【誰にともなしに、独り言レス―その3430】
T-33 泥沼事件が出たついでに、懸案だった(のか?)X-15 dry-lake 発進 問題を少々―
その2891
去年のことアームストロングはスミス牧場の乾湖の湖底から X 15 を発進させる準備をしていた。 飛行テスト実施の責任者であるイエーガーは、長雨のため湖底はまだぬかっていて使えないと言った。 Armstrong had been preparing for an X-15 launch from the Smith's Ranch dry-lake bed last year when Yeager, who was director of flight test operations, told him the lake bed was still too muddy from the rains. (第15章 「高地砂漠」)
となっている― 乾湖から X-15 を発進させる(launch from the Smith's Ranch dry-lake bed)… って、んなアホな。 (←指摘するのもイヤになるが、ここでは X-15 を乾湖に着陸させる land on the Smith's Ranch dry-lake bed というのが正しい)
今更 説明するまでもなく、X-15 は B-52 に吊り下げられて空中で発進する(X-15 launch from B-52 mothership)―乾湖から発進するなんて器用なマネは(イマイチのアームストロングじゃなくても)無理な相談なのであった。 (←機首には車輪が付いてるけど、後ろは何とも頼りない ソリ skid だし)
さて、わたしには >致命的な間違い(或いは誤訳?) と思われた launch from the Smith's Ranch dry-lake bed (スミス牧場の乾湖の湖底から X 15 を発進させる) なんていうトンチンカンな表現―これが実は、詳細なデータ記録上(X-15 Flight Log)に散見される言い回しで、例えば ジョン・マッケイ(John B. “Jack” McKay―その2918参照)の最終フライト(Thu. 8 Sep. 1966)は―
First flight launched from Smith Ranch Dry Lake for X-15 no.1
と X-15(#1)が初めて乾湖から発進する(かのような)そのまんまの記述があったりする。
それでも(その道の)マニアの方なら、まさか dry-lake から(字義どおり)離陸して飛び立つ(況や自力で垂直に発射される)X-15 などイメージできまい―そんなんじゃ全然ねぇし、X-15 って。
マッケイの X-15 は―
Launch : 10:39 - Smith Ranch
Landing: 10:45 - Smith Ranch
Smith Ranch から発進して Smith Ranch に着陸―確かに、そう記録されてはいる。
が、同時併記されてるデータの B-52―
B-52/Pilots: 008/Doryland & Cotton
ちゃんと Doryland & Cotton(その2916参照)コンビの操縦する B-52(“Balls Eight”)が―
Takeoff : 09:40
Landing: 11:40
と、この Takeoff がミソで 意味するところは mothership である B-52 bomber の離陸―もちろん X-15 を(ミサイルさながら)右翼下(wing pylon)に抱いて、Smith Ranch からテイクオフ(09:40)
しかる後にマッケイの X-15 は上空で B-52(launch platform)から air dropped (in Smith Ranch Lake DZ)され Launch(10:39)(from the bomber’s wing pylon)に至る。[DZ air drop zone ]
それがまさしく―
launched from Smith Ranch Dry Lake for X-15
の(正しい)実態なのであります。