独り掲示板

ライトスタッフは名作です-2

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3225】

 

その 350~351      (2004/ 4/ 3~4)

 

「アポロ 13」でディーク・スレイトンに扮したクリス・エリスは「人類、月に立つ」ではボブ・パーカー。 (「遠い空の向こうに」October Sky では Rocket Boys の高校の校長役)

 

ボブ・パーカーはジーン・サーナンが船長だったアポロ17 の(月面ラスト・マンのサーナンに最後の言葉 Roger, Geno. Thank you very much. をかけた)capcom で、キャンセルされたアポロ18 の support crew。(後にスペースシャトル STS-9、STS-35 にミッション・スペシャリストとして搭乗)

 

そのアポロ18を廃物利用?した ASTP(アポロ・ソユーズ計画)の船長さんがトム・スタフォードで、スレイトンの念願が叶ったミッションでありました。

 

アラン・シェパードは差配役のスレイトンと画策してアポロ14 のフライトにこぎつけたと白状してたが、ASTP におけるスレイトン自身はどうなんでしょう―ちゃっかり、自分で自分を指名したのか?

 

ASTP クルーの記者会見でのスレイトンの言によると、どうやらそうではないようで―

 

I think Chris(Kraft)had a tougher decision in getting the crew for this flight than I ever had picking flight crews.

 

と、殊勝にも述べてますので、やはり最終的にはクリス・クラフトが指名したのでありましょう― 裏工作があったかどうかはともかく。

 

 

ASTP はアポロ18ソユーズ19 のドッキングを目的としたミッションで、宇宙開発において今や完全に優位に立っていたアポロ側が(余裕を見せて)ドッキング・モジュールを装備―そのパイロット(Docking Module Pilot)として、晴れてスレイトンが宇宙に飛んだわけですが、そこには実は逆の意味で裏工作があったという情報を、わたしは密かに入手ってゆうか、単なる噂話を小耳に挟んでおります。

 

クリス・クラフトは、なぜスレイトンを指名したのか―

 

以前にも書いたが、スレイトンは ASTP の後、スペースシャトルの開発に携わる―つまり、もう長いこと居座っていた(クルーを選任する)差配役を外れたんです。

 

言い方を換えれば、ASTP のクルーに選ばれるのをきっかけ(口実)に、この際とばかり(見返り?)に体よく担当から降ろされた、解任されたということ。

 

それが何を意味するかと言うと、差配役の椅子には重鎮のスレイトンではない別の誰かが座ってたほうが、クリス・クラフトにとっては、ずいぶん物が言いやすくなるということに他ならない。

 

なるほど(結果的には)確かにあったに違いない、そういった側面を考えると―

 

Chris had a tougher decision in getting the crew for this flight than I ever had picking flight crews.

 

というスレイトンの(表向きは)あくまで殊勝な発言にも、何やら含みがあるのかという気もする…もともとが殊勝な人たちなわけないですから。

 

 

その 780  (2005/10/25)

 

スレイトンは苦節 10 年(1962~1972年)、ついに地上から宇宙飛行任務への復帰が認められ、ずっと任されていたミッション・クルーの差配役(Director of Flight Crew Operations)を降りますが(1974年)、ASTP の後 NASA を辞めるまでは(1975~1982年)スペースシャトルに携わる (Head of the Space Shuttle Approach and Landing Test Program)―ですから、スレイトンを軸にすればシャトルまでも描けるわけで、マーキュリーに始まる宇宙開発全体の裏表を語ることのできるのが ドナルド・K・スレイトン Donald Kent Slayton その人なんですね。

 

惜しむらくは、スレイトンがエドワーズのテストパイロットだったのは 1955年(テストパイロット・スクール)から マーキュリー7に選ばれる 1959年までで、イェーガーとは入れ違いになって全く接点がない―もしあったなら、当然 「ザ・ライト・スタッフ」(及び 「ライトスタッフ」)における スレイトンの扱いは多少なりとも変わっていよう。 (スレイトンは 早くも 1963年に あえて空軍を退き NASA の人になる)

 

余談

 

通称の ディーク は(エドワーズで他の二人の Donald と区別するために) "DK" と呼ばれてたのが訛って "Deke" となった―よって、たまに見受けられる デューク という表記は誤り。