独り掲示板

ライトスタッフは名作です-2

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3115】

 

その1404~1406

 

数分後に、救助用ヘリコプターが到着した。医師たちがおりたつと、イエーガーは通りがかりの若者と一緒に、メスキートの低木のなかに立っていた。 [中公文庫]

 

A few minutes later the rescue helicopter arrived. The medics found Yeager standing out in the mesquite, him and some kid who had been passing by.(The Right Stuff)

 

 と、ヘリで到着した医師がイェーガーと、その若造がそこにいるのを確認したかのように トム・ウルフは(まるで見てきたと言わんばかりに)書いている。

 

が、しかし―

 

実際に ヘリ(H-21)で現場に駆けつけたボブ・スミスの証言は食い違う―まるっきり違う(イェーガー自伝の記述を "those are not the facts" と言下に否定する)のである。

 

 

ボブ・スミスは無線でイェーガーの窮地(he went into his spin)を聞くや、ヘリのパイロットと H-21 で急行し、NF-104 の残骸の傍にいたイェーガーを拾って(our Flight Test H-21 helicopter, in which test pilot Phil Neale and I picked him up from the desert floor, standing next to the airplane’s hulk.)病院に送り届け、そこで初めて医師がイェーガーを診てやった(Phil landed us at the helipad by the hospital, where the medics saw Chuck, for the first time.)―と、ボブ・スミスは明言する。

 

そこに得体の知れぬ(変に overact 気味の)若造の影も形もありはしない。

 

トム・ウルフは映画「ライトスタッフ」は原作に忠実じゃないのでお気に召されてないらしいが、むしろ純正ライトスタッフ・ファンにとっては幸いなことで、とりわけ イェーガー奇跡の生還シーンが原作どおりの(それこそ眉唾ものの芝居がかった)説明になってたとしたら―まあ、わたしの(精神衛生上のリハビリの場としての)居候先も好き勝手な独り言もなかったってな空恐ろしい事態に陥っていたに違いないでしょうね。

 

 

ボブ・スミスによればイェーガーは口実に話を作った(fabricated an excuse)―疑いようもない(Undoubtedly, he did.)とまで断言している。

 

おまけにクロスフィールドの名前を引き合いに出して(one of his long time associates and competitors in flight testing, the famous and first X-15 test pilot A. Scott Crossfield)―

 

he referred to Chuck Yeager as, “That well known novelist.”

 

との皮肉に同意して見せる(I stand with Scott Crossfield’s opinion)

 

わたしにはイェーガーが novelist なのか(作り話をしてるのか)どうか、その理由も真意もよく分らないけども、あの箇所への妙な場違いなモヤモヤ感(違和感)はそこなんだろうという気はして、とりあえず(あくまで個人的に)得心してるわけであります。

 

(普通、あの若造は自慢げに名乗り出てるでしょ―ホントに存在したのなら)