【誰にともなしに、独り言レス―その3028】
その 38 (2003/ 6/14)
ホラーの後はコメディーで爆笑させられたシーン―
ヒゲのマーチ看護婦に命じられたホットドッグは、検体を採取するためにトイレに行きます、すごすごと。
そこには誰か先客がいて、その鼻歌でジョン・グレンだとすぐ判るのですが、集中できないから止めてくれと言っても隣の海兵は聞きゃしません。
で、むきになったホットドッグは負けじと鼻歌で対抗します―
鼻歌の応酬で集中力を高めてんですから、よほど変ってますよね、パイロットは―特に空軍。
その 95 (2003/ 8/18)
ラストシーンでフェイス7が打ち上げられた瞬間、ホットドッグのセリフ―
Up we go into the wild blue yonder. 字幕は「“我ら大空のかなたへ”」(「“我ら大空を目指す”」)
ここは笑えるとこなんですよね、ほんとは。(もっとも、そのことに気付いた後でも、わたしは別に笑ってませんけど)
Off We Go, Into The Wild Blue Yonder
ですから、ここでホットドッグは(ある意味)そのシーンをシャレてるわけです、マジメな顔して。
で、次回はこの曲にまつわるエピソードなどでご機嫌を伺って―
その 96―
The Air Force Song (Off We Go, Into The Wild Blue Yonder)は「ライトスタッフ」のなかではホットドッグの(やけくそ気味の)鼻歌だけじゃなく、ガス・グリソムのトホホな歓迎セレモニーでの(取って付けたような)ブラスバンド演奏が、より一層虚しさを募らせて逆に印象的に使われてます。
これを作詞・作曲したのは Robert Crawford―ちゃんと The U.S. Air Force でクレジットされてます。
調べてみると正式には Captain Robert Crawford となってまして、ははあ、どうせ空軍のいかれたパイロットが飲んだくれて作ったに違いないと思ってたら、さにあらず。
ロバート・クロフォードは、もともと軍人じゃなく音楽家だったんですよ―フランスで声楽を勉強した後、何とジュリアードを卒業したと言いますから、紛れもない本物です。
人呼んで、空飛ぶバリトン Flying Baritone
そのちょい前頃に作ったみたいですね、この曲を―コンテスト(1938)に応募したんですよ。
The Army Air Corps
クロフォードは戦後また音楽に戻って、静かに暮らしてたらしいですが、アラン・シェパードのフリーダム7が飛ぶ 2ヶ月ほど前、空軍中佐(reserve)として亡くなってます。
彼を記念した音楽ホール Crawford Hall がラングレー空軍基地に建てられて、現在は The USAF Heritage of America Band の本部になってるそうであります。
*余談
その 10 年後、アポロ15 号のクルーはたまたま 3 人とも空軍でありましたから、彼らは一計を案じて面白いことを企てます―クロフォード(と USAF)を讃えるために、この Army Air Corps Song のオリジナル・スコアの最初のページを月面に持って行く。
そして着陸船(ファルコン)が月を飛び立つ瞬間に、司令船(エンデバー)に残ってた一人がテープレコーダでその曲を流したんですよ、世界中に―TV を通じて。(とにかく何かにつけて変ってます、つくづくパイロットってやつは―特に、空軍!)