独り掲示板

ライトスタッフは名作です-2

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3084
 
何やかや(あれこれランダム)関連レス―
 
その50 (2003/ 7/ 1
 
Liberty Bell
 
ガス・グリソムは自分のマーキュリー・カプセルにそう名付けました。
 
その理由は「自由の鐘」って一応かっこつけてますが、単純にカプセルがベルの形に似てたから、ただそれだけでしょう。(「7」はご存じのとおり)
 
そう言や、「ライトスタッフ」でも厭味な感じで描かれてましたが、それこそちっちゃなベルみたいなカプセルのミニチュアを何個も持ち込んでたんですよね、飛んだ時に。
 
他にもコインやら何やら後で記念になるってんで、ポケットにいっぱい入れといたじゃないですか。
 
あれがアダになって、溺れかけてやんの。(わざわざ重しをつけてたようなもんですから)
 
ただでさえ宇宙服で泳ぎにくいってのに、何考えてんでしょうね、ったく、アホちゃうか。
 
ま、ご自分は辛うじて救助ヘリに引き揚げられたものの、肝心のリバティベルは海の藻屑…
 
そのグリソムがジェミニ 3 ではカプセルを―
 
Molly Brown
 
命名、このモリー・ブラウンって、誰だか知ってます?
 
先日、TV で「タイタニック」をやってたましたよね、前・後編に分けて―わたしはついぞ見てませんが。
 
あれは一生、見ないでしょうね、わたし。(どうも、ああいうのは見る気が起きないんですよ―他にも「ET」やら何やら、死んでも見ないってのがありますね、わたし)
 
ま、それはともかく、その「タイタニック」にでてたでしょ、モリー・ブラウンが。
 
タイタニックに乗ってた実在の人なんですよ、モリー・ブラウンって。
 
その頃ブロードウェイで評判だったミュージカルから、その名前を頂いたらしい―
 
The Unsinkable Molly Brown  つまり、不沈のモリー・ブラウンから。
 
不沈だったはずのタイタニックの沈没から生還し、一躍勇名を馳せた、あの「不沈のモリー・ブラウン」にあやかろうってわけです。(何せ、前回はしっかり沈めちゃってますから、リバティベルを)
 
いまだ癒されることのない古傷を自らシャレのめしてんでしょうな、精一杯… 笑えて泣ける、実にいい名前じゃないですか、ガス・グリソムらしくて。
 
ところが(どこにでもいるけど)頭の固いのが NASA にもいたんですよ―石頭のコンコンチキが。
 
モリー・ブラウン」が気に入らないっていう上役連中がいて、もっと体裁のいい名前にしたらどうかと迫ってきたそうなんですね、グリソムに。
 
たぶん、NASA を皮肉ってるような感じの名前だからでしょうけど。(事実、それ以降のカプセルには愛称がついてないんじゃないかなぁ、確か。少なくとも、飛行士の好き勝手にはなってないでしょう、そのせいで)
 
で、「モリー・ブラウン」を変えろと言われてグリソムはどうしたか―
 
その時グリソム少しも動ぜず、もし映画化するなら絶対はずせないセリフになるに違いない、絶妙の返事で↓こう応える―
 
How about the Titanic?”  じゃ、「タイタニック」にしようか?
 
(これぞまさしく、パイロット―特に空軍!)
 
 
その246248 (2003/12/21
 
ガス・グリソムが大西洋でアップアップしてたのは、せいぜい 45 分らしいけど、当人には eternity と感じられたと言いますね。(←付近をでかいサメが泳いでたと後から知らされてるし)
 
リバティベルは沈めたものの、自身は辛うじてヘリに救助されて、リカバリーの空母に降ろされます。
 
その時、スペーススーツのポケットからミニチュアのカプセルやら 10 セント玉やらが、ばらばらと落ちるじゃないですか。
 
一説によると、あのシーンが screw the pooch の原因を示唆してると。
 
つまり、グリソムがミニチュアのカプセルやら 10 セント玉やらを、うっかり(ハッチを吹っ飛ばす)スイッチの上に落っことして(海面から引き揚げられる前に)作動させてしまったと―
 
う~む…なるほど、それで直接の原因ってわけか。
 
ま、ある意味 おもろい見方ではあるが―
 
もしも、そんなことを(ほんの僅かにでも)意図して撮られてるんだとしたら、はっきり言って、フィリップ・カウフマンは極め付きのアホでしょう。
 
 
わたしは、ミニチュアのカプセルやら 10 セント玉やらが、グリソムが危うく溺れかけたマヌケにして間接的な原因だと大いに感じてはいるが、そんなものがリバティベルを沈めた直接の原因だとは、夢にも思わない。
 
もう何度も話してるように(カプセルの中から)ハッチを吹っ飛ばすには、手を傷つけずにはいられないくらいに強くスイッチを叩かなければならないんです。
 
そのことを確証してみせたウォリー・シラーによると、彼は(強化手袋ごしに)手を切ったとさえ(the brute force of hitting the plunger had cut through one of his metal-reinforced gloves.)―それほどの力が要るんですよ、スイッチを作動させるには。
 
ミニチュアのカプセルやら10 セント玉やらを落としたくらいで作動するわけがない。
 
スイッチは plunger と表現される―プランジャというのは、流しが詰まった時にガバガバやるアレですから、要するにピストン式のスイッチでありましょう。
 
そのプランジャを(反動で)手を傷つけるまでの力で押し叩かないと、スイッチは入らないんですよ。(数値で 56 ポンドの力らしい)
 
ミニチュアのカプセルやら 10 セント玉やらにできる芸当じゃないのは、解りきったこと―仮に 10 セント玉の 50 枚ロールを(低い高さから)落っことしたとしても、せいぜい 1 ポンドくらいの力にしかならないような気がするが。
 
 
ですから、もしもカウフマンがグリソムの手には何の傷もなかったということへの反証として、そんな子供じみた世迷言を匂わせてるんだとすれば、極め付きのアホとしか言いようがありません。
 
カウフマンは「ライトスタッフ」において(原作に倣い)グリソムが閉所恐怖症的なパニックに陥って、あまりにも早く(ヘリがカプセルを吊り上げない内に)ハッチを吹っ飛ばしてしまい、結果 海水が流れ込んで重くなったリバティベルを放棄せざるをえなかったという(わたしの信じるところでは)勝手に独り歩きしているデマを、敢えて(グリソムへの嫌疑は完璧に否定されてるのにも拘らず)まことしやかに描き出してるんです―デマと知りながら。
 
そして同時に、その決定的な事実に対する言い訳と言うか逃げ道のつもりで、スペーススーツのポケットからミニチュアのカプセルやら 10セント玉やらが、ばらばらと落ちるシーンを撮ったんだとすると、カウフマンは自家撞着以前の全然筋の通らない馬鹿げた主張をしてることになりますね、明らかに。
 
この間違いなく極め付きの名作《ライトスタッフ》を産み出した監督にして脚本家が、よもや極め付きのアホであろうはずはないとは、先刻承知してはおりますが…