィッド・クレノンの)シルバー教授らしいセリフのようで、実は完全な捏造―ご本人が "Those weren't my words." とミもフタもない否定証言をされてます。 (もちろん月には行ってみたいが暮らしたいとは思わない―月のサンプルを持ち帰って地球で研究したいそうですので)

 

これも仰るところの "romantic rendition of me" (ロマンチックな演出)の一つなのでした。

 

 

アポロ17 の(アポロ15 における Genesis Rock 的な)ハイライトはオレンジ色の土 orange soil 、これを見つけた時のシュミット(S)とサーナン(C)の実際のやりとり―

 

S : Oh, hey! Wait a minute...

 

C : What?

 

S : Where are the reflections? I've been fooled once. There is orange soil!

 

C : Well, don't move it until I see it.

 

S : It's all over! Orange!

 

C : Don't move it until I see it.

 

S : I stirred it up with my feet.

 

C : Hey, it is! I can see it from here!

 

S : It's orange!

 

C : Wait a minute, let me put my visor up. It's still orange!

 

 

「人類、月に立つ」同シーンの二人のやりとり(吹き替え)―

 

S : あぁ、おい オレンジ色の土が…あるぞ オレンジ色の土があるぞ、ここに

    そこら中にある オレンジ色だ

 

C : ほんとだ ここからでも見える

 

S : オレンジだ

 

C : まて、バイザーを上げてみる… やっぱりオレンジ色だ

 

 

ほぼ正確に再現してあるものの、対照して見ると分るのが―

 

S : Where are the reflections? I've been fooled once.

 

にあたるセリフがない―これを省略するのは(もしや放映でカットされてるのでなければ)脚本としてどうか? (←S : I stirred it up with my feet. はセリフにはないが映像でそうやって見せる)

 

というのも、このシュミットの発言の意味する出来事は(前フリ的に)わざわざ描いてるのだから。

 

シュミットは(orange soil 発見の前に)火山活動の証拠と思しき黄土色の岩(yellow-brown rock)を見つけて一瞬 興奮するが、すぐにローバーの金色のホイルの反射光で鮮やかな色付きに見えただけ(Oh, no. What is that? That's a reflection. That really fooled me. It's a reflection off the Mylar on the rover.)の何の変哲もない欠片だと気付き(モニターしている地質学チームともども)大いに落胆する(シルバー教授は「ヌカ喜びはもうごめんだぞ、ジャック」Don't do that to us again, Jack. と釘を刺す)―その失敗が Where are the reflections? I've been fooled once.  と慎重にさせてるわけで、この辺りを(黄土色の岩の早とちりは Maybe he left the parking lights on. などと笑えるセリフで描いていながら)あえて省いてしまう手はなかろうに、ちと解せません…

 

 

参考 1

 

S : Where are the reflections? I've been fooled once. についてシュミットは―

 

(単なる反射にすぎなかった)それは本当に黄色かオレンジ色かに見えたので、後で orange soil を見つけた時にオレンジ色だと言うのを躊躇したよ、騙されてるからね 

 

―と証言している。

 

参考 2

 

C : Wait a minute, let me put my visor up. It's still orange! についてはサーナン自身が―

 

バイザーは(普通のサングラス同様)光を弱めるが実は色を変えない 赤なら赤、青なら青に―でも、バイザーを上げたほうが(色が)よりよくは見える 物をハッキリ見る時 サングラスを上げるように自然とバイザーを上げて見た

 

―といった旨の説明をしております。

 

※ 実際の orange soil 発見の模様はネットでも見ることができるものの、残念ながらカメラは(「人類、月に立つ」のようには)その瞬間を捉えてはいない―けれど、二人のやりとり(声)は明瞭に聞き取れる。