独り掲示板

ライトスタッフは名作です-2

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3176】

 

トゥルーディ・クーパーはテストパイロット・ワイヴズのなかで特異な存在、それはトゥルーディ自身がパイロットだった、言うなれば テストパイロット・ワイフ・パイロットだった―

 

クーパーの鉄壁のごとき自信は、彼は「生れながらのパイロットである」という事実に拠るところが大きい。翼のある航空機を操ることにかけての絶対の自信となると、彼を凌ぐ宇宙飛行士はおそらくいなかっただろう。彼の父はかつての陸軍航空隊生え抜きの大佐であり、クーパーは十六歳になる前から飛行機を操縦した。彼はハワイ大学に入ったのち、ヒッカム飛行場でのちに彼の妻となるトルーディに出会った。彼女もまたパイロットだった。[中公文庫]

 

Much of Cooper's fireproof confidence was based on the fact that he was "a natural-born stick-and-rudder man," as the phrase went. When it came to sheer aplomb in controlling a winged aircraft, there was probably no other astronaut who could outdo him. His father had been a colonel in the old Army Air Force, a career officer, and Cooper had started flying before he was sixteen. He had met his wife, Trudy, at Hickam Field after he had enrolled in the University of Hawaii. She was also a pilot. (The Right Stuff)

 

 と、さらっと原作は触れている。

 

関連レス―

 

その 56~60 (2003/ 7/10~11)

 

空軍のホットドッグは、1945年に高校を卒業してすぐ(陸海軍は新卒を採らないので)、まずは海兵隊に入る。

 

で、除隊後、両親と一緒に(父ゴードン・クーパー・シニアも退役時はジュニアと同じ空軍大佐)ハワイに移り住むが、感心なことにハワイ大学でお勉強中にトゥルーディ・オルソンと知り合い、1947年に早くも結婚。

 

意外にもトゥルーディはパイロットだった―それもインストラクターってんだから、たいしたもんじゃないですか。(あ、じゃ ホットドッグに操縦を教えたのはトゥルーディ?―なわけないか)

 

ライトスタッフ」じゃ、そんなこと匂わせてもないですよね、自信ないけど。

 

と言うのも、何かちゃらちゃらしたシーンは、あんまり真剣に見てないんですよ、わたし。

 

どうも昔から、いわゆる女・子供の映画は苦手で、「タイタニック」や「E.T.」は一生見ない。

 

パールハーバー」とかも戦闘シーンだけをピックアップして見るし。

 

この「ライトスタッフ」でさえ、例えばイェーガーとグレニスの絡みは真剣には見てないです、正直言って。(飛ばしはしないけど、ビデオを―早送りするのはガス・グリソムのリバティベルのシーンだけ)

 

でも、純正ライトスタッフ・ファン全員を巻添えにするつもりはないけども、ホットドッグとトゥルーディのエピソードって、印象に残ってます?

 

わたしは、ず~と長いこと、その意味すら考えてなかったと言うか、はなから何にも意識してませんでしたね、下世話なとこには興味なかったから。

 

ですが、彼女がパイロット(インストラクター)だったということを知って、やっと合点がいって大いに納得したことがある。

 

それは、ホットドッグは、不自然にも、あのことを、なぜ、しきりに、自分のかみさんにすぎない、トゥルーディに、わざとらしく訊くのか―

 

Who’s the best pilot you ever saw ?  と。

 

パイロットの腕前がちゃんと分かる彼女であればこそ、というわけだったんですね (てなわけで、次回はトゥルーディ・ネタをば―)

 

 

クーパー・ファミリーがエドワーズに向かうシーン、やや入れ込み気味の夫がクルマをとばし過ぎるのをトゥルーディが諌める―

 

Slow down,Gordo.  You’re scaring the girls. (スピードを落として、ゴード。子供が怖がってるじゃないの)

 

このふたりの娘カマラとジャニタは 1948年と 1950年生れ、あれが(字幕どおり)1953年の夏頃なら(その根拠は単純に半袖だから)4才と 3才のはず―それにしちゃ、ちょっと大きいんじゃないの、二人とも?

 

7才と 6才、つまりホントは 1956年だろ―と言いたくなるような、なんか微妙な年恰好の二人です、そう思って見ると。

 

あ、そんなことはどうでもいいけど、あのシーンはホットドッグとトゥルーディが家庭的にあんまりうまくいってないとこを、さりげなく描いてるんですね、いきなり。

 

その後、空軍トリオのホームパーティで奥方 3 人が互いの悩みを打ち明けて話をするシーンでは、無事に帰宅できない確率が何と 1/4(one-in-four chance)にも及ぶテストパイロットの妻であることに耐えられなくなって「サンディエゴの実家に帰る」と言うトゥルーディが、それを知った時のホットドッグの反応を(マージ・スレイトンに倣って)こう皮肉る―

 

He maintained an even strain. 平然さを維持してた(字幕「冷静でクールだったわ」)

 

まあ、野放図というか傍若無人というか、無神経なとこがあるのは確かです、このジ・ホットドッグは。

 

何せ、フェイス7でぐうぐうイビキかいてた男ですから、ホントに。

 

一緒に暮らしてたトゥルーディにとっては、自らパイロットだったんだから、パイロットであることがどういうことなのか(その点では)よく理解してたはずだけれど、それでも(あれやこれや)耐えられないことだらけだったんでしょう、さぞかし。

 

 

そうして、本当に実家に帰ってしまったトゥルーディを、あのヒゲのマーチ看護婦に今日の明日にも会わせなきゃならないため、あせってサンディエゴから連れ戻すシーンを見過ごしてはなりません。

 

注目すべきは、ホットドッグとトゥルーディのやりとりが、最初のシーンとほぼ同じだという点。

 

エドワーズに来る時の「おれ達 we は、ここでも出世のはしごを登るんだ、ラングレーみたいにな」(We'll climb right up that ladder just like we did at Langley.)

 

サンディエゴから連れ戻す時の「おれ達 us には、宇宙飛行士になることこそが出世のはしごを登る最善の道なんだよ」(This astronaut thing is the best way for us to move up that ladder.)

 

そう言って聞かせるホットドッグに対し、いずれの場合もトゥルーディは同じ言葉で反発―

 

We ?  You mean you. おれ達は? おれは、でしょう。

 

このそっけない指摘に、ホットドッグは、いずれの場合も↓こう言って取り繕うとする―

 

We’re a team. おれ達は、チームじゃないか。

 

サンディエゴからのシーンでは、この後―

 

Have I ever let you down before? 辛い思いなんてさせたことがあったか?

 

な~んて、ぬけぬけと―ほんと無神経。

 

ところが字幕は、エドワーズに来るシーンでは最後に言うこのセリフ(Come on, cheer up. Hey, have I ever let you down ? )を「お前を泣かせはしない」と曲がりなりにもちゃんと(?)訳してるのにも拘らず、ここでは字義を全く無視してしまって、トゥルーディが当然 Year と答えたのを「おれ達はチームだろ?」「違うわ」という意味のセリフにしてしまってる―大胆にして横着にも。

 

何はさておき、このセリフこそちゃんと字幕にしてやらなきゃな~、あまりにトゥルーディがかわいそうってもんじゃないですか。

 

だって、実際に離婚してるんだから、二人は。

 

ホントの理由は知りませんけど、「ライトスタッフ」を(ちゃんと)見る限り、トゥルーディは無神経なホットドッグのせいで、ずいぶん辛い思いをしてたんですよ、きっと。

 

かわいそうに…

 

離婚した後のトゥルーディのことは詳らかではありませんが、ホットドッグは 1972年に再婚している。

 

 

From the Earth to the Moon 「人類、月に立つ」でサリー・フィールドがトゥルーディを演じてるらしい。( The Original Wives’ Club )

 

これを見てりゃ、また印象も変ってくるのかもしれない、トゥルーディの。

 

想像するにサリー・フィールドってことは、やはりパメラ・リードみたいに可愛く描かれてるんだろうけど、ま、いかなサリー・フィールドといえども、パメラ・リードのトゥルーディには到底かなうまいが。

 

余談

 

just like we did at Langley

 

つまり、「ライトスタッフ」ではホットドッグもエドワーズに来る前ラングレーにいたことになってて、そこでガス・グリソムに wax your tail してたということなんでしょうけど、何もそんな見え透いた辻褄合わせなんかしなくても、だ~れも気にしてませんて―物好きな、このわたし以外は。(字幕にしてからが無視してるし、殆んど無意味…)

 

ちなみに、パンチョの店で言い争ってたマージとディーク・スレイトンもやはり離婚してしまってます。

 

結局、ベティとガス・グリソムの二人だけが、幸か不幸か、離婚しなかった―ご承知のように、離婚しようにも離婚できなかったんですけど。