【誰にともなしに、独り言レス―その3196】
その486~493 (2004/10/17~24)
或いは、打ち上げ前の朝食シーンからマーキュリーへという手もありますね。
STS-95(1998年)ともなると、多種多様なメニュー(加えてフルーツ、シリアル、マフィン、ヨーグルト、各種ドリンク etc.)から自由に選べたそうで、そのなかには(言うまでもなく)伝統の打ち上げ定食である steak and eggs も抜かりなく用意されておりました。
その時ジョン・グレンが実際に何を食べたかは定かではありません―が、ここは否が応でもフィレミニョン・ステーキとスクランブル・エッグをチョイスしてもらって(一説によると、事実それにマフィンを加えたものだったとか)、そのままフレンドシップ7(1962年)の朝食シーンに場面転換する…
この時のグレンの朝食はもちろん steak and eggs (とオレンジジュース、それにトーストとコーヒー)で、昔は朝食たって時間的にはまさに夜食、たぶん 2:30 a.m. 頃―いっぽう STS-95 では普通に 8:30 a.m. 頃で、この辺りも宇宙に行くのが(少なくともマーキュリーの頃に比べりゃ)さして特別なイベントでもなくなったということの表れと言えなくもない気がします。
だいたいどのページを見ても、当り前のようにコーヒー(coffee)と書いてますけど、ジョン・グレンの場合は正確にはコーヒーではなく、似て非なる代用コーヒー(coffee substitute)だったらしい―と言うのも、このおっさんは本物のコーヒーを飲まない人だから。
グレンがいつも飲んでたのは Postum (商標名)というやつで、その正体はチコリコーヒーのよう―つまり、カフェインを含まない健康飲料みたいなもので、やはり利尿作用があるとか… [ I got up at two o'clock, ate my low-residue breakfast of filet mignon, scrambled eggs, toast with jelly, orange juice, and Postum―John Glenn: A Memoir ]
そこで、はたと思いつくのが―アラン・シェパード(フリーダム7)はバックアップのグレンと一緒に朝食をとってましたよね…ひょっとして、Postum を飲んだ(実はグレンの陰謀で飲まされた?)ってことも考えられるんじゃ… (だとしたら、こんなオモロイ話はない ←もちろん、妄想)
近年はコーヒーひとつ取っても何種類かのなかから選べたりするそうで、マーキュリーの頃を思えば、まことに打ち上げ定食も贅沢になったもんだなぁ… (と、77才のじいちゃんは感慨深げに語るのであった)
「ライトスタッフ」でもフレンドシップ7の打ち上げが延期になったシーン(←打ち上げは何度か延期になっていて、これは T-20 分に中止されたという 1 月27日か)では、カーペンター一人が臨戦態勢に近いイデタチで、いかにもバックアップという感じがしますね。 (てゆうか、見てたらカーペンターがグレンのヘルメットをはずしてやるし、グレンがアニーと電話してる間もそれ持たされてるし、以前より申してますように、ありゃパシリです)
「ライトスタッフ」をそのまま鵜呑みにするわけにはいかないけど、あのシーンに既にムチア(オーストラリア)の tracking station に行ってるはずのクーパーが見当たらないのは当然としても、他の全員が揃ってるのはホンマのことなんかいな?
と言うのも、本番当日(2月20日)はグリソムがバーミューダ、シラーがカリフォルニア(Point Arguello)のそれぞれ tracking station に配置されていて(ホットドッグ同様)ケープにはいなかったはずだから。
むろん、日によって配置替えになったと考えられないこともないにせよ。 (シラーときたら、まるでオフと同じ格好で何やってんでしょ ←まさか、ココアビーチで飲んでたんじゃあるまいが)
「ライトスタッフ」で凸凹リクルータ・コンビ(ジェフ・ゴールドブラム&ハリー・シェアラー)が TV に出てるジョン・グレンをスカウトするでしょ。
あのクイズ番組(Name That Tune)で、グレンとエディ・ホッジス(10才)のふたりは何と 25,000ドルをゲットしてます。(後年ホッジスが白状したとこによると、ああいうのは TV局の事前のコーチがあるんだとか― Mr. Clean Marine のグレンには知らされてなかったとは思いたいけど)
ま、そりゃどうでもいいんですが、実際のあの放送は 1957年のことで(←あれは再放送かって、どこかで書いた)、司会者がグレンを超音速大陸横断飛行(the coast-to-coast nonstop supersonic flight)の記録保持者だと紹介する。
1957年 7月16日、海兵隊 テストパイロット Mig Mad Marine ことジョン・H・グレン少佐は F-8 クルセイダーでロサンゼルス~ニューヨーク間を僅か 3時間と23分(と 8秒) で一気に飛んでみせたのでした。 (←考えてみたら、よくよくアメリカって広い…)
その番組中にグレンが(海兵のかたぶつらしく)のろけてたとおり、アニーとはほんとに幼なじみ。
「ライトスタッフ」にも描かれてるように、アニーは幼い頃から酷い吃音だった。(だから、クラスでもててたというグレンの話は?)
彼女の吃音は、どうやら(同じく吃音だった)父親ゆずりのようで(←遺伝的要因か、少なくとも何らかの影響下にはあったと思われる)生涯治ってません。 (正確に言うと、自由にスピーチやら講演やらをこなしてるのに、自身では治ったと思ってないらしい)
1987年に National Association for Hearing and Speech Action がアニー・グレン賞を設けて吃音を克服した人を称えることになり、その栄えある第一回受賞者は(ダース・ベイダーの声で知られる)あのジェームズ・アール・ジョーンズ―アニーが手ずから授与したそうです。
ジョン・グレンとアニーは(少なくとも傍目には)いつまでも仲睦まじいようですが、マーキュリー7 夫妻のうちでは(あんなことになったガス・グリソムとベティは措いとくとして)ゴードン・クーパーとトゥルーディ、ディーク・スレイトンとマージ、スコット・カーペンターとレネ [Rene リーン] は、とっとと別れてますね。
最期まで添い遂げたのが(どこかに書いたけど)アラン・シェパードと(一ヵ月余りして後を追った)ルイーズ、二人の灰は一緒に(ペブルビーチの自宅が臨む)海に撒かれました。 (それを思うと、テキサススタイルのバーベキューパーティでの「ルイーズ、俺は絶対に月へ行くぞ」のシーンは、尚更 ぐっとくるものがあるじゃないですか)
ウォーリー・シラーとジョーも長年連れ添ってます。
この二人にはケッサクな話があって、シラーがシグマ7の見事なフライトから戻ってきて、その晴れやかな祝賀会で お歴々から大いに お褒めの言葉を頂戴し、下へも置かぬ丁重なもてなしを受け、気分よく二次会にシラー邸でのホームパーティで盛り上がり、いつしか夜も更け お開きとなって「さあ、寝るか」とシラーがベッドに行こうとしたら、この宇宙に舞い上がったヒーローを愛妻ジョーが現実に引き戻す―寝る前にゴミ出すのを忘れるんじゃ~ない、と。
余談
ジョーも(冗談屋 シラーのかみさんだけあって)気の利いたジョークを言ってたようで、カプセルが着水して万一 沈みそうになっても、シグナルが点火される仕掛けだから何の心配もないと聞かされると―
それで、すぐ分かるってわけね、どこに花輪を落とせばいいか。