【誰にともなしに、独り言レス―その3522】
リーバーゴットの “I'd sure like to”、ジーン・クランツの “at their convenience”、ルーズマの “when you get a chance” という言い方でも分るが、スワイガートの(基本ルーティンを逸脱した)タンク攪拌のニュアンスは管制からの指示と言うより要望(頼まれ事)であって、たとえ何にも考えずに(お利口さんなんでちゅよ、ホントは)ぼ~っと攪拌ファンのスイッチを入れてしまったとしてもスワイガートに責められるべき点は露ほどもなく、どころか結果が示しているのはスワイガートなればこその chance で奇跡の引き金を引いていた(おかげで未使用の LM を救命ボートにフル活用できた)という見方すらできる事実。(←この逆転の発想的なタイミングの問題は Apollo 13's warning system engineer の Jerry Woodfill によっても提唱されている―13 Things That Saved Apollo 13, Part1: Timing)
にも拘らず「アポロ 13」で理不尽に(ネチネチ、うだうだ)難癖を付けるヘイズに This is not my fault ! と激高するスワイガートを人間臭く見せる(seem more human)ためのハリウッド式脚色だなんて(その3328参照)しょーもなくも片腹痛し―こんな浅~いペラペラ捏造は純正ライトスタッフ批判の対象には全然なりませんて。
逆にスワイガートを「さすがノースアメリカンの司令船パイロット、よくぞグッタイミングの攪拌してくれたなぁ、おかげで命拾いしたよ」とヘイズが手放しで褒めて、「いや~、うるさく催促されてたんで、おやすみ前にスイッチオンしたら、たまたま結果オーライだっただけだし…」とスワイガートが照れる―てな感じでよくない?
何にしてもリーバーゴット(EECOM)がジーン・クランツ(Flight)にクルーが寝る前にタンクの攪拌をさせるよう示唆するシーンは(もや~っとじゃなく)はっきり分かる仕方で描いたほうが絶対よかったと思うけど。
些細な(心配するまでもない)タンク圧力低下アラートで既にクルーが安眠を妨害されてた事情も示しておくと更によいでしょう。
参考:船長の(眠ってんのに警報が鳴ってビビりまくったよ)クレーム
046:44:36 Lovell: It might be interesting that just after we went to sleep last night we had a Master Alarm and it really scared us. And we were all over the cockpit like a wet noodle.