独り掲示板

ライトスタッフは名作です-2

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3175】

 

見(読み)ようによってはトム・ウルフの原作「ザ・ライト・スタッフ」はテストパイロット・ワイヴズ・クラブを軸に語られていて、その出だし―

 

一 死の使い

 

五分か、せいぜい十分もしないうちに、そう、それ以上ではない、仲間のうちの三人から彼女に電話があり、あそこで何かあったことを聞いたかと問い合わせてきた。

「ジェーン? アリスよ。ねぇ、いまベティから電話があったんだけど、あそこで何かあったらしいのよ。あなた、聞いてない?」くる電話くる電話、いずれも判で押したように、同じ調子だった。彼女も電話をとり、同じ内容の電話を何人かの他のものに掛け始めた。

「コニー? ジェーン・コンラッドよ。たったいまアリスから電話があって、何かあったらしいの……」 [中公文庫]

 

 

1 — The Angels

 

   Within five minutes, or ten minutes, no more than that, three of the others had called her on the telephone to ask her if she had heard that something had happened out there.

 

   "Jane, this is Alice. Listen, I just got a call from Betty, and she said she heard something's happened out there. Have you heard anything ? " That was the way they phrased it, call after call. She picked up the telephone and began relaying this same message to some of the others.

 

   "Connie, this is Jane Conrad. Alice just called me, and she says something's happened…"  (The Right Stuff)

 

 が示すように、思えば(ライトスタッフたるテストパイロットのピート・コンラッド本人ではなく)テストパイロット・ワイフのジェーン・コンラッドの話から始められていたのであり、「ライトスタッフ」における冒頭~グレニス・イェーガー~空軍アスホール・トリオ・ワイヴズのシーンは(つぎはぎ細工してはあるが)原作のスタンスに沿った展開でもあるだろう。

 

関連レス―

 

その914~915

 

「人類、月に立つ」のサリー・フィールドはトゥルーディ・クーパー役も兼任していて、New 9 の奥方連(←なぜかスーザン・ボーマンを除く)とのティーパーティで(原作にディーク・スレイトンが「指揮官に相当する位についたのであり、したがってマージも指揮官夫人の地位にすわらされた」と説明があるように)上座に陣取って仕切るマージ・スレイトンと(マーキュリー7では二人だけ)先輩宇宙飛行士夫人として顔を見せている。(於 マリリン・ラベル宅)

 

ここでトゥルーディは夫が宇宙飛行士になると(テストパイロットの頃より 10 倍も 20 倍も苦労するけど)有名人に会えると言って後輩の奥方連を喜ばし、その例にデビー・レイノルズの名前を出す―このシーンは 1963年12月の設定だから「不沈のモリー・ブラウン」の前年で、ひょっとしたら解る人には解る的なホノメカシなのかもしれない。(←ジェミニ  3 は 1965年 尚、ベティ・グリソムは月例のお茶の会には出席しなかったらしい)

 

続けて トゥルーディが「あと背の低いコメディアン…誰だっけ?」と度忘れしてるのをマージが「えーと、ビル・デイナ」「そう、ビル・デイナ」と名前を挙げる―実際は(マーキュリー7にとって)もっと身近な存在だったはずなので、ちょっとワザとらしい演出か。

 

 

スーザン・ボーマンだけがいないのは何か(彼女はアルコール依存になる)話の展開上そう脚色されてるのかもしれないけれど(←もしやカット放映されてるので分らないのか)、単に撮影上の不都合(役者の都合)があったせいか何かで大して意味はない気もする。 と言うのも、原作に―

 

このお茶の会をとくに喜んだと思われるのは「つぎの九人」のフランク・ボーマンの細君、スー・ボーマンだった(One of the newcomers who seemed absolutely tickled to death about the coffee hours was Sue Borman, the wife of one of the Next Nine, Frank Borman.)   

 

新参者のいく人かは、スー・ボーマンのように、あまりに熱中しすぎた(Some of the newcomers, such as Sue Borman, were too gung-ho about it all.)

 

とあって、他ならぬスーザンこそ出しゃばっていたのが実際らしいので。

 

それと気付かされるのが、フェイ・スタフォードが(何かオードブルを落として)つい shit と言ってしまいマージにたしなめられ一同大笑い―これはベティが(庭でバーベキューに興じるグリソム、スレイトン、クーパーを) assholes と口走ってマージとトゥルーディの 3 人で大笑いする「ライトスタッフ」のシーンに明らかに符合してますね、狙ってるのかどうかはともかく。