独り掲示板

ライトスタッフは名作です-2

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3045
 
その12281230
 
"push the envelope" の意味は―
 
That envelope is the description of the upper and lower limits of the various factors that it is safe to fly at, i.e. speed, engine power, manoeuvrability, wind speed, altitude etc. By 'pushing the envelope', i.e. testing those limits, test pilots were able to determine just how far it was safe to go.('Push the envelope' - the meaning and origin of this phrase)
 
といった一般的な解説がネット上にあったりするが(余人はさておいて)張本人のイェーガー先生いわく―
 
"Every airplane has its own envelope.""Envelope imagine the shape in your head. Top is altitude, right is speed. Bottom left corner is slow and low. Pushing the upper right corner edge means going fast at high altitude. So when you are pushing the envelope, you are going higher and faster than anyone before."
 
だそうで、さすがに有無を言わせぬ具体的な説得力(臨場感)があって解った気にさせられるじゃないですか。
 
 
従って、その概念上 ライトスタッフ」は全体的に "pushing the outside of the envelope" を描いていると言えよう(セリフで少なくとも 5 ヶ所は使われていて、順に連絡官、グリソムかスレイトン、イェーガー、グレニス、クーパーが口にするシーンがある)が、イェーガーのそれを凝縮・特化したシーンとしては誰しも X-1A を思い浮かべるだろう。
 
X-1A でイェーガーはクロスフィールドの記録(マッハ 2)を軽くクリアした後も(ゆるめていいぞ You can ease it back. と言う)リドリーに―
 
I'm pushing the envelope  see where that demon lives. (もうひと押し 悪魔が見たい)
 
と応えるのである。
 
このイェーガーの "pushing the envelope" については、わたしなりの(例によって独りよがりの)解釈(その121
 
冒頭のナレーションでは、悪魔が棲んでるのはマッハ 1 at Mach 1 on the meter)、即ちサウンドバリアの背後(behind a barrier)だと言ってますね、リドリーの声で。
 
しかし、イェーガーがマッハ 1 を超えて、空にはレンガの壁(brick wall)なんかないことを実証するや、そこには悪魔はいないことも判った…
 
クロスフィールドがマッハ 2 を記録した後、パンチョの店でリドリーは悪魔はマッハ 2.3 辺り(at about 2.3 on your Machmeter)に棲んでるようだと言います。
 
イェーガーは(浅はかにも連絡官が言うように)単にクロスフィールドの記録を追い抜くつもりなんじゃない―イェーガーの狙いはクロスフィールドなんかじゃなく、空に棲む悪魔だと解ってるんですね、リドリーは。
 
イェーガーは、まだ見ぬ悪魔の正体を知ろう(see where that damon lives)としてるんです。
 
ここにこそ、イェーガーのライトスタッフがあると、わたしは思います―だからこそ、マッハ 2.1 を出してクロスフィールドに「悪いな」(Sorry, Scotty)とアイサツし、「ヤッたな」(You got her.)とリドリーに言われても尚、更にもっと X-1A をかっ飛ばそうとするわけです。
 
イェーガーが追ってるのは、クロスフィールドではない―いや、空に棲む悪魔ですらないのかもしれない。
 
イェーガーが追ってるのは、実はイェーガー自身、まさしく 自分自身のライトスタッフを果てしなく追い続けてるんです―文字どおり、命がけで。
 
そして、そのことこそが、イェーガーが真の意味のライトスタッフであることの証に他ならない、とわたしは思うのであります。