独り掲示板

ライトスタッフは名作です-2

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3032
 
"Who was the best pilot you ever saw " とインタビューで訊かれたホットドッグは、パンチョの店の "pictures on a wall" のことに触れ、best pilot の何人かは今ここにいるとガス・グリソムの肩に手を置き、そして―
 
But there was one pilot I once saw who I think truly did have the right… 
 
と、真のライトスタッフである最高のパイロットの名前を口にしかける。 (←このインタビューのおっさんが、ラストでホットドッグのフェイス7を「ゴ~」と見送ってます―突然のようで一応つなげてはあるんですよ、あれでも)
 
あの時 ホットドッグは(わざわざ)「次に飛ぶ」 the next to orbit the earth と紹介され、どころか「マーキュリー7の最後」 the last of the original seven とまで言われてます。
 
ここから判るのは、ファン・ダンスにイェーガーの NF-104 をオーバーラップさせるのが作り話であるのみならず(それ以前に)このテキサス・スタイルのバーベキューパーティ自体が(「ライトスタッフ」お得意の時系列を無視した)作り話だということでありますね。
 
 
その19701973
 
逆・笑えるパロディとしての「月の光」のファンダンス
 
>果たして原作によれば、あの時 サリー・ランドのファンダンスで演奏されたのは 実際は「シュガー・ブルース」 (Sugar blues Clyde McCoy など YouTube で聴ける)
 
ちょうどその時、狂乱も頂点に達したと思われた瞬間に、楽団が演奏を開始した。途端に場内の照明は暗くなり、スポットライトがステージをさぐりあて、ショーがはじまる。大きな威勢のいい声が、拡声機から流れてくる。「レディーズ・アンド・ジェントルメン…今日の特別のお客さんのために、われわれの新しい素晴らしい隣人のために…御紹介します…ミス・サリー・ランド、どうぞ」
 
楽団は「シュガー・ブルース」を奏でる…やけにセクシーな気どったトランペットの音…オー、オウウウウウウウ、ワァワァワァ…すると髪を黄色にそめ、顔を仮面のように真白に塗りたくった大年増の女が意気揚々とスポットのなかに進みでる…彼女の肌は冬のマスクメロンの果肉のようだ…とてつもなく大きな羽根の扇子を手にしている…かの有名なストリップの仕草をはじめる…サリー・ランド!…大恐慌の時代、勇敢な七人の男たちが、まだ十代のころ、彼女はすでに年増の、しかしまだ勇名を馳せていたストリッパーだったのだ…オー、オウウウウウウウ、ワァワァワァ…彼女はウィンクしながら気取って歩き、こっちをちょっと脱ぎ、こっちをちょっとかくし、七人の一騎打ちの戦士にむかって古びた尻をふってみせる。それはまさに衝撃的だった。セックスを、ショー・ビジネスを超越したものであった。肉体の罪も苛酷さもこえていた。七月四日の午後二時、おびただしい牛が焼かれ、ウィスキーは「お会いできて実にうれしい」と怒鳴り、ヒューストンのヴィーナスは、尻をふりふり、みんなの当惑などものかは、さかんに祝福をあたえた。[中公文庫]
 
Just then, when the madness seemed to have outdone itself once and for all, a band struck up and the houselights dimmed and a spotlight searched out the stage and a show began and a mighty hearty voice boomed out over the p.a. system: "Ladies and gentlemen in honor of our mighty special guests and mighty fine new neighbors, we are proud to present… Miss Sally Rand!"
 
The band struck up "Sugar Blues"…much raunchy high-hatting of the trumpets… Oh, owwwwwwwwwwahwahwah… and out into the spotlight pranced an ancient woman with yellow hair and a white mask of a face… Her flesh looked like the meat of a casaba melon in the winter…
 
She carried some enormous plumed fans… She began her famous striptease act… Sally Rand!… who had been an aging but still famous stripper when the seven brave lads were in their teens, during the Depression… Oh-owwwwwwwww wahwahwah… and she winked and minced about and took off a little here and covered up a little there and shook her ancient haunchesat the seven single-combat warriors. It was electrifying. It was quite beyond sex, show business, and either the sins or rigors of the flesh. It was twoo'clock in the afternoon on the Fourth of July, and the cows burned on, and the whiskey roared goddamned glad to see you and the Venus de Houston shook her fanny in an utterly baffling blessing over it all.The Right Stuff

 

 
 
原作で(かくも皮肉にして冷笑的に)描写されるサリー・ランドのファンダンスを「ライトスタッフ」は逆・笑える(つまり、逆向きの)パロディとしての幻想的な「月の光」のファンダンスに脚色する。
 
が、実は「ライトスタッフ」は正しいサリー・ランドのファンダンスに(パロディなどではなく)そのまま忠実でもある。
 
と言うのも、映画  Bolero (1934) においてサリー・ランドは「月の光」Clair de Lune のファンダンスを実際に披露しているのである。
 
あのシーンが仮に原作どおり「シュガー・ブルース」で描かれてたなら、わたしは(それこそ)無意味で無駄だと却下しただろうが、あざといフィリップ・カウフマンの手練手管が最重要にして不可欠の「月の光」のファンダンスへと昇華せしめてくれてるわけでありますよ。[まさにスクリプトは原作に倣って THE BAND STRIKES UP “SUGARBLUES”…and out prances Sally Rand carrying her enormous plumed fans, winking and mincing about… とあるのに、カウフマンは自ら正しく脚色変更している]
 
※ Sally Rand(実物)の Fan Dance Sally Rand's Fan Dance in Bolero (1934) など YouTube で視聴可