独り掲示板

ライトスタッフは名作です-2

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3167】

 

その636~637 (2005/ 4/18~20)

 

パンチョの店に来た時に凹が凸にエドワーズのことをボロカスに言いますけど、あのシーンのセリフは原作では(エドワーズに改称する前の)ミューロックについてのクダリで、例えば―

 

some prehistoric throwback of an airfield (字幕は「前時代的な基地」または「石器時代の基地」)

 

は「先史時代に先祖返りしたようなこの飛行場」と訳されており、映画はミューロックの説明をそのままエドワーズにもってきてます。 (のみならず、あちこちのフレーズがつぎはぎ細工してある)

 

ミューロック Muroc Army Air Field が(Muroc Air Force Base を経て)エドワーズ Edwards Air Force Base となるのは 1949年のことですが、原作では陸軍航空隊がアメリカ空軍になる 1947年の「三年後(three years later)にはミューロック陸軍航空隊基地は、エドワーズ空軍基地となる」と曖昧にして微妙な時差があったりもする。 (←細かいことを言うと、陸軍航空隊が空軍になるのが 1947年 9月、ミューロックがエドワーズに改称するのが 1949年12月で、そのセレモニーが 1950年 1 月に行われたもようだから、まあ 2 年後か)

 

ライトスタッフ」では、大まかには X-1 のエピソードまでがミューロックで、それ以降がエドワーズということになりましょう。

 

参考

 

エドワーズ空軍基地の名称は 1948年に YB-49 で墜落死したテストパイロットのグレン・エドワーズ Glen Edwards 大尉に因んでいて、彼は爆撃機専門のようでありながら、あの X-1 のパイロット候補にもなっている。 (←上官のボブ・カーデナスが推薦したらしい)

 

In 1947 the National Security Act, Title 10, turned the Army Air Force into the U.S. Air Force, and three years later Muroc Army Air Base became Edwards Air Force Base, named for a test pilot, Glenn Edwards, who had died testing a ship with no tail called the Flying Wing. So now the magic word became Edwards.(The Right Stuff) 

 

 

そう言えば、冒頭で イェーガーがパンチョの店に(戸をバタンといった感じで)入るや―

 

Yeager, you old bastard. Don't stand there in the doorway like some lonesome, god damn, mouseshit sheepherder. Get your ass here and have a drink.

 

と、口汚くも愛情あふれる お出迎えを受けるシーンがあります。 (字幕は 「イエガーじゃないの ボサッとマヌケ顔して突っ立ってないで こっちで お飲みよ」 )

 

これは、原作の 「あの野郎に言ったんだ、ケツをあげてこっちへ来たら、一杯飲ませてやるからってさ」("I tol' 'at ol' bastard to get 'is ass on over here and I'd g'im a drink.")というパンチョ節と―

 

網戸がばたんと閉まり、男がバーに入ってくると、そこに居合わせた連中は一斉にそちらを向き、その男を値踏みする。もしも、その男がミューロックの飛行関係者でないとわかると、まるで「シェーン」に登場する足のわるい、いまわしい羊飼いの野郎のようにあしらわれる羽目になる。[中公文庫] 

 

When the screen door banged and a man walked through the door into the saloon, every eye in the place checked him out. If he wasn't known as somebody who had something to do with flying at Muroc, he would be eyed like some lame goddamned mouseshit sheepherder from Shane.(The Right Stuff)

 

 というクダリとを合わせたセリフになってます。

 

そんな形で 映画はパンチョ・バーンズとイェーガーの繋がりを(さりげなく)描いてるけども、原作には特にそれらしい記述はない―ふと思うのは、Forget it, sweetie. She's his wife. というセリフは、パンチョ・バーンズが自分自身へ言ってるという含みがあるのか…