独り掲示板

ライトスタッフは名作です-2

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その2928
 
その579
 
その 57 に書いてるように、マージ・スレイトンと トゥルーディ・クーパーが(意味ありげに) "maintain an even strain" と独特の言い回しをするシーンがあります。
 
これは本当は ウォーリー・シラーが好んで口にしてたフレーズで、それを さもディーク・スレイトンや ゴードン・クーパーらが(シラーと出会う前のエドワーズ時代に)使ってたかのように描いているということは、これも原作のどこかにある表現の(時系列を無視した)つぎはぎ細工的な脚色に違いないと、読む前から推測できる―
 
で、あちこち(ウォーリーを探せとばかりに)ぱらぱらめくってみたところ、「ウォリーの口癖」として「適度に安定した緊張を維持する」"maintaining an even strain," to use a Schirraismというクダリがありました―きっと、これでしょう。
 
この maintain an even strain を、わたしが「平然さを維持する」と(わざとストレートに)訳したのは、くだけた表現(例えば、字幕の「冷静でクール」とか「クールな顔して」とか)では、独特の言い回しであることが伝わらないと思ったからでした。(と言って、原作の訳のままでは字幕には使えない)
 
 
その1300
 
その614
 
アラン・シェパードがリカバリーされてヘリから空母(レイク・シャンプレーン)のデッキに降りるや、クルーがその靴(ブーツ)の跡を白いペンキでなぞるシーンがありますでしょ。
 
あれも映画の つぎはぎ細工のひとつで、実際はシェパードではなしにジョン・グレンのエピソードらしく、原作では―
 

ジョンの乗ったカプセルを海面から拾い上げた駆逐艦「ノア」の乗組員たちが、ジョンがカプセルから甲板に降り立ち、そこから昇降口まで歩いた足跡を白線で描いたという話が伝わってきた。甲板の彼の足跡を永遠にとどめておきたかったのだ!(Word got back that the sailors on the Noa, the ship that hauled the capsule, with John in it, out of the water, had painted white lines around his footprints on the deck after he walked from the capsule to a hatchway. They didn't want his footprints on their deck to ever disappear!

 

 とあります。
 
シェパードは(スプラッシュダウンした後)カプセルから出てカプセルとは別々にヘリで空母に運ばれたんですが、グレンはカプセルから出ずにカプセルごと(ヘリは使わず)直接ノアにリカバリーされていて、原作は―
 
彼は誰かさんのように慌てて水中脱出を試みるつもりはなかった。起爆装置を爆破してハッチを開くつもりはなかった。長老派キリスト教パイロットはへまをするつもりはなかった。(He wasn't about to attempt a water egress. He wasn't about to hit the hatch detonator. The Presbyterian Pilot was not about to foul up.―>誰かさんのように とまでは書いてないが)
 
とガス・グリソムへの当てこすりめかしてるけども、これだけで済ませてしまっては(わたしに言わせれば)いかにも不十分で、事実と違った印象を与えかねません。
 
本当は、グレンは予定通りカプセルごとリカバリーされた後、結局(気が変わって)ハッチを吹っ飛ばして出たんですから。
 
こういったとこのトム・ウルフの記述は誤りではないにしろ、ぞんざいだと感じますね、わたしは。