【誰にともなしに、独り言レス―その3171】
その 581 (2005/ 2/23)
映画「ライトスタッフ」は(原作と違って)いきなり X-1 のテスト飛行~墜落シーンで始まる―もっとも(よく知られてるように) X-1 の墜落という事実はないので、冒頭から作り話(ノンフィクションじゃなくてフィクション)だと分かるわけですが。
あの架空の X-1 はフォネティックコードで WK 28 (ウィスキー・キロ・トゥー・エイト)と言ってましたでしょ―
“WK 28(whiskey kilo two eight), do you want to declare an emergency?”(WK 28 非常事態か?)
“Ngative, WK 28 is not declare…”(いいえ、まだ平気で…)
この管制と WK 28 とのやりとりは、それでも原作(第 2章「正しい資質」 パイロットが緊急事態宣言を嫌うという箇所 ←まだ X-1 には何も言及されない)にそのままあって、「正しい資質を生甲斐とするものはむしろ激突して、燃え尽きてしまうほうを選ぶ」などと解説してある。
"Whiskey Kilo Two Eight, do you want to declare an emergency ? "
This would rouse him!—to say: "Negative, negative, Whiskey Kilo Two Eight is not declaring an emergency."
Kaboom. Believers in the right stuff would rather crash and burn.(The Right Stuff)
「W K 2 8(ウィスキー・キロ・トゥ・エイト)、緊急事態を宣言しますか」
そう言われてはもう黙ってはいられない、そこで「否、否、W K 2 8(ネガティブ・ネガティブ・ウィスキー・キロ・トゥ・エイト)は緊急事態を宣言しません」
ドカーン。正しい資質(ザ・ライト・スタッフ)を生甲斐とするものはむしろ激突して、燃え尽きてしまうほうを選ぶ。[中公文庫]
すると、明らかに緊急事態に陥った架空の X-1 パイロット WK 28 が(意地を張って)その宣言を否定したのは、己のライトスタッフのなさを認めたくないがゆえということでしょうか―命知らずと言うより、単なるアホですね、こうなると。
かくして、映画では手っ取り早くも冒頭から(真のライトスタッフであるところの)チャック・イェーガーの登場とあいなるわけです。