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独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3264】

 

その170 ~173(2003/11/ 5~7)

 

わたしが連想したイメージでは、厳密には岩 rock ではなくして、レンガ brick なんですが―

 

ご存じのように、古き良き時代の空中戦においては(wax one's tail ではなく)12 o'clock high につけるや、やおら敵機めがけて爆弾ならぬレンガを落とす、という例の(あくまでも武骨ではあるけども)どこか優雅にして潔い戦術があったでしょ。

 

なにしろ布張りの複葉機のことですから、意外とけっこうなダメージがあったものと想像されますね。(何か映画で、そういうシーンを見たことがあるような気がするが、思い出せない)

 

そして、そこから更なる全然別の連想をしまして―

 

「暁の空中戦」 って知ってます? 

 

映画じゃないですよ、曲―ロイヤル・ガードメンが歌ってたの、ご存じない?

 

 

ロイヤル・ガードメン The Royal Guardsmen と言うくらいだから、いかにもイギリスっぽいでしょ―そこがミソなんですよ、実は。

 

「暁の空中戦」は 1967年にヒットした正真正銘メイド・イン・USAアメリカの曲。 

 

なら、なぜ ロイヤル・ガードメンなのか―

 

「暁の空中戦」の原題は Snoopy Vs. The Red Baron ―つまり「スヌーピー vs レッドバロン」なんですね。

 

レッドバロンとくれば、皆さん先刻ご承知、もうお判りでしょう―かの撃墜王 リヒトホーフェンを、ついに撃ち落とすんです、スヌーピーが。

 

何と、あのスヌーピーがですよ…!

 

従って、レッドバロンに敢然と立ち向かう我らがスヌーピーは、この場合は(本籍のアメリカではなく)当然イギリス空軍のフライング・エースでなければいけません。

 

だからこそ、グループ名もロイヤル・ガードメンと、あいなるわけですね、必然的に―と、わたしは推測いたします。

 

 

さて、その「暁の空中戦」―自慢じゃないが、わたくしはレコード(シングル盤)を持っております。(当時 370 円)

 

久しぶりに引っぱり出してみると、いわゆるツッコミどころ満載というやつが改めて目に付いて、何だか赤面してしまいましたよ、こっちが。(赤面はシャレですよ、シャレ―このレコードは黒じゃなくて赤いんです)

 

まず、ライナーノーツと言うか解説に、いきなりトンデモなことが―

 

「第二次大戦のドイツと連合軍との空中戦を扱った曲」って…

 

「80 機以上を撃墜し、無敵を誇ったドイツ戦闘機 レッドバロン(赤い男爵)が」と講釈たれてるくせに、なぜに「第二次大戦」なの???

 

これは、例えば単なるミス・プリントなんかじゃないのは確か―この解説者を含め、少なくともシングル盤のジャケット制作に関わった連中は、実はレッドバロンが(第二次大戦のドイツ戦闘機ではなく)第一次大戦の英雄だってことをご存じないんでしょう。

 

その証拠に、ジャケットのデザインに、全くもって意味不明なことには、明らかに第二次大戦中の爆撃機の編隊と思しき暗~い写真が使われてますから―

 

あ、もしかしたら「撃墜王 アフリカの星」と混同しちゃってるとか? (映画の「レッドバロン」は 1971年だしなぁ…ありうるかも)

 

 

Snoopy Vs. The Red Baron の「暁の空中戦」という邦題―

 

これを色んな角度から考えてみると面白いことに、まず、当時はレッドバロンはまだしも、スヌーピーなんて誰も知らなかったという事情が窺えますね。

 

解説にすらスヌーピーのスの字もないし、この a real dog-fight と歌詞にある話が、よもや a funny-looking dog with a big black nose の空想の世界を歌ってるのだとは誰も知る由もなかったんじゃ…

 

加えて、著作権の問題でスヌーピーの画を使えなかったらしく(オリジナルのジャケットでも許可されてない)、まんま「スヌーピー vs レッドバロン」じゃ、全く何のこっちゃだったんですよ。

 

そこで苦肉の策と言うか、適当に曲の内容から「暁の空中戦」と付けたんでしょう、きっと。

 

「暁の」は、そんな意味の単語は歌詞のどこにもないんで、たぶん Red Baron や Royal Guardsmen の赤のイメージから安直にカッコつけたのか―ジャケットのデザインも赤をアピールしてるし。 (昔からある「暁の何とか」という映画の題名にも感化されてそう―ちなみに実際の空中戦は午前10時35分と報告されてるらしいから、「暁」でも何でもありません)

 

ま、邦題についちゃ、それはそれでいいんだけど、おそらく担当者からして誰もオリジナル・ジャケットを見てないと思われるのが、何としても悔やまれる。(その点は深く同情します)

 

と言うのも、オリジナルのデザインは、真っ赤なフォッカー三葉機ではないけども、鉄十字マークの複葉機(アルバトロス?)のカートゥーンが描かれているから。(前述のようにスヌーピーのキャラクターは使われてない)

 

これ見てりゃ、少なくとも The bloody Red Baron が、まさか「第二次大戦」の話だなんて初歩的な勘違いをせずに済んだろう―たとえ、ほんとに「アフリカの星」と混同してたにしても。 (ただ、冒頭で after the turn of the century ~♪ と第一次大戦の頃の話であることは、ちゃんと解るように歌われてるけど)