独り掲示板

ライトスタッフは名作です-2

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3253】

 

その1017~1018

 

ジェネシス・ロック Genesis Rock は(スコットとアーウィンが月面で採取するや)すぐに地上のメディアによってそう名付けられたが、「人類、月に立つ」ではエピソードのラストにジェネシス・ロックを前にしたスコットとシルバー教授のやりとり(イメージ的もとネタと思しき Astronaut David R. Scott, right, commander of the Apollo 15 mission, gets a close look at the sample referred to as "Genesis rock" in the Non-Sterile Nitrogen Processing Line (NNPL) in the Lunar Receiving Laboratory (LRL) at the Manned Spacecraft Center (MSC). Scientist-astronaut Joseph P. Allen IV, left, an Apollo 15 spacecraft communicator, looks on with interest. The white-colored rock has been given the permanent identification of 15415.―なる NASA/Science Source の画像がある)―

 

スコット 「これですよ」(That's it.)

 

シルバー 「おぉ…」  (Wow.)

 

スコット 「サンプルナンバー 15415」(Sample number 15415.)

 

シルバー 「創世記の岩と名付けたか 太陽系と同じくらい古い石かもしれない」(They're calling it the Genesis Rock. It may be as old as the solar system itself.)

 

があり、いかにもアポロ15 が持ち帰ってから、その古さゆえにジェネシス・ロックと名付けられたと受け取れる描き方(まとめ方)になっている。

 

それは(おそらく)確信犯的な構成で、その狙いを匂わす(まず吹き替えでは気付かない)セリフがあって、オロコピアで焚き火を囲み「なぜ月はあそこにあるのか?」と問いかけるシーンでシルバー教授は―

 

この 5 年間 NASA が発表してくれたデータのおかげで月の年令とか化学成分というものは いくらか分ってきたが、その誕生の秘密は まだ闇の中だ (Thanks to the data coming out of NASA over the last five years we have some idea of the moon's age, its chemical composition, but as for its genesis, we're still in the dark.)―それをアポロ15号が解き明かすかもしれない(Maybe Apollo 15 will shed some light.)

 

と予言的に語る。

 

なるほど >その誕生 its genesis 即ち、月の起原の謎を解き明かす石だから Genesis Rock ―ちゃんとラストシーンの前フリになるセリフにしてあるわけですよ。

 

 

「人類、月に立つ」ではコア・サンプル採取の月面掘削ドリルが(やっとこさで)抜けるシーン(The Problem With The Drill)に続いてジェネシス・ロックを発見するシーン(The Thing They Came For)がある―この展開は(わたしの知る限り、何ら指摘されていないが)実際の時系列とは全く逆、さも ドリルが抜けたのでサンプル(ジェネシス・ロック)の探査に向かったかのように描かれているけれど、実はジェネシス・ロックの発見が先(EVA- 2)で、ドリルが抜けるほうが後(EVA- 3)のこと。 (ドリルは EVA- 1 で抜けなくなり、ひとまず放置された―「人類、月に立つ」では capcomジョー・アレンが Dave, let's take a breather. We want you to break it loose and let the stem and the drill sit in the surface. We'll come back and pull it out later. と、抜くのは後回しにするようスコットに伝える)

 

これもやはりハリウッド式の脚色―と言うより(純正ライトスタッフ・ファンなら誰しも感じるであろうことに)まさしく「ライトスタッフ」式の技法で(イェーガーの NF-104 墜落シーンに代表される「ライトスタッフ」のアクロバチックにして ドラマチックな時系列無視演出のあざとさには比ぶべくもないにせよ)確信犯的な構成に違いない。

 

デイヴ・スコットとジョー・アレンのやりとり―

 

スコット 「ドリルを抜く時間はどれくらい取るつもりだ? ずっとこれにかかりっきりだけど、どうしても必要なのかな」(How long do you want us to work on getting this drill out?  We're spending a lot of time on this thing.  Tell me you really want it this bad.)

 

アレン   「はぁ…俺にきかれても困るんだよ」(That's hard for me to say, Dave.)

 

これに該当すると思われる交信記録には―

 

Scott : How many hours you want to spend on this drill, Joe?

Scott : Joe, I haven't heard you say yet you really want this that bad.

 

Allen : It's hard for me to say, Dave.

 

とある。