独り掲示板

ライトスタッフは名作です-2

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3031
 
その1965
 
「ファンダンスを見ていたクーパーらが不意に(時空を隔てたイェーガーの NF-104 の墜落に気付くかのように)上目遣いになる超感覚性(実際にはあろうはずのない脚色と編集)」

と、わたしは理解しているけれど、そう受け取らない見方も当然あろうかと思う。
 
クーパーらが不意に上目遣いになるのは(例えば)>「月の光」(をBGM)に視線を上へと向ける先は「アポロ計画」―つまり(不意にでも何でもなくて)月をイメージして見上げているだけだと。
 
むしろ、そう見るのが当たり前で普通なのかもしれない。
 
が、だからこそ逆に「ライトスタッフ」の構成(あざとい編集)が際立つのであって、別々のシーンに違いないファンダンスとイェーガーの NF-104 が重ね撮り(重ね録り overdubbing)的に一つにされている証―まさに名作たる所以なのである。(と、わたしは理解している)
 
 
その5465502005/ 1/13
 
あのファン・ダンスのシーンは色々と解釈されていて、人それぞれの感じ方があって興味深いんですが、わたしは―
 
>「月の光」を浴びながら幻想的に舞うサリー・ランド、そのファン・ダンスに魅入りながらも、誰からともなく互いの目と目だけで、その絆を確かめ合うマーキュリー7…
 
としてるように、ごく オーソドックスに(たぶんソダーバーグを含めた大方の傾向という意味で)特に何のヒネリもない見方をしてます。
 
決定的に原作(及び史実)とは違って、映画はファン・ダンスに NF-104 をオーバーラップさせるという文字通りの劇的な構成になってますので、あくまでもイェーガーとマーキュリー7との対比を際立たせることこそが本筋のシーンでもあるでしょうし。
 
 
あのファン・ダンスのペギー・デイヴィス(サリー・ランド)を、例えばマーチ看護婦、いけいけ凸凹ギャル、バーのおねえちゃんらとは正反対の the lasting beauty (永続する美) の象徴として捉えてる向きも見受けられます。
 
そこまでは(やや堅苦しい解釈ながら)なるほど解らないでもないんですけど、更にジョン・グレンがそれを他の連中に目で諭してるとまで主張するのは、グレンとシェパードが激しくやり合ったシーンを引きずりすぎた読み違い―と言うか、ちゃんと見てないと言わざるをえない。
 
なぜなら、このライバルのふたりについて言うなら、まずシェパードがグレンを見つめ、気づいたグレンが見つめ返して小さく頷き合う―つまり、先にシェパードのほうから投げかけたものをグレンが受け取り、互いに了解するというふうに描かれてるから。
 
全体的には誰からともなくという雰囲気だし、あのアイ・コンタクトは少なくともグレンが一方的に説教臭い視線を送り、シェパードやホットドッグらが得心してるという図ではないのは明らか。(素直に得心するような連中でもないし)
 
 
あのシーンを、ここで今一度 ざっと確認しておきますか―
 
(イェーガーの NF-104 離陸~急上昇)
 
Miss Sally Rand が紹介されファン・ダンスが始まって、グレンとアニー夫妻が並んで眺めており、同じくシェパードとルイーズ夫妻が映る。
 
ホットドッグが(にんまりと)グリソムに目配せすると、グリソムも(にやりとして)ベティと顔を合わす。 グレンがアニーの肩に腕をまわし、カーペンターとリーン夫妻、シラーとジョー夫妻が映る。 シェパードが感慨深げにふとグレンを見やり、その視線に気づいたグレンと何かを確かめ合うように小さく頷く。
 
次にシェパードがスレイトンに顔を向けると、硬い表情だったスレイトンが口元をゆるめる。 グレンが今度はグリソムに目をやり、グリソムはホットドッグと見つめ合う。
 
(イェーガーの NF-104 フラットスピン~ベイルアウト
 
グレンとアニーが映り、カーペンターがシラーを見やる。 シラーがグレンを見て、グレンがグリソムを、そしてグリソムがホットドッグを見る―この時 かすかに異変を感じてるようにもある。
 
ホットドッグが上目遣いになり、スレイトンが顔をあげ、シェパードが見上げる。
 
(爆音―黒煙)
 
 
あのシーンで、ひとつ押さえておきたいのは―グレンとアニーだけじゃなく、全員が奥さんと並んで一緒にファン・ダンスを眺めているという点です。(その時はホットドッグとスレイトンの相方は映らないけども、映らないだけで一緒にいるという設定でしょう―これでカーペンターも独りなら作為的なものを感じるとこですが)
 
従って、あそこはファン・ダンスを介してマーキュリー7 同士の絆のみならず、それぞれの夫婦の絆も同時に描いてるわけですね。
 
そう言えば、イェーガーの NF-104 をグレニスが心配げに見守ってるとこが挟まれるのも(どこか取って付けたような感じがするものの)その意味で必要なシーンなのでありましょう。(にしても、焼け残ったパンチョの店跡からってのは…)
 
[スクリプトは THE MUSIC FADES.  SHEPARD LOOKS ACROSS THE CROWD AT GLENN.  And Glenn feels his gaze and there’s the slightest of nods.  AND GLENN LOOKS AT GUS.  AND GUS AT WALLY, and so on.  And the WIVES, TOO, are part of this perception that takes place in the silence that occurs amidst this cacophony of sound. となっている―And the WIVES, TOO なんですよ]
 
 
余談
 
グレニスがパンチョの店跡からイェーガーを見守るというのは、もちろん(その前のシーンで)ホットドッグがインタビューに応えて "pictures on a wall"  "some place that doesn't even exist anymore" と話に出してる(側でトゥルーディがホットドッグを見ている)とこからつながってるんでしょうけど。 (←パンチョの店跡のようにイェーガーの顔面が黒焦げになることの仄めかしもある…?)