【誰にともなしに、独り言レス―その2916】
その1348
一糸乱れぬ編隊を組むというのは（まさに冗談じゃなく）そういう死なばもろとも的なことなんだろうけども、よくイェーガーが民間パイロットを「ろくに編隊飛行もできない」と見下すのも上っ面のことだけを言っているのじゃない（よりシビアな思い入れがある）のかもしれない。
イェーガーは民間パイロット（the civilian NASA pilot）ジョー・ウォーカーの F-104（NASA 仕様）が編隊飛行中（in a V-formation）の XB-70 Valkyrie に接触事故した件もウォーカーの経験不足・未熟（Joe Walker's lack of formation flying skills）のせいだと（事故調査の裁定が下されない内から）決め付け公言していた。（"It was a shame to see a good program and good equipment ruined by bad piloting"）
が、実のところ ウォーカーは F-104 で XB-70 のチェイスを何度も経験していた（had flown chase for the XB-70 nine times, eight in an F-104.）そうなので、イェーガーの（頭ごなしの）指摘は当たらないとも感じる。
※ ゼネラル・エレクトリック社（製エンジン）の PR 写真撮影のための飛行で（YouTube でも映像が見れる） XB-70 、F-104、F-4、F-5、T-38 の変則（異種）5 機編隊―宣伝パンフレット用写真の代償は XB-70 と F-104 の損失、テストパイロット 2 名が農場を買う羽目に。
※ T-38 に搭乗していた Joe Cotton（the USAF's Chief Test Pilot）の現場証言は―
Walker, unfamiliar with flying in formation with such a large delta wing aircraft, lost reference to his position relative to the B-70, and simply closed up the formation until the T-Tail of the F-104 struck the Valkyrie's wingtip.
と（空軍だからか）イェーガー説を支持・裏付けする見解ではある。
その1349
参考（以上の内容を含むと思う）
原作「ザ・ライト・スタッフ」に―
X 15 計画における NASA の筆頭パイロットは、ジョー・ウォーカーだった。チャック・イエーガーを若くして、頭髪を亜麻色にした感じだ―（中略）― イエーガーはウォーカーが一頭地を抜いていると思っていることを隠そうとはしなかった。 そうなのだ、ウォーカーは、顔つきから背格好、話し方にいたるまで、イエーガーを若くしたようだった―ところが実は、二歳年長だった。[中公文庫]NASA's prime pilot for the X-15 project was Joe Walker. He looked like a young towheaded version of Chuck Yeager ― As a matter of fact, Yeager had let it be known that he thought Walker was the pick of the litter at Edwards now. Yes, Walker looked and sounded like a younger version of Yeager—but in fact he was two years older.（The Right Stuff Tom Wolfe）
といったクダリがある。
普通に考えて、イェーガーが（民間だろうと何だろうと）ジョー・ウォーカーのテストパイロットとしての腕前を認めてないわけがない（認めてないとは考えられない）ので、あくまで編隊飛行に限った技能（formation flying skills）への疑義を示している（つまりイチャモンをつけている）のだろうが、ウォーカーにしろクロスフィールドにしろキンチェローにしろ、おしなべて X-15（あの X-15）のパイロットに（イェーガー流の、または空軍式の）編隊飛行なんぞは根本的に（本質的・原理的・論理的にすら）そぐわないと言いたい気がする―夢のような X-15 の編隊を想像するだに（悪夢のようで）トリハダものではあるけれど。 （そのリーダー機は言うまでもなくエース中のエース、真のライトスタッフたる…）
