【誰にともなしに、独り言レス―その3543】
かと思えば、「アポロ 13」にはスワイガートの正しい働きを描写した場面もあるにはある。
再突入角度の狙いを定めるため(improve entry corridor angle)LM(アクエリアス)の降下エンジン(descent engine)噴射で軌道修正 mid-course correction burn(MCC-5)するシーン、ラヴェル船長はスワイガートに―
Lovell:We're gonna burn at 10 percent thrust for thirty-nine seconds, Jack, you time us. [10 パーセントの噴射を 39 秒だ ジャック、時計を頼む]
Swigert:Got it. [分かった]
Lovell:Give us a count of the last ten seconds up to thirty-nine. Let's not miss this. [最後の 10 秒は声でカウントダウンしてくれ 忘れるなよ]
スワイガートがタイムキーパーを任せられたのは本当のことで、ラヴェルとヘイズが二人で LM の操縦(手動の manual burn)をする。
スワイガートは腕時計で秒読みするだけで(映像的には)目立たないので、そのままに描いたのだろうが、ラヴェルのセリフは(ハリウッド式)創作で、この manual burn は 39 秒ではなくホントは 14 秒―ラヴェルとヘイズの奮闘ぶり(緊迫感)を盛り上げるためなのか意味不明の引き延ばし噴射になっている。
交信記録を見れば分かるが、当然(でもないが)LMP のヘイズが管制(capcom ジャック・ルーズマ)と具体的にやりとりしていて―
Shut down manually at 14 seconds.
と詳細に確認している。(>10 パーセントの噴射 はそのとおり―the entire burn is at 10-percent throttle.)
月着陸ではないけど LMP のヘイズが本領発揮すべき正しい出番シーンのはずで、25 秒の延長分(映像じゃ 1 分くらいもあるから)もっとヘイズを(CO₂ フィルタじゃなく、ここでこそ)目立たせてやりゃあいいのにとも思う。
註)厳密に言うと噴射時間は 15 秒と言うか、14 秒でエンジンを切るという手順のよう(a burn time of 15 seconds with the notation to shut down the engine manually at 14 seconds.)