独り掲示板

ライトスタッフは名作です-2

独り言レス

【誰にともなしに、独り言レス―その3113】

 

その1400~1401

 

わたしは原作「ザ・ライト・スタッフ」を隈なく精読してはいないし(何か訳知り顔で言いたいのでも全然ないので)断定的に主張しないけど、NF-104 のクダリに何となく違和感のある(場違いな感じがする)箇所があって気になっていたのだが、それは―

 

誰かが彼の方に走ってくる…。 若造だ、二十代の青年だ…。 ハイウェイからきたのだ…そばまでやってきて、口をぽかんとあけ、恐怖のこびりついた目でイエーガーを見た…。

 

「大丈夫ですか!」

 

若造の顔つきときたら! なんてこったい!

 

「車で走ってたんです! そしたらあなたが降りてくるのが見えたんです!」   [中公文庫]

 

 

Somebody's running toward him…  It's a kid, a guy in his twenties…  He's come from the highway…  He comes up close and his mouth falls open and he gives Yeager a look of stone horror…

 

"Are you all right!"

 

The look on the kid's face! Christalmighty!

 

"I was in my car!  I saw you coming down!"

 

 と(まるで見てきたと言わんばかりに)描写されるイェーガー墜落後の場面、なぜか(あくまで個人的に)取って付けたような印象で仕方ないのだけれど、どうだろう?

 

 

この(見てきたような)話、そもそも トム・ウルフは何処から仕入れたのか?

 

例えばイェーガーの自伝(‘Yeager, An Autobiography’)には―

 

I saw a young guy running toward me; I had come down only a mile or so from Highway 6 that goes to Bishop out of Mojave, and he watched me land in my chute, then parked his pickup and came to offer his help.  He looked at me, then turned away.

 

と全く同じ内容の既述があるが 1985年出版のようなのでネタもとではない。(The Right Stuff は 1979年)

 

とすると、直接 イェーガーに取材して(墜落の顛末を)詳しく聞いたことになるのだろうけれど、何にしても当のイェーガー自身が(自伝で)語っている具体的なエピソードだとしたら、その限りにおいてはホントの話(本人が語ったこと)に違いなく、トム・ウルフが(いやしくもジャーナリストであって講釈師じゃないから)見てきたようなウソをついているわけではなかろう。

 

にしても、どこか浮いた感じ…

 

 

「げーーー」若造だ―彼が吐き気を催したのだ。かわいそうに、彼には残酷すぎた。彼はイエーガーの顔を見上げた。―目を見開き、口をあんぐりあけて、膠がどこもかしこもはがれてしまったのだ。彼はもはや体の各部をつなぎ合わせていることができない。

 

「ひどい」彼は言った。「なんともひどい…有様だ!」 [中公文庫]

 

 

"Arrggghhh…"  It's the kid. He's retching.  It's too much for him, the poor bastard.  He looks up at Yeager.  His eyes open and his mouth opens.  All the glue has come undone.  He can't hold it together any longer.

 

"God," he says, "you… look awful!"

 

 (こうくるか…)