【誰にともなしに、独り言レス―その3442】
トンプソンの NASA 749(F-104 A 56-749)は(フラップの不具合 asymmetrical flap のせいで)左にロールしていて、350ノットの速度なら何とか姿勢を制御・維持できたものの(そんなスピードじゃ着陸できないし)、あれこれ考えられるトラブルシューティングもむなしく、どうあがいても復旧しそうにないんで、エドワーズ(の NASA)に緊急連絡し(困った時には、の)ジョー・ウォーカーを呼び出してもらう―この後まさに X-15 で(Mud Lake から)飛ぶため(今や遅しと)スーツアップしてた当のパイロットのジョー・ウォーカーを。
トンプソンは早朝 Mud Lake の weather flight(お天気レポート)に F-104 を使い、ついでに(絶好のフライト日和 a beautiful morning for a flight にルンルン気分で)landing approach のシミュレーションなんぞやって調子こいていた―笑っちゃ悪いけど、トンプソンて笑わしよるヤツなんですよ、マジで。
え~ またぁ?(Trouble ?)てな感じのジョー・ウォーカーの(トンプソンが訴える症状からする)見立ては―
a split trailing edge flap situation with one down and one up (事後の調査では an electrical malfunction in the left trailing-edge flap)
このフラップ角度ちぐはぐ状態(asymmetric flap extension)を元に戻すべく(ジョー・ウォーカーの示唆に従い)flap lever をガチャガチャ操作してたら、却って最悪の(アクロバチックな)スナップ・ロールにクルんクルん陥り(I was almost doing snap rolls.)回転が止まらなくなった―同時に機首が下がり、やがて垂直にロール(vertical rolls)… もはやこれまで。
ついにトンプソンは(操縦桿を放して)ejection handle を引き、音速手前マッハ 0.9 の F-104 から射出される。(at 18,000 feet)
気が付くとトンプソンの目の前を射出シートが一緒に落下していて、まだ(ケーブルでつながった先の)ejection handle をバカみたいに握りしめたままだったのをトンプソンは(いみじくも)―
That handle was my security blanket.
と軽口で笑わしてくれる。(At the Edge of Space: The X-15 Flight Program)
パラシュートを絡みつかせたりしたらマズいので、安心ねんねタオル?(ejection handle)を一苦労して手放し(←そんな簡単なことすら容易じゃないそうで―真っ逆さまに落ちてる最中は)射出シートを遠ざけたところで、自動的にパラシュートが開く―足の方に向かって。(真っ逆さまに落ちてる最中だから ←天地逆 head-first のタイミングで射出してたから)
降下中、トンプソンはロールしながら墜落し爆発する F-104 を見ている―突き刺さるように(nose-first)激突して地面(適地?の bombing range)にあけた大穴(クレーター)から黒煙を立ち昇らせていた。(←「ライトスタッフ」におけるイェーガーの NF-104 さながらですけど、ありゃホントは黒煙を上げてはなかったとか―その3112参照)
その黒煙を(遠目に)視認した NASA は、しかし(切羽つまっていてベイルアウトするとも何も伝えてなかったトンプソンの)降りてくるパラシュートは見えず、一同(a small, close-knit group at NASA)深~い絶望の淵に沈み込んでいた―ところが、どっこいトンプソンの無事(奇跡の生還)を知ったのは、ほどなくしてのこと。
墜落現場に車で急行した Joe Vensel (NASA Flight Operations chief)が我が目を疑ったことに(しれぇ~と)道端でヒッチハイク(手を挙げて停まれの合図)してる(F-104 もろとも墜落して)死んだはずだよぉトンプソ~ン(♪)を発見し、しっかりモーニングサービス(cafeteria)に(食欲ありげなヒッチハイカーを)乗せ帰ったのである。
ホッと胸をなでおろして落ち着いたジョー・ウォーカーは勇躍 X-15 ミッションに予定どおり(Takeoff : 10:30)出撃することができたのだった―めでたし、めでたし。(その夜の Flight パーティでは主賓のウォーカーじゃなくトンプソンがセンターだったらしい)
※(本題に近い)余談
実は、この(生けるトンプソンを連れ戻った)Joe Venselこそ >A も B もさして違わないからと 騙くらかして、トンプソンの初乗り F-104 B を(ネリスの呪いの)ドツボにハマらせた張本人で(その3439参照)、何だか報復ドッキリを仕掛けられたみたいな展開ではあります―
But Joe Vensel insisted, citing “no significant difference” between the B model (which had tip tanks) and the F-104A, which Thompson had flown many times. As soon he left the ground, Thompson knew Vensel “had stretched the truth a bit.” (First Man: The Life of Neil A. Armstrong)