独り掲示板

ライトスタッフは名作です-2

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3244】

 

その 986~987

 

Galileo Was Right (「ガリレオは正しかった アポロ15号」)について―

 

けれど、それは実のところ話のテーマじゃ全然なく、本筋はジェネシス・ロック Genesis Rock と名付けられる月の石(を見つけるに至る宇宙飛行士と地質学者の交流)にあります(その3240参照)

 

としたが、首尾よくハンマーと羽根の落下実験が成功し、スコットは得意気に「科学を学ぶなら月の上に限る」("There's nothing like a little science on the moon.")と科学者然としたモットーを宣言して笑う。

 

冒頭でトム・ハンクスが「(月へ行った宇宙飛行士たちは)優れたパイロット、エンジニアであるのはもちろんのこと、物理学・天文学・地質学にも精通していなければならなかった」(They not only had to have the acumen of pilots and engineers, they also had to have knowledge and practice as physicists, astronomers, geologists)と解説するように、全般に月への科学(者)的なアプローチ(初の J ミッション)を描いたエピソードであるから、 >実のところ話のテーマじゃ全然なく としたのは少々言葉が過ぎるやもしれない。

 

ではあっても、ジェネシス・ロックを >見つけるに至る宇宙飛行士と地質学者の交流 とは(言い換えるなら)宇宙飛行士を地質学者(の代わり)にして月に行かせるという話であり、この宇宙飛行士を地質学者にするという点こそが主眼であることに変わりはない。

 

 

地質学教室の退屈な授業に全く興味を示さないアポロ15(とバックアップ)のクルーらは「宇宙飛行士連中はただのパイロット―パイロットとしては世界一でも、いかんせん科学的な思考能力がない」(Your colleagues - no offence, Deke - are just pilots. They're the best pilots in the world, but they don't have scientific minds.)と不評を買い、それに反発して(What's your idea, Jack ? と問いかけるスレイトンに)シュミットが提案―

 

「先生を探しましょう、ただのパイロットを一流の地質学者にしてくれるような」(Find a teacher who can bring out the scientific mind in all of them.)

 

かくして(シュミットにリクルートされた)シルバー教授による宇宙飛行士への地質学(科学精神注入)訓練が始まる。

 

だから、宇宙飛行士を地質学者にするという芯(ツボ)は最初にシュミットがハッキリと口に出して提示されているのだけれど(あれやこれやロマンチックに盛り上がるせいで)つい忘れがちになると言うか、そんなコアなことは意識せずとも話は面白く展開していく―が、わたしは「人類、月に立つ」全体のなかでも最重要の核心的テーマとして銘記しておきたいですね。

 

野外レクチャーにおけるシルバー教授の簡潔にして明快なセリフ―

 

「君たちは我々の目と耳にならなくちゃいけない あそこ(月)で」 ("You have to become our eyes and ears out there.")

 

これですよ。(ライトスタッフなる概念を援用する必要のない宇宙… その2943参照)