独り掲示板

ライトスタッフは名作です-2

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3198】

 

その 497 ~500     (2004/10/28~31)

 

もうひとりの登場してもらいたいレディースは、アーティストのシシ・ビビィ Cecilia(Cece)Bibby ―フレンドシップ7(と、続くオーロラ7、シグマ7 ←奇しくもマーキュリー 3/7)のシャレた(でもないが)デザインをカプセルに手描きしてる。

 

それ以前のフリーダム7とリバティベル7はロゴをステンシルで吹き付けただけで、そんなんじゃ芸がないってんで、この二人(アラン・シェパードとガス・グリソム)がジョン・グレンのフレンドシップ7は然るべきプロ(アーティスト)の手で描いてもらうべきだと主張したもよう。 (←ただし、グリソムは自分がそうしてもらいたかったのにと悔やしがってるから、あくまでも表向きのアピールか)

 

シシ・ビビィによると、グリソムが(面白半分にして実はマジに)唆したことには、ボーイスカウト(←もちろんジョン・グレンのこと)のカプセルには naked lady を描いてやれ、あのカタブツには効果テキメンだろうから―と、ふざけた入れ知恵をしてきたらしい。

 

それを(NASA の仕事をフイにするのはご免だと)断ると、グリソムは彼女をチキン呼ばわりして嗤ったとか―あまり深刻には考えてなかったみたいですね、ご自分のカプセルはきっちり沈めたくせに。 (つまり、Mercury Astronaut は何があってもクビになる心配はないかもしれないが、雇われの身の Mercury Artist はそうはいかないってこってす)

 

 

と言いつつも、シシもさるもの―ちゃんと彼女なりの gotcha を企んでたんです。

 

カプセルには(中から外が見える覗き穴みたいな)ペリスコープが付いていて、そこにイラスト(手描きしたのをプリントしたもの)を外から貼り付けてやる、現場の誰かに頼んで。

 

そのイラストというのが、まさに naked lady ―あなたとわたしのフレンドシップ… "It's you and me John-Baby...against the world". (むふっ)てな感じの艶かしいやつで、まことに上手い方法でグリソムのアイデア(悪巧み)を実現させたわけなのだった。

 

果たして、これに大受けした(Cece Bibby は Cece Baby とも呼ばれてたくらいで誰の仕業か当然すぐ気付いた)ジョン・グレンは、額に入れて自宅に飾るつもりだとシシにメモで伝え、そのイラストはカウントダウン間際に取り除かれる手筈だったのが、この時は(すんでのところで)打ち上げ中止になったんで、自分で取ったか受け取ったかしたんでしょう。(←「ライトスタッフ」で描かれてる 1月27日のこと)

 

本人証言(The Adventures of Cece Bibby: On and Off The Launch Pad)―

 

"When I came into work the next morning there was a note taped to the lamp on my drawing board. The note was from John Glenn telling me he had gotten a big kick out of the drawing. He also added that I shouldn't let anyone tell me that he was upset about the drawing."

 

 

で、本番の 2月20日にもグレンのご期待に応えて別バージョンの lady を貼り付けてやる―今度はバケツとモップを持った掃除のおばちゃんの(期待はずれで)残念でした("You were maybe expecting someone else...John Baby??")ってやつを。 (←グレン始め現場の一同は呵々大笑したそうな)

 

 

ところが、実は 1 月27日の naked lady の時点で、ペリスコープに貼り付けたイラストがジョン・グレンの心を乱して(upset)フライトの失敗を招くおそれがあったと、これをすら問題にしたアホが NASA にいまして(Rocco Petrone-Director of Launch Operations)、シシ・ビビィは危うく(クライスラー社を)クビになりかける。

 

それに対抗したのが前述のシシ宛のメモ―グレンは(かかる事態を見越してたフシがあることに)わたしは upset などしてないので、彼女は誰からもこの件で非難されるにはあたらないと添書きしてくれてたんですよ、抜かりなく。 (事実 グレンは、そのイラストを見て大笑いしただけで、むしろ緊張がほぐされた)

 

加えて、擁護に立ち上がったグレンやグリソムらの friendship― てな、あざといオチ(?)

 

本人証言―

 

"It is my understanding that Rocco Petrone wanted to have me fired due to the naked lady painting,"

 

"Petrone told my boss that I had upset John with the painting and could have caused the mission to fail. I showed John's note to my boss, but it didn't carry any weight with him."

 

"I didn't get fired. John and Gus intervened and defended me."

 

"They really stepped up and protected me. I will forever appreciate their help and friendship."

 

 

おかげで、次のスコット・カーペンターもオーロラ7のペリスコープで望みどおり naked lady(…but Scott-Sweetie--"Yellow Bird"…again!??) を拝めたわけですが、その次のウォーリー・シラー(シグマ7)は、残念ながらカプセルのロゴ・デザインだけしか描いてもらえなかった。

 

ちょうどその頃、彼女に二の足を踏ませると言うか、もう止めといたほうが無難だと思わせるような事件が起きたんですね、折り悪く…

 

 

NASA がケープの各オフィスに配った安全マニュアル(のエレベーターの正しい使い方みたいなページ)の写真に(校正やら編集やらが不用意にも見逃した)とんでもないエラー(じゃないけど、ほんとは)が発見されて、即座に回収しようとしたところが殆ど戻ってこなかったという騒動があったそう。 (こういうのは値打ちがあるでしょ、マニアの間では)

 

その写真というのが、もともとは 6 人の(さえない)おっさんがエレベーターのなかに立って並んでた(と想像される)のを、一人だけ(どういう意図だか) blonde lady (←当然 nude)と巧みに(エアブラシなどを使って)差し替えられてるもの。

 

案の定、こんなことを仕出かすのはシシ・ビビィに間違いないってな雰囲気が辺りに漂ったようで("The finger of blame was pointed right at me,")、もとより(そのマニュアルの作成には一切タッチしてなかった)彼女が潔白なのは分かりきってるのに、そんなこんなで彼女はもはや naked lady を描く気にならなかったということらしい。

 

これには言い出しっぺのグリソムも大いに反省し、愚かにも彼女を(チキン呼ばわりまでして)唆したのは自分であると NASA のアホ連中に訴え出た上で、己の不明にして短慮を彼女に詫びたという一席でありました。("Gus even said he challenged me to the deed in the first place.")