【誰にともなしに、独り言レス―その2990】
一方のスワイガートは司令船のシミュレータ訓練で何の不安も感じさせないスキルを披露し、その様子を見守っていたジョン・ヤングにクーパーが声をかける―
ク : ジャックは全く 問題ない ("no problem at all with Jack")
ヤ : とにかく アポロ16 で飛べればいいが、この先どうなることやら
ク : もうアポロ10 で月まで行ってるんだからいいだろ
ヤ : いや、実際に降りてムーン・ドライブしないと
ヤ : 酸素が抜け切らずに ヒータで気化させたんだって?
ク : ああ、仕方なく 承諾させられた
ヤ : 気をつけたほうがいい アポロ 1 みたいなこともあるし
ヤ : ミッションパッチだけじゃなく…
ヘイズはバックルームに立ち寄り、シルバー教授を訪ねる―
ヘ : 教授、何日後かにはフラ・マウロを散歩してます
ヘ : ええ、オロコピアでの訓練を無駄にはしません
ヘ : アポロ15 のデイヴ(スコット)も脈ありですよ
シ : シェパードに比べれば、誰でも脈がある―ゴルフ気分らしいから
ヘ : バンカーの砂だって馬鹿にならないでしょ?
シ : 何より重要なのは斜長岩―月の謎を解き明かすキーだ
ヘ : そっちのキーを ドリルで掘り当てたいですね
シ : 岩盤が硬くて ドリルが抜けなくなるかもしれん
シ : せめて時差を考えて呼び出してくれよ
ヘ : いっそ同行してもらえばよかった
シ : コックをやらせる魂胆かな?
参考
「さすが、プロ!」
と持ち上げるが、この(場面のノリに巧く合った)訳は(ひょっとしたら意図的な?)間違いのような気がする。
二人は―
Conrad : Pro! (←吹き替えられてない)
Bean : Yeah, Pro!
と、確かに「プロ」と言っているようだけれど、この "Pro" が果たして = professional の意味なのかは少なくとも明確ではなかろう。 (仮に = professional だとしても「さすが、プロ!」という日本語のニュアンスになるのかも疑問だし)
実際の交信記録では―
Bean : Pro!
Conrad : Yeah, Pro.
と逆(ビーンが先に口に出し、コンラッドが復唱する)になっていて、いずれにしても二人は月面着陸した後の操作手順(チェック項目)のひとつを言い合ってる(確認して操作している)んじゃないか―と、わたしには曖昧ながら(そのほうが自然だし)感じられる。(記録は B : Okay. Engine Arm, Off. C : Okay. とチェックが続く)
※ 交信記録には他所にも "Pro" と言ってるとこがあり、それが具体的に何を指しているのかは判然としないが(professional ではない)素人考えでは Proceed の略(例えば the Pro[ceed] key on the computer など)。
参考の参考
>月面着陸した後の操作手順(チェック項目)のひとつを言い合ってる(確認して操作している)んじゃないか―と、わたしには曖昧ながら(そのほうが自然だし)感じられる
などと、前レスでは(いつになく)わざと控えめな言い回しをしたけども、実のところ "Pro!" "Yeah, Pro!" は操作の確認に決まってるのであって、たとえ >場面のノリに巧く合った セリフにしても、わたしは(「見たか!」とばかりのコンラッドに)ビーンが「さすが、プロ!」と言うのが(訳として >間違い だとか何とか主張したいのでは全然なくて)ちょいと引っかかるのである。
ちなみに、他のミッションの着陸(コンタクト)直後の交信記録を例に挙げると―
アポロ14
Mitchell : Contact, Al.
Shepard : Stop. Great, Pro, Auto, Auto.
アポロ16
Young : Pro. Engine Arm.
アポロ17
Schmitt : Contact. (Reading a checklist) Stop, push. Engine stop. Engine Arm. Proceed.
といった具合に、シュミットに至っては(几帳面にも)チェックリストを読み上げて(略することなく) " Proceed" と明示してくれてさえいる。 (従って、当然のことながら "Pro" は = professional の意味ではありません)
参考の参考 (つづき)
>ひょっとしたら意図的な?
面白半分に分かった上で 「さすが、プロ!」 と(そう聞こえるように、どちらとも取れるように)訳されてる気がしないでもなく、ビーンが「凄いよ、神業だ!Good landing, Pete. That was incredible. Outstanding! 」と(やたらオーバーに)持ち上げるノリと巧く合致してはいる。
なぜなら、ビーンはコンラッドと同じ海軍のテストパイロットであり、その意味では同格(にして同階級)のプロのパイロットに他ならず、そんなビーンがコンラッドに(ギャグでも)「さすが、プロ!」とは言わんだろと感じるし、そして更には(そもそもは)パックス・リヴァ(Naval Test Pilot School)で(ここでは同格ではなく)コンラッド教官の生徒だったのだから、ギャグで言うとすれば「さすが、師匠!」に違いなかろう。