独り掲示板

ライトスタッフは名作です-2

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3033
 
まだ初期段階のスクリプトRevised Draft December 1981)ではラストは(原作の流れに従順に)まずクーパーのフェイス7(with Yeageresque calm= イェーガーⅡ世 であることの証明)を先に見せて(タネアカシして)しまい、そこから(時系列無視の場面転換して)テキサススタイルのバーベキューパーティに繋がり、イェーガーの NF-104  墜落、サリー・ランドのファンダンス(シュガーブルース)をオーバーラップ、そして奇跡の生還―
 
Driver : Over there!  Is that a man?
 
Ridley : Yer damn right it is!
 
Yeager walks with a steady pace, still carrying his rolled up parachute and the helmet in the crook of his arm…
 
という(さほどヒネリが効いてない)感じのエンディング。
 
であるから、>あの時 ホットドッグは(わざわざ)「次に飛ぶ」the next to orbit the earth と紹介され、どころか「マーキュリー7の最後」 the last of the original seven とまで言われるバーベキューパーティーでのシーンは―
 
We’re talking to Gordon Cooper who has just proved himself to be America’s top pilot. He’s gone higher, faster, and farther than anyone else. I’d just like to ask you who was the best pilot you ever saw?
 
と(リドリーの最後のナレーションのもとネタであろう)捏造インタビューをされ、当然 グリソムとの「残りものに福がある」(I guess they're just saving the best for last.)とか “Just watch you don't screw the pooch.” などのやりとりはない。
 
これじゃ、味気ないフェイクと言うか(ストレートかつシンプルで)つまらんでしょ、あざとさに欠ける展開が―
 
と、分かったようなことを(やや斜め上から)述べておりますけども、実は以前(まだ青臭かった頃)この辺に浅はかな突っ込みを入れたレスをしてたりする…
 
関連レス―
 
ファイブ・ハンドレッド クリア (2003/ 4/11
 
ところでアメリカ盤の新 DVD ということで、あちこち検索してましたら、こういうのが(無断引用させてもらって)―
 
Dennis Quaid is also good as Gordon "Hot Dog" Cooper. He's so calm that he can fall asleep in the shuttle[←ママ] before they send him into space. He's arrogant and egotistic,believing he's the best pilot in the world, but still likeable. His best scene is at the Texas barbecue before he goes up into space when he's asked who the best pilot he ever saw was. We think he's going to go against his catch phrase and admit it's Yeager, but the press keeps interrupting his long story. Finally, after getting interrupted and cut off too many times, he goes back to his famous line "you're lookin' at him." by  Mike Lorefice 7/14/01
 
His best scene―これですよ。(確かに、あのシーンはいいですねぇ)
 
it's Yeager と言いそびれて、結局いつもの catch phrase で応えてしまう―
 
"you're lookin' at him."
 
その時の笑い顔が、またいいんですよ、いかにもホットドッグって感じで、あのデニス・クエイドが。
 
なんか、どんぴしゃですよね、デニス・クエイドゴードン・クーパーは。(he というのが Dennis Quaid なのか Gordon "Hot Dog" Cooper なのか、渾然一体になってるみたいで、まさに、どんぴしゃはまっちゃってるってとこでしょう)
 
ん~、DVD が手に入っても、やっぱりビデオは永久保存だな、こりゃ。
 
何てったって―
 
ライトスタッフは名作です   by トピ主さん)
 
から…
 
 
その12 (2003/ 4/16
 
ライトスタッフは名作です  (by トピ主さん)
 
従って映画の構成とかディテイルが(わたしは読んでませんが)ノンフィクションである原作とは(至る所で)違っているであろうことは容易に想像がつく。
 
殊に、マーキュリー7にチャック・イェーガーを絡ませる―いや逆ですね、イェーガーにマーキュリー7を絡ませていく見事な手法への賛辞は(トム・ウルフではなく)フィリップ・カウフマンにこそ帰せられるべきでありましょう。
 
そこでですよ、そのことを100 %(も 200 %も)認めた上で、敢えて言わせてもらいたいんですが、そりゃちょっと作りすぎだろってとこがあるんですよ、実は。
 
無断引用したページに―
 
While the astronauts are watching a feather holding show dancer with their audience, Yeager goes up so high in the plane that he can see space
 
という箇所がある。
 
あの7人の宇宙飛行士が《月の光》のファンダンスを眺めてる時、イェーガーは NF104 で宇宙を見らんばかりに急上昇していた―そう、あのシーンですね。
 
パーティーで脚光を浴びる宇宙飛行士と(学歴がないという理由で)そうなれなかった孤高のテスト・パイロット。
 
この対比は、巧い。
 
この映画のクライマックスを(いやが上にも)際立たせる構成―実に巧い作りです。
 
が、しか~し。
 
言わせてもらえば、巧すぎる―巧すぎるんです、巧く作りすぎなんですよ、ここが。
 
あのテキサススタイルのバーベキューパーティーで、ホットドッグが「イェーガーこそベスト・パイロット、真のライトス―」と言いそびれたのが、いつだったのかは知りません。
 
けれど、イェーガーが(13 回目のフラットスピンの後)与圧服で緊急脱出した初のパイロットになったのは、19631210日のことです。
 
すぐ後のラストシーン、ホットドッグが宇宙に飛んで、その瞬間だけ(for a brief moment)にせよ間違いなくグレーティスト・パイロット(the greatest pilot anyone had ever seen)になるのは、テロップに出るように 1963515日です。
 
ところが、バーベキューパーティーでホットドッグは「俺はまだ一度も飛んでない」(I ain't even been up there yet.)とガス・グリソムに言っちゃってるんですよ。
 
つまり、少なくとも1963515日以前なんですね、あのパーティーは。(引用ページにも at the Texas barbecue before he goes up into space とある)
 
当然 19631210日の NF104 の墜落音が、あのパーティーのさなかに聞こえるはずはないんです。
 
まあ、一応 原作はノンフィクションではあっても飽くまでも映画ですから、そんなこたぁ先刻承知、全然 気にもならないと思ってる方ももちろん多いでしょう―でしょうけど、わたしは気になるんです、このあざとさが。
 
もの凄~く好きなシーンなんですが、気になるんですよ―ほんの少~しだけ、ですけどね…
 
追伸
 
それでもやっぱり、トピ主さんと共にわたしも言わせてもらおうかな―
 
ライトスタッフは名作です》
 
ということで、言い訳しとこっと。(あざとい?)
 
 
そう考えると、その126 で―
 
ライトスタッフについてフィリップ・カウフマンが面白いこと言ってるんですよ。
 
ホットドッグがバーベキューパーティでゾウムシ連中に訊かれますよね― Who's the best pilot you ever saw と。
 
あのシーンのホットドッグ、カウフマンは「あれがライトスタッフだ」"That's the right stuff." と言ってるんです―どうです?
 
面白いけど、何となく解るような、解らないような… いまひとつ何のこっちゃでしょ?
 
と、レスした件も(ほぼ完全に)理解できる。(ような気がする)
 
その839
 
あのシーンのホットドッグをカウフマン自身が "That's the right stuff." だと言ってるのは、単にホットドッグが質問(Who’s the best pilot you ever saw?)に対しライトスタッフ(を持ったテストパイロット)の説明をしている(Going up each day in a hurtling piece of machinery...putting their hides out on the line...hanging it out over the edge...pushing back the outside of that envelope and hauling it back.)こともさりながら、真のライトスタッフである the best pilot  即ち イェーガーの話をしかけるのに、誰も聞いてない(興味を示さない)と見るや、一転して普段の口癖(You’re looking at him.)で周りの期待どおりの受け答えをするホットドッグの(その場の空気を読んだ)当意即妙のやりとりを指していて、つまり時流はイェーガーから(まだマーキュリーで飛んでもいないはずの)ホットドッグへと否応なしにスライドしているわけで、ここにもイェーガーからホットドッグへのライトスタッフの系譜が(ホットドッグ本人の気持ちとは裏腹な形で)示されていると思う。
 
このテキサススタイルのバーベキューパーティ(1962 7 4日)~イェーガーの NF-104 19631210日)~フェイス7の打ち上げ(1963 515日)という実際の時系列をものの見事に無視したラストの(文字通り劇的な)展開は、映画の大筋であるイェーガーからホットドッグへのライトスタッフの系譜として見るなら、むしろ必然的にして妥当な構成になっていると言うべきでしょうか。(←当初は「巧すぎる」「あざとい」と突っ込みもしたけれど)