【誰にともなしに、独り言レス―その3070】
カウフマンの当初のプロットでは(たぶん)もっとクロスフィールド(と X-15)を巧く絡めるつもりだったのに、あまりに長尺になるので使わなかった(切った)のかもしれない。
けれど、そのタイトな(あれで?)作り・編集で正しい映画「ライトスタッフ」になったとは思う。(X-15 は若干マニアックすぎになりそうで―その2917 参照)
むろん、クロスフィールド自身は「ライトスタッフ」の描き方を全く認めてはいない―
"I will not endorse anything that was in The Right Stuff "
質問レス (2003/10/15)
ぜひとも伺いたいこと―どうもピンと来ないシーンがありまして。
パンチョの店にグレニス(バーバラ・ハーシィ)が入ってきた時、マッハ 2 を記録したお祝いのステーキ食ってるクロスフィールド(スコット・ウィルソン)が何やら怪しげで微妙な視線を放つんですよ、あのニヤケた顔で。
すぐ傍にイェーガーがいるのに、です―ありゃ、どういう意味でしょ?
どうにも解せないんですよねぇ、わたしは―まるでピンとこない。
何かコメントをいただけると幸いなのですが…
>ところでクロスフィールドって当時、独身?
おお、なるほど、そこは重要なポイントですね。
あれはマッハ 2 を記録した直後ですから1953年、クロスフィールドは 32才。
はっきりしたデータとしては結婚して 6 人の子持ちだということだけですが、普通に考えて既に結婚してたに違いないでしょう、きっと。
見るからに独り者っぽくないし、もう子供が 2、3 人いても不思議じゃない感じですよね。(右隣に座ってるオネエさんが、ひょっとして奥さんなのか―なわけないか)
>やはりグレニスに特別な感情を抱いてたんではないでしょうか?
とすると、妻子がありながら、そんな邪な視線をグレニスに向けてたということか―何ちゅうやっちゃ。
にしても、えらく唐突にして微妙なんですよねぇ、あのシーン。
パンチョの店にグレニスが入ってくるや、クロスフィールドの視線が後を追う―グレニスがカウンター越しにフレッド(本物のイェーガー)と何やら話をして振り返ると、まともに目が合うんですね、クロスフィールドと。
で、その視線を振り切るかのように(偽者の)イェーガーのほうに歩み寄ってダンスに誘う。(Fly-boy, let’s dance.)
そして、テネシーワルツ―
それを見てクロスフィールドは、首を横に振って苦笑い…諦めたとでもいった表情で。
う~む、やっぱり解せん。
イェーガーが(本物も偽者も)すぐ傍にいるのに、グレニスに色目を使うかぁ、普通?
それとも、クロスフィールドはバーバラ・ハーシィがグレニスだと、つまりイェーガーのかみさんだとは知らなかった、とでもいう設定なのかいな? それで踊り始めた二人を見て(あ、そうだったのと)諦めた?
んな、アホな…ちょっと無理でっせ、そりゃ。(作り話でも)
いくらなんでも、あの時点でクロスフィールドがグレニス・イェーガーを知らないはずはない―ありえないっすよ、そんなことは。(作り話でも)
やはり、仰るとおり―
>万が一、いやもっと高い確率でイエーガーに何かあった場合、彼の家庭内でも後釜に…などと思っていても不思議ではありません
結局 そうなのか、クロスフィールドよ… おまえはアホか、ったく。
注:スコット・クロスフィールドの名誉のために、「ライトスタッフ」は(少なくとも1/3 は)コメディなので、それなりにフィクションの部分も多々あるということを申し添えておきます。
実際のクロスフィールドは奥さんについて↓こう語っている―
My wife, who has always been a godsend as the wife of a pilot
godsend、「神さまから与えられたもの」だと。
※ 参考
AT THE BAR. Yeager and the Glamorous Woman.They just stand, eyeing – or is it taunting, challenging ? - - one another. He signals Pancho for a couple more drinks.
YEAGER
Lady, you ever been caught alone in a desert before ?
GLAMOROUS
Forget it, Flyboy. You’ll never catch me.
とされている。
カウフマンはグレニスの glamorous ぶりを描く(のに損な)役回りをクロスフィールド(のニヤケ顔)に宛がっただけのような―であるなら、ご本人が認めるわけがない。