独り掲示板

ライトスタッフは名作です-2

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3216】

 

要するに、ゴールドマンは(所詮、純正ライトスタッフ・ファンじゃないので)イェーガーを消し去ることで二項対立を安易にスルーしたにすぎない―それがため、そこにある真のテーマを見落としている。

 

トム・ウルフは最終章  十五  高地砂漠(15 - The High Desert)を―

 

ゴードン・クーパーが飛行したころにはすでに、チャック・イエーガーエドワーズ空軍基地にもどってきていた。彼はわずか三十九歳で、たまたまウォリー・シラーとアラン・シェパードと同い年であり、ジョン・グレンよりは二歳年下だった。

 

By the time of Gordon Cooper's flight, Chuck Yeager had returned to Edwards Air Force Base. He was only thirty-nine, the same age, it so happened, as Wally Schirra and Alan Shepard and two years younger than John Glenn.

 

と、イェーガーとマーキュリー 7 を(it so happened と若干わざとらしく)絡めて書き出す。

 

これが決して唐突ではないのは、その前の  十四  クラブ(14 - The Club)で―

 

何びとも否定できなかった…パイロット仲間の誰にも、先輩にも後輩にも、歴然としていた…不測の事態がもちあがったときに、ゴードーのやつは世界にむかって、まぎれもない正しい資質を示したのだ。

 

  No one could deny it… no brethren, old or new, could fail to see it… when the evil wind was up, ol' Gordo had shown the world the pure and righteous stuff.

 

と、クーパーが(イェーガーⅡ世として―その3022参照)そのライトスタッフを継承せしめたことを記してるのである。

 

イェーガーと(没交渉だった)マーキュリー 7 は、ついに(マーキュリーのラスト・ミッション)ゴードン・クーパーに至ってライトスタッフの系譜という一つのストーリーとして語られ、そうすることで初めて二項対立は正しく解消(止揚)される。

 

従って、百歩譲ってイェーガー抜きのマーキュリー 7  限定にするにしても、クーパーのミッション(フェイス7)をクライマックスに描かないのであれば、宇宙飛行士のライトスタッフについて(すら)何も語っていないに等しい。

 

カウフマンの「ライトスタッフ」が(律儀にも)このイェーガーからクーパーへのライトスタッフの系譜をテーマに 100% 正しく描き上げてみせてるのは、カウフマンが筋金入りの純正ライトスタッフ・ファンであればこそ(その3118参照)、残念ながら脚本の名手ゴールドマンには(あくまで「ライトスタッフ」に限っては)その資質がなかったということでしょう。

 

※ 仮にゴールドマン脚本がボツにされず映画化されていたなら、それはそれで名作と高評価された可能性はもちろんあるけれど、その場合でも「ライトスタッフは名作です」とは全然ならない―正しい「ライトスタッフ」じゃないので。