独り掲示板

ライトスタッフは名作です-2

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3242】

 

その 889~891

 

「人類、月に立つ」ではシルバー教授(カリフォルニア工科大学)は地質学の教え子だったジャック・シュミットに招かれ、アポロ15 月着陸クルーのスコット、アーウィン(とバックアップのゴードン、シュミット)に野外レクチャーをする。 (CMP のアル・ウォーデンは月に降りずに司令船から具に月面の観察をするので別メニューの訓練)

 

実際は最初にシルバー教授が受け持つのは短期(一週間だけ)ながらアポロ13(ジム・ラヴェルとフレッド・ヘイズ、バックアップのジョン・ヤングとチャーリー・デューク)で、それが折角のレクチャーも(あのトラブルで月に降りないまま戻ってきたので)無駄となった。

 

だから、アポロ15 から担当したかのように脚色してあるんだろうが、仮にアポロ13 が予定通りフラマウロに着陸していたなら、Part 10(Galileo Was Right 「ガリレオは正しかった アポロ15号」)に先がけて Part 8(We Interrupt This Program 「アポロ13号 ニュースキャスターの闘い」)でのシルバー教授ご登場と相成ったやも―なんてことはあるわけなくて、考えてみりゃアポロ13 が支障なく(we've had a problem せずに)ミッションを遂行してたなら、そもそも映画「アポロ 13」からして制作されるはずがなく、従って(裏表の関係にある)「人類、月に立つ」も撮られるべくもなかったろう。

 

それに、本格的な科学調査(ローバーを使った広域の探査、月面に長時間滞在の J ミッション)はアポロ15 からで、シルバー教授も Apollo 15 was prepared to do science and it had intelligent people who understood the targets and they did their job. と仰ってますので、やはりシルバー教授についてはアポロ15 のクルーとの絡みで描くのが本筋ですね。  (←アポロ13 の代行ミッションになったアポロ14 はフラマウロに見事ピンポイント着陸して、それなりに貴重なサンプルを採取してはいるものの、それにはシルバー教授はタッチしてなかった)(その3239参照)

 

 

「人類、月に立つ」Part 10 : Galileo Was Right には(100% それを意図してのことではないかもしれないが)明らかに「アポロ 13」と「ライトスタッフ」との トリビュート的な顔合わせとでも言うか、特筆すべきキャスティングがある。

 

主役のデイヴ・スコットに「アポロ 13」で capcom 役だったブレット・カレンが起用されていて、何人もの「アポロ 13」からのコンバート組の右代表といった感じで特に優遇された役柄―むろん、スコットご本人が何やかやと「人類、月に立つ」でもテクニカル・コンサルタントとして関わっているせいもあって。

 

けれど、もう一人のと言うより真の意味での主役は明らかにシルバー教授であり、その存在なくして Part 10 のエピソードは成立しない―のみならず、わたしの見たところ「人類、月に立つ」全体の面白み(個人的な趣味に関係ない作品内容の質的レベル)も半減しさえする。

 

それ程の最重要キャストであるシルバー教授に扮するは―

 

ご存じ「ライトスタッフ」の liaison man、あの デヴィッド・クレノン …

 

 

純正ライトスタッフ・ファンの贔屓目かもしれないが、「人類、月に立つ」における一番美味しい役にデヴィッド・クレノンがスペシャル・ゲスト・スターとして招かれた(と、わたしは感じる)―これは「ライトスタッフ」へのリスペクトであり、かつエクスキューズと言うか仁義を通しているのであって、そのためにこそ(あえて)シルバー教授が登場するエピソードを取り上げデヴィッド・クレノンに依頼したという印象すら受ける。  (←シルバー教授がミッションコントロールで「スペシャル・ゲスト」a very special guest と呼ばれるシャレたシーンがあったりもするし)

 

見方を変えるなら、これは「人類、月に立つ」と「ライトスタッフ」を liaison (リンク)していることに他ならず、まさに liaison man デヴィッド・クレノンの面目躍如、余人に代えられぬ絶妙のキャスティング(その顔ひとつで無関係とも言える両者を liaison するという純正ライトスタッフ・ファンには嬉しい趣向のカラクリ)であって、かかる観点に立てば、もともとデヴィッド・クレノン演じる「ライトスタッフ」の liaison man は(その正体が空軍だろうと NACA だろうと)原作「ザ・ライト・スタッフ」と映画「ライトスタッフ」を liaison する役割を担っており、それこそが liaison man たる所以だという(単に「つぎはぎ細工のつなぎ役」にとどまらない)より本質的な面が鮮明になろう。(その3223参照)