独り掲示板

ライトスタッフは名作です-2

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その2901
 
その1078
 
なるほど LM のハッチは(LMP 側へ内開き仕様になっていて)スレイトンの言うとおり >パイロットが先に出るのはかなり難しい のは確かで、アームストロングがオルドリンより先に(つまり最初に)月に降り立った >それより何より の(LM の構造上、仕方のない)理由とされてはいるが、実のところ >ハッチの開き方 云々など会議においては全く考慮されてない(第一、そんなことはクリス・クラフトらは関知してなかったそうな)ので、もっともらしくあっても(明らかに)後付けの理由と言わざるを得ない。
 
それに実態を知るアラン・ビーン(アポロ12 LMP)がコロンブスの卵的に指摘していることには、船長より先に LMP を出したければ、とりあえず席(たって、二人とも立ったままだけど)を替わっておいて、その後でバックパック背負うなりフル装備すればいい(簡単ではないにしろ無理では全然ない)んじゃないのって話で、ハッチと二人の位置の問題は(スレイトンが言うほど―There was just the one hatch on the front of the lunar module, and the way it opened made it easier for the guy on the left, the commander to get out first. Otherwise, you'd have two guys in bulky pressure suits doing somekind of goddamn dance inside the lunar module.)決定的な要因になりそうにない。
 
いかにも「合理的」に聞こえるスレイトンの説明をビーンは(アームストロングを先に出したいという本音への)「合理化的」な理屈(rationalization)と見ている―
 
My opinion is, they were looking for technical reasons because they didn't want to say directly to Buzz or anyone else that "we just want Neil to go out first."
 
ま、とにかく 船長のアームストロングが先だと(暗黙裡には)決まっていた―どうせ、できレースなんだろう(船長が先に決まってんだから)ということで、哀れオルドリン独りが虚しくゴネまくって周辺から大いにウザッたがられていた次第…
 
参考
 
ウォールト・カニンガム(アポロ 7)の証言―
 
"We had always assumed Neil Armstrong,who was the spacecraft commander, was going to be the first man on theMoon.  We always felt like it was an unnecessary conflict that was created by Buzz and kinda left a bad taste in other peoples mouth about Buzz making this fuss about it."
 
 
その1079
 
ありがちな見方ではあるけど、アームストロングが First Man に選ばれたのは civilian だったことも側面的には関係してるかもしれない―更に言うと、それは一方のオルドリンが空軍パイロットだったことと相俟って(相乗的に)影響したと考えられなくもない。
 
ふと思うのは、もしもイェーガーだったらどうか―
 
イェーガーがオルドリンの立場だったら(大人しく アームストロング NASA に従うわけないので)想像を絶する(T-33 泥沼事件どころじゃない)空恐ろしくも面白すぎる事態になったに違いなく、そう極端に仮定してみると逆に(アームストロングが civilian だったことより)オルドリンが空軍だったことこそオルドリンを First Man にさせなかった(結果、或いは即ちアームストロングを First Man にした)という気もする―だとしても、あくまで側面的にですが。
 
もとより アームストロング NASA vs  オルドリン(イェーガー)= USAF という構図があるのは間違いないでしょうし。
 
※ 思わせぶりに意味付けるつもりはないけれど、空軍は NASA を辞めたオルドリンを(テストパイロットとしてのキャリアはなかったにも拘らず) ARPS Commandant 197172)に就任させる。 (イェーガーは 19621966
 
 
その1080
 
参考
 
オルドリンはウェストポイント(Military Academy)で Bachelor of Science degree を得ていたが、ライフ誌でマーキュリー7を見ていた頃は既にテストパイロット・スクールの年令制限を過ぎかかっていて(イェーガーも Spam in a can などとバカにするもんだから)とりあえず更なる学問の道(マサチューセッツ工科大)へと向い、きっちり Doctor of Science degree in Astronautics Orbital Mechanics テーマは "Guidance for Manned Orbital Rendezvous")なる金ピカの箔をつけた。
 
3 期生ともなると案の定テストパイロットの資格なんぞは問われなくなり、堂々オルドリンは最初の博士にして(空軍のくせに)テストパイロットではない(けど、朝鮮で MiG 2 機撃墜した戦歴のある)宇宙飛行士に選ばれる("Dr. Rendezvous ")ことと相成った。
 
そんなオルドリンが "A highly prestigious position" と自嘲気味に言う ARPS の校長として(イェーガーの 5年後に)招かれたのは、二人乗り 及び 三人乗りの宇宙船(つまりジェミニとアポロ、おまけに LM )のフライト経験によりテストパイロット有資格者と見なされたからだろうと(because I flew in a two-man spacecraft and then a three-man spacecraft and we landed on the moon, so that qualified me as a test pilot.)本人は仰ってます。(←やはり、本物のテストパイロットではないオルドリンには場違いの甚だ居心地のよくないポジションだったせいで、うつ depression となりアルコール依存になってしまう)
    
 
その1081
 
当初の月着陸シミュレーションのチェックリストでは実は LMP が先に出るとされていた(a preliminary checklist had Aldrin stepping first out the lander door)とも伝えられていて、それが本当ならばオルドリンは(ジェミニ12 EVA の最長記録も持ってることだし)自分が先に月面に降り立つ気でいて不思議ではないが、インタビューでは―
 
"I'm a military man.  I went to West Point.  I understood the chain of command.  Did I expect to be first No."
 
と(ウェストポイント出身の軍人らしく)きっぱり否定している。
 
その言葉を信用するなら、或いは本人に(スレイトンの言う >彼は船長だし、キャリアも上だ と弁えて)その気はなかったのに、オルドリンが First Man になるのを過度に期待する父親の手前と言うか、無理やり後押しされてゴネまくったという見方も(少なくとも部分的には)できるのかもしれない。
 
バズ・オルドリン Edwin Eugene "Buzz"Aldrin Jr. の父 Edwin Eugene Aldrin, Sr. はパイオニア的(リンドバーグライト兄弟とも知り合いの)パイロットで最終的に USAF Colonel ―オルドリンが周囲を呆れ(うんざり)させるほどゴネた裏には父親の存在・圧力(←それは同時に空軍の圧力とも言えようか?)があったように聞く。(←残念な決定を知らされて怒り狂ったそうで―"angered to learn that I would not be the first man to set foot on the moon"