独り掲示板

ライトスタッフは名作です-2

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3388】

 

カウフマンは月を使ってスクリプトの劇的な軌道修正―言うなれば、「月の光」で見事に(アポロ13 の如く―その2998参照)スィングバイしてのける。

 

サリー・ランドのファンダンス―指定曲は例によって原作に律義に「シュガー・ブルース」、なのに最終形態では一転して「月の光」(Moonlight)のもとで完全体へと正しく変貌させる。

 

スクリプトを(ぎりぎりまで)「シュガー・ブルース」(THE BAND STRIKES UP "SUGAR BLUES" )にしてたのは(わたしから見れば)いらざる原作への義理立てで(The band struck up "Sugar Blues"… much raunchy high-hatting of the trumpets―その3032参照)、まるでカウフマンが描きたいはずの基本イメージ(趣旨)に沿ってない、全然ずれてますよ、あのシーンの。(その3030~31参照)

 

ステージのファンダンスを眺めるマーキュリー7(夫妻)、いつしか―

 

And then, a strange thing happens.

 

スクリプトの言う奇妙なこと(strange thing)が起きるとは―

 

  but right then, THE MUSIC FADES.

It's still there,  of course,  because Sally Rand is bumping and grinding away; but now we're in another dimension, as it were, and SHEPARD LOOKS ACROSS THE CROWD AT GLENN. And Glenn feels his gaze and there's the slightest of nods.

 

この窯変的な in another dimension に誘われないでしょ、high-hatting of the trumpets の「シュガー・ブルース」なんかじゃ―姑息(苦し紛れ?)に music fades したところで無理筋の(カウフマンの音楽趣味に合わなさそうな)選曲ですから。

 

ところが、これを(がらっと変えて)ドビュッシーの「月の光」Clair de lune にしただけで(あ~ら不思議)100% の完全体、即ち 名作「ライトスタッフ」が自動的に構築(トランスフォーム)される。

 

極論するなら、カウフマンの「シュガー・ブルース」⇒「月の光」への翻意(もとより「月の光」で撮ることこそ本意だった気もする)が、忽ちにして「ライトスタッフ」を名作たらしめたと言えるんじゃないですかね。

 

「月の光」のファンダンスがあって初めてマーキュリー7の(ベタなまでに印象派的な) in another dimension が描かれうるのであり、そこでの対比においてこそイェーガーの NF-104 の(あざとくも神技的な)キレッキレのカットバックが余すところなく展開される―あのエッジのきいた比類なきシークエンスなくして「ライトスタッフは名作です」にならないのは明らかでしょう。

 

よって、ソダーバーグじゃなくてもパクりたくなる「月の光」のファンダンスなのであります。

 

関連レス―

 

オーシャンズ11」 (2003/ 2/ 9)

 

全体的には「スティング」だろ、これ―って感じで、わざとそのパロディとして(ふざけて)作ってんじゃないのかって思いつつ、ちょっと苛々しながら見た。

 

ジョージ・クルーニーブラッド・ピットの絡みが、もろ P.ニューマン& R.レッドフォードというか(もどきというか)。

 

それよりも何よりも、わたしが一番気になったシーン―ラスト近く、ラスベガスの噴水を見つめてメンバーがしみじみするとこ。

 

バックには《月の光》が流れます―そう、「ライトスタッフ」のあのシーン。

 

たぶん、これもパロディのつもりか―いや、こりゃパクリだろ、許せん。

 

 

その93 (2003/ 8/12)

 

テキサススタイルのバーベキューパーティ、ドビュッシーの《月の光》を浴びながら幻想的に舞うサリー・ランド、そのファンダンスに魅入りながらも、誰からともなく互いの目と目だけで、その絆を確かめ合うマーキュリー7…

 

フィリップ・カウフマンがこのシーンで言わんとしたことについては、なかなか意味深いものがありそうなんですが、かねてより憤りを覚えておりました案件につきまして、このたび晴れて 100% 解明に至りましたので、ここにご報告いたします。

 

実は先日、何となしにソダーバーグ/クルーニー関連のページを覗いておりましたら、たまたま「オーシャンズ11」の、まさしくビンゴ~のインタビュー記事を見つけたんですよ。

 

それは、ラストシーンでドビュッシーの《月の光》を使ったのはなぜか?という問いに対し、ソダーバーグは素直に白状してます―

 

“I stole that, actually.” 

 

続けて―パクったからこそ、エンドロールでフィリップ・カウフマンが thanked されてる なぜなら、あの曲は「ライトスタッフ」で全く似たようなシーンに使われてるから

 

と、いけしゃあしゃあと申しております(確信犯)。

 

調べてみると、なるほどエンド・クレジットの一番最後に Philip Kaufman とありますな。

 

オーシャンズ11」のパクリ・シーンでは、ライトスタッフされた、じゃなくてライトアップされた噴水を眺めながら、仲間同士が目と目で互いを確認し合う―《月の光》をバックに。

 

あの噴水が、まさしくサリー・ランドのファンダンスそのものだったというわけです、オーシャンのライトスタッフにとっては…(う~む、やっぱり許せん、あのシーンをパクるとは―ま、オマージュなんやろうけども)